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ライバル探偵の死

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 この家を口実に谷川家の周りの聞き込みをしようと二階堂は考えた。
「周りの聞き込みをするとしましょう。 このサイトをみて」
「購入する予定ですか? 良い家ですね」
「鈴木君、違うわ。 家を口実に聞き込みするのです」 二階堂はハァーと息を吐く。
「なるほど、谷川家に関して直接訊くのはおかしいですしね」
 二階堂はうんうんとうなずく。
 ふたりは谷川家の周りに着く。
 助手は購入すると装って、通る人々に話を聞いていた。
 横で二階堂は黙って聞いている。
 おしゃべりが好きな谷川家の右に住む人の話によれば、夫婦の喧嘩をしている様子は見られない。
 いつもニコニコして妻が見送っているのが近所の人たちはみているという。
 そして、訊いていないことをペラペラ喋り続けていた。
 時間の無駄だ、と二階堂は思う。




 お礼をいって、次の人に聞いていく。
 数々の話を聞けた。
 幸いなことに谷川家と顔を会わせなかったのだ。
 口をそろえて良い夫婦である、あんな夫婦が理想だ、いい人だと良い印象を受けているようだった。
 新しい情報が新婚一年であり、三年の付き合いから結婚している。
「篠原さんの姿は一週間前に目撃されていますね。表情は見ていないと言っていました。 当然のことですか、いちいち人をよく見ていませんからね 」
「告げた翌日から行っていないとなるわね。 私たちに何を告げたかったのでしょう。 私は些細なサインを見落としていたようだわ。 私もまだまだ未熟ね」
「気を落とさないでくださいよ。 僕も見落としていたんですから」
「あら? 自分は優秀だと聞こえるわ」
「まぁ、なんというかな。 僕なりに慰めようとしているんです」 助手はおろおろする。
 二階堂はくすっと笑い、分かりますよと返す。




「今日のところは引き上げますか」
 ふたりは一日を終えた。
 翌朝、二階堂は思案する。
 自分の状況と事件をとくピースのかけらは何か欠け落ちていないかと。
 彼女はいつも座る二人分のソファーに腰をおろす。
 ここでは本を読むときと思案するときの事務所では、ポジションだ。
 鈴木はそのソファーに座ることはない。
 彼女がお気に入りの場所だと気を遣っているのが、どきどきうかがえる。
「鈴木君、あの夫婦の監視を二日しましょう。 何もなければ、それでいいわ。 後、これを“森の事件”で依頼してきた谷岡刑事に伝えて」
 二階堂はメモを渡す。
「分かりました。 どういうことです?」
「訊いてくるようでしたら、詳しくは私が喋ります」




 助手は携帯電話を手にとり三言、四言を話して、二階堂に携帯電話を渡す。
 彼女は一言伝えて、向こうは納得できない声色で了解と言った。
「さて、二日後が楽しみだわ。仮定がくずれれば、その時は新しい仮定をたてるだけね 」
「僕も谷岡刑事と同じで、理解できないのですが・・・」
「時を待ちましょう。 今は監視をやるの」
 助手は遠くを凝視する。
 二階堂は鈴木が鈴木なりに、一生懸命に考えようとしているときの行動であることは分かっていた。
 彼女はその行動が終わるのを待つ。
 しばらくして、終わってふたりは遠くから谷川家を監視していた。
 聞き込みのとおり、妻が夫を見送る姿がみえる。
 夫婦は新婚一年という幸せを過ごしているようにみえた。
 妻のほうは動きはあんまりない。
 専業主婦として普通のふるまいをしている。
 家の門から出ることはない。
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