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甘く危険な果実②
しおりを挟む思わず、おでこにキスをした。静かに、短く、フレンチキス。弥生さんはハッとした表情で、おでこに手を当てた。無言で僕の顔を見上げる。
「すいません、あまりに可愛らしいおでこだったので、つい」僕は笑顔で詫びる。
脅えて逃げるかなと思ったけれど、それは杞憂に終わった。これも時間をかけて築き上げた信頼関係の成果だ
弥生さんは赤く染まった頬を隠すように、僕の胸に顔をうずめてきた。僕より五つほど年上だけど、まるで未経験のハイティーンのようである。
この先に進むことに急ぐ必要はないけれど、この調子なら、唇にキスをしても平気かもしれない。さらに、その先、優しい愛撫によって、弥生さんの身体をときほぐし、ベッドの上で事に及んでも……。
僕たちが今いるのは、上野のワンルームマンションである。フローリングの上にあるものは、キングサイズのベッドとクローゼットのみ。誰かが暮らしているわけではないので、生活感はまったくない。
ここは、僕の所属するクラブ『ナイトジャック』の所有する物件だ。ラブホテルに抵抗感のあるお客様のために用意されているスペースである。
「弥生さん、どうしますか?」
すべて言わなくても、伝わったみたいだ。
「……」弥生さんは、そっと眼を閉じた。もちろん、唇を交わすために。
フレンチキスを繰り返した後、少し長めのキス。弥生さんの唇は少し震えていた。唇を外すと、甘い吐息を漏らす。
「シュウくん、……私、何か変」そんな言葉がこぼれ落ちた。「ちょっと、Hな気分になったみたい」
おそるおそる、弥生さんは身体を押し付けてきた。
「もう少し進めてみますか? 僕は弥生さんの意志を尊重しますよ」
こっくり頷いた。
「お願い、暗くしてくれる?」
「ええ、もちろんです」
部屋の明かりを絞り、遮光カーテンを閉じると、とたんに薄暗くなった。弥生さんを引き寄せて、もう一度抱きしめる。
今度は情熱的に唇を交わし、頬や首筋にもキスの雨を降らせる。弥生さんに抵抗の気配はない。
ブラウスのボタンを外し、細い腕からゆっくり抜いた。プリーツスカートのホックを外し、静かに床に落とす。
下着姿になった弥生さんの前で、僕もボクサーショーツ一枚の姿になる。目の前に、美しい裸身が青白く浮かび上がっている。
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