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犯罪者
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私は黙っていると彼は切り出す。
「ここへ来る前の質問はちゃんと答えます。 ここがどんな場所かを教えるべきだと思いまして」
「教えてもらえるかい」
「答えはあります。 だけど、想像だけで終わりました。 僕にはそんな踏み込みのはできません」
私は井岡に幼いころから今に至るまでの考えを話した。
不思議だった。
今まで人に話したことはないけど、この青年だけには話せたのだ。
やっぱり、私は本当に似たような何かを最初に会ったときから感じていたのは合っていたと思う。
「博士は生きてこれたのは想像力があったからですね。 想像力がなければ今はないはずです」
言われればそうだ。
想像力がなければ、普通に働いてこんな生活をしていなかったはずだ。
そして、ストレスを抱えた生活であるはず。
今の私は幸せである。
世の中の人々からみれば、ずれている、共感できないと批判的な意見があるだろう。
「君は何がなければならないものは?」
「僕ですか。 異常、狂気を感じるものです。 博士の前だけで話しますが、現実で起きているそれらと虚構のそれらは僕にエネルギーをくれる。 起きる度にもっとおきろ、もっと狂え、異常になれと思うんです」
私の頭の中で霧がかかっていたのが晴れた。
青年の得体の知れないものはこれである。
こんな話題は人に言えなかったのだろう。
私を井岡は認めたんだろう。
だから、狂気のある話を話してくれたんだと思う。
また、本音を言ってくれたんではないか。
青年は狂っているようにみえる人はいるかもしれない。
人は何かしら狂ったものを持っていると思う。
それを皆隠して生きているだけだ。
「話してくれてありがとう。 私は嬉しいよ」
「僕もうれしいです。 だけどな、博士と違うところがある。 博士はなぜ犯罪者側にこないのですか?」
井岡に陰がさす。
今、何って言ったんだ。
私の聞き間違いだろうか。
犯罪者側? こいつは犯罪者なのか。
「それは教えてあげよう。 完璧な犯罪はないからだよ。 君は仮面を使い分けが上手なようだ」
これが私の精一杯な強がりだ。
状況を理解するのに頭がついてきていない。
井岡は腰をあげ、私を待たした。
数分後、ナイフを2本持ってくる。
「僕は思ったんですよ。 違うところがあるけど、博士と命をかけて殺しあえば楽しいんじゃないかと思った。 さぁ、僕を楽しませてください」
私の前にナイフを投げた。
井岡はナイフを持つようにうながす。
私はナイフを持つ。
神経が高ぶっている。
幼いころに夢見た行為を今ならできる。
相手は唯一少しは理解してくれた人物だ。
殺すのも悪くない。
そう考えてきている。
「私は初めてだよ。 知性のない犯罪をやろうとするとは」
「へぇー、やるんだ」
「君からどうぞ」
井岡は歩いてくる。
次第に届く距離になり、青年はナイフが私の頬をかすめる。
振りが速い。 日頃からナイフを使っているように窺える。
様子見としよう。
私は人を実際に殺したことがない。
動きを真似ればいい。
真似をするのは得意だ。
「ここへ来る前の質問はちゃんと答えます。 ここがどんな場所かを教えるべきだと思いまして」
「教えてもらえるかい」
「答えはあります。 だけど、想像だけで終わりました。 僕にはそんな踏み込みのはできません」
私は井岡に幼いころから今に至るまでの考えを話した。
不思議だった。
今まで人に話したことはないけど、この青年だけには話せたのだ。
やっぱり、私は本当に似たような何かを最初に会ったときから感じていたのは合っていたと思う。
「博士は生きてこれたのは想像力があったからですね。 想像力がなければ今はないはずです」
言われればそうだ。
想像力がなければ、普通に働いてこんな生活をしていなかったはずだ。
そして、ストレスを抱えた生活であるはず。
今の私は幸せである。
世の中の人々からみれば、ずれている、共感できないと批判的な意見があるだろう。
「君は何がなければならないものは?」
「僕ですか。 異常、狂気を感じるものです。 博士の前だけで話しますが、現実で起きているそれらと虚構のそれらは僕にエネルギーをくれる。 起きる度にもっとおきろ、もっと狂え、異常になれと思うんです」
私の頭の中で霧がかかっていたのが晴れた。
青年の得体の知れないものはこれである。
こんな話題は人に言えなかったのだろう。
私を井岡は認めたんだろう。
だから、狂気のある話を話してくれたんだと思う。
また、本音を言ってくれたんではないか。
青年は狂っているようにみえる人はいるかもしれない。
人は何かしら狂ったものを持っていると思う。
それを皆隠して生きているだけだ。
「話してくれてありがとう。 私は嬉しいよ」
「僕もうれしいです。 だけどな、博士と違うところがある。 博士はなぜ犯罪者側にこないのですか?」
井岡に陰がさす。
今、何って言ったんだ。
私の聞き間違いだろうか。
犯罪者側? こいつは犯罪者なのか。
「それは教えてあげよう。 完璧な犯罪はないからだよ。 君は仮面を使い分けが上手なようだ」
これが私の精一杯な強がりだ。
状況を理解するのに頭がついてきていない。
井岡は腰をあげ、私を待たした。
数分後、ナイフを2本持ってくる。
「僕は思ったんですよ。 違うところがあるけど、博士と命をかけて殺しあえば楽しいんじゃないかと思った。 さぁ、僕を楽しませてください」
私の前にナイフを投げた。
井岡はナイフを持つようにうながす。
私はナイフを持つ。
神経が高ぶっている。
幼いころに夢見た行為を今ならできる。
相手は唯一少しは理解してくれた人物だ。
殺すのも悪くない。
そう考えてきている。
「私は初めてだよ。 知性のない犯罪をやろうとするとは」
「へぇー、やるんだ」
「君からどうぞ」
井岡は歩いてくる。
次第に届く距離になり、青年はナイフが私の頬をかすめる。
振りが速い。 日頃からナイフを使っているように窺える。
様子見としよう。
私は人を実際に殺したことがない。
動きを真似ればいい。
真似をするのは得意だ。
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