11 / 19
ライバル探偵の死
4
しおりを挟む
この家を口実に谷川家の周りの聞き込みをしようと二階堂は考えた。
「周りの聞き込みをするとしましょう。 このサイトをみて」
「購入する予定ですか? 良い家ですね」
「鈴木君、違うわ。 家を口実に聞き込みするのです」 二階堂はハァーと息を吐く。
「なるほど、谷川家に関して直接訊くのはおかしいですしね」
二階堂はうんうんとうなずく。
ふたりは谷川家の周りに着く。
助手は購入すると装って、通る人々に話を聞いていた。
横で二階堂は黙って聞いている。
おしゃべりが好きな谷川家の右に住む人の話によれば、夫婦の喧嘩をしている様子は見られない。
いつもニコニコして妻が見送っているのが近所の人たちはみているという。
そして、訊いていないことをペラペラ喋り続けていた。
時間の無駄だ、と二階堂は思う。
お礼をいって、次の人に聞いていく。
数々の話を聞けた。
幸いなことに谷川家と顔を会わせなかったのだ。
口をそろえて良い夫婦である、あんな夫婦が理想だ、いい人だと良い印象を受けているようだった。
新しい情報が新婚一年であり、三年の付き合いから結婚している。
「篠原さんの姿は一週間前に目撃されていますね。表情は見ていないと言っていました。 当然のことですか、いちいち人をよく見ていませんからね 」
「告げた翌日から行っていないとなるわね。 私たちに何を告げたかったのでしょう。 私は些細なサインを見落としていたようだわ。 私もまだまだ未熟ね」
「気を落とさないでくださいよ。 僕も見落としていたんですから」
「あら? 自分は優秀だと聞こえるわ」
「まぁ、なんというかな。 僕なりに慰めようとしているんです」 助手はおろおろする。
二階堂はくすっと笑い、分かりますよと返す。
「今日のところは引き上げますか」
ふたりは一日を終えた。
翌朝、二階堂は思案する。
自分の状況と事件をとくピースのかけらは何か欠け落ちていないかと。
彼女はいつも座る二人分のソファーに腰をおろす。
ここでは本を読むときと思案するときの事務所では、ポジションだ。
鈴木はそのソファーに座ることはない。
彼女がお気に入りの場所だと気を遣っているのが、どきどきうかがえる。
「鈴木君、あの夫婦の監視を二日しましょう。 何もなければ、それでいいわ。 後、これを“森の事件”で依頼してきた谷岡刑事に伝えて」
二階堂はメモを渡す。
「分かりました。 どういうことです?」
「訊いてくるようでしたら、詳しくは私が喋ります」
助手は携帯電話を手にとり三言、四言を話して、二階堂に携帯電話を渡す。
彼女は一言伝えて、向こうは納得できない声色で了解と言った。
「さて、二日後が楽しみだわ。仮定がくずれれば、その時は新しい仮定をたてるだけね 」
「僕も谷岡刑事と同じで、理解できないのですが・・・」
「時を待ちましょう。 今は監視をやるの」
助手は遠くを凝視する。
二階堂は鈴木が鈴木なりに、一生懸命に考えようとしているときの行動であることは分かっていた。
彼女はその行動が終わるのを待つ。
しばらくして、終わってふたりは遠くから谷川家を監視していた。
聞き込みのとおり、妻が夫を見送る姿がみえる。
夫婦は新婚一年という幸せを過ごしているようにみえた。
妻のほうは動きはあんまりない。
専業主婦として普通のふるまいをしている。
家の門から出ることはない。
「周りの聞き込みをするとしましょう。 このサイトをみて」
「購入する予定ですか? 良い家ですね」
「鈴木君、違うわ。 家を口実に聞き込みするのです」 二階堂はハァーと息を吐く。
「なるほど、谷川家に関して直接訊くのはおかしいですしね」
二階堂はうんうんとうなずく。
ふたりは谷川家の周りに着く。
助手は購入すると装って、通る人々に話を聞いていた。
横で二階堂は黙って聞いている。
おしゃべりが好きな谷川家の右に住む人の話によれば、夫婦の喧嘩をしている様子は見られない。
いつもニコニコして妻が見送っているのが近所の人たちはみているという。
そして、訊いていないことをペラペラ喋り続けていた。
時間の無駄だ、と二階堂は思う。
お礼をいって、次の人に聞いていく。
数々の話を聞けた。
幸いなことに谷川家と顔を会わせなかったのだ。
口をそろえて良い夫婦である、あんな夫婦が理想だ、いい人だと良い印象を受けているようだった。
新しい情報が新婚一年であり、三年の付き合いから結婚している。
「篠原さんの姿は一週間前に目撃されていますね。表情は見ていないと言っていました。 当然のことですか、いちいち人をよく見ていませんからね 」
「告げた翌日から行っていないとなるわね。 私たちに何を告げたかったのでしょう。 私は些細なサインを見落としていたようだわ。 私もまだまだ未熟ね」
「気を落とさないでくださいよ。 僕も見落としていたんですから」
「あら? 自分は優秀だと聞こえるわ」
「まぁ、なんというかな。 僕なりに慰めようとしているんです」 助手はおろおろする。
二階堂はくすっと笑い、分かりますよと返す。
「今日のところは引き上げますか」
ふたりは一日を終えた。
翌朝、二階堂は思案する。
自分の状況と事件をとくピースのかけらは何か欠け落ちていないかと。
彼女はいつも座る二人分のソファーに腰をおろす。
ここでは本を読むときと思案するときの事務所では、ポジションだ。
鈴木はそのソファーに座ることはない。
彼女がお気に入りの場所だと気を遣っているのが、どきどきうかがえる。
「鈴木君、あの夫婦の監視を二日しましょう。 何もなければ、それでいいわ。 後、これを“森の事件”で依頼してきた谷岡刑事に伝えて」
二階堂はメモを渡す。
「分かりました。 どういうことです?」
「訊いてくるようでしたら、詳しくは私が喋ります」
助手は携帯電話を手にとり三言、四言を話して、二階堂に携帯電話を渡す。
彼女は一言伝えて、向こうは納得できない声色で了解と言った。
「さて、二日後が楽しみだわ。仮定がくずれれば、その時は新しい仮定をたてるだけね 」
「僕も谷岡刑事と同じで、理解できないのですが・・・」
「時を待ちましょう。 今は監視をやるの」
助手は遠くを凝視する。
二階堂は鈴木が鈴木なりに、一生懸命に考えようとしているときの行動であることは分かっていた。
彼女はその行動が終わるのを待つ。
しばらくして、終わってふたりは遠くから谷川家を監視していた。
聞き込みのとおり、妻が夫を見送る姿がみえる。
夫婦は新婚一年という幸せを過ごしているようにみえた。
妻のほうは動きはあんまりない。
専業主婦として普通のふるまいをしている。
家の門から出ることはない。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
マイグレーション ~現実世界に入れ替え現象を設定してみた~
気の言
ミステリー
いたって平凡な男子高校生の玉宮香六(たまみや かむい)はひょんなことから、中学からの腐れ縁である姫石華(ひめいし はな)と入れ替わってしまった。このまま元に戻らずにラブコメみたいな生活を送っていくのかと不安をいだきはじめた時に、二人を元に戻すための解決の糸口が見つかる。だが、このことがきっかけで事態は急展開を迎えてしまう。
現実に入れ替わりが起きたことを想定した、恋愛要素あり、謎ありの空想科学小説です。
この作品はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。
不思議の街のヴァルダさん
伊集院アケミ
ミステリー
仙台市某所にある不思議な古書店で、時折繰り広げられる、小さな事件。「死者の書のしもべ」を自称するシスターの格好をした中二病の女性と、彼女を慕う平凡な大学生による、日常系サスペンス? です。なお、この小説は、世間知らずのワナビの女の子が書いてる小説という設定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎のフーディーニ
澤田慎梧
ミステリー
【「死体の写った写真」から始まる、人の死なないミステリー】
時は1993年。神奈川県立「比企谷(ひきがやつ)高校」一年生の藤本は、担任教師からクラス内で起こった盗難事件の解決を命じられてしまう。
困り果てた彼が頼ったのは、知る人ぞ知る「名探偵」である、奇術部の真白部長だった。
けれども、奇術部部室を訪ねてみると、そこには美少女の死体が転がっていて――。
奇術師にして名探偵、真白部長が学校の些細な謎や心霊現象を鮮やかに解決。
「タネも仕掛けもございます」
★毎週月水金の12時くらいに更新予定
※本作品は連作短編です。出来るだけ話数通りにお読みいただけると幸いです。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。
※本作品の主な舞台は1993年(平成五年)ですが、当時の知識が無くてもお楽しみいただけます。
※本作品はカクヨム様にて連載していたものを加筆修正したものとなります。
シグナルグリーンの天使たち
聖
ミステリー
一階は喫茶店。二階は大きな温室の園芸店。隣には一棟のアパート。
店主やアルバイトを中心に起こる、ゆるりとしたミステリィ。
※第7回ホラー・ミステリー小説大賞にて奨励賞をいただきました
応援ありがとうございました!
全話統合PDFはこちら
https://ashikamosei.booth.pm/items/5369613
長い話ですのでこちらの方が読みやすいかも
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小説探偵
夕凪ヨウ
ミステリー
20XX年。日本に名を響かせている、1人の小説家がいた。
男の名は江本海里。素晴らしい作品を生み出す彼には、一部の人間しか知らない、“裏の顔”が存在した。
そして、彼の“裏の顔”を知っている者たちは、尊敬と畏怖を込めて、彼をこう呼んだ。
小説探偵、と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる