【完結】真実の愛はこちらです３〈完結集〉

旦那様は甘いのがお好き！ 〜SS・悪役令嬢と悪女は違いますが？ナニか？〜

１１

　つまりは、だ。

　家族もそうだが結局カサブランカがローナを駄目にする一番の原因だったのだ。

　自分に好意を寄せる者達との仲をローナに邪魔されても、妹可愛さについ許してしまう姉。

　妹は姉にとって自分自身が一番！　のポジションを守るために本気で姉が大事にしそうなモノを欲しいと思い込めるのだ。そう、自己暗示に近い。

　だから姉から譲り受けるモノも人も横取りした後は大事にせずに直ぐ飽きちまう。

　姉の一番は常に許されてる存在のローナだ。それ以外は二番手以下。

　自分以外は姉にとって全て偽物。

　だって、ローナが何をしてもカサブランカは本気で怒らない。

　彼女はいつだって赦して受け入れてくれる。


　――分からんでもない、いや、俺だから分かるんだろうけど。俺にとっては彼女が世界の全てだから。


　もっと自分達に甘い義兄や夫だったらこの姉妹にとっては楽だったかもしれない。

　いつだって仲良さげに過ごす姉妹に苦笑いをしながら眉を下げて遠慮する夫。

　夫を一番に想ってくれない妻に、姉の夫に色目を使ってもいいと思ってる義妹。

　そしてそれを許容する妻。

　で？　義妹をつまみ食いして他所に女作って『ざまぁ』されるんだろ？『お前が俺を愛さなかったのが悪いんだ！』とか言っちゃってさ、ばっかじゃね？　お花畑か。

　そら普通、そうは問屋が降ろさねえってなるでしょ？　いい加減乙女ゲームっぽい世界だぞココ？　あり得る展開すぎで笑えねえわ。


　それとなぁ、筋金入りのヤンデレを曖昧な『妹の我儘』なんつぅ御託ごたくで誤魔化せる訳無いデショ？


　今回、徹底的にカサブランカは俺の一番で俺は彼女の一番のポジションなんだよ、と彼女達に徹底的に教え込んだ訳だ。夫婦ってそういうもんだろ？

　姉ランカが婿を取ったように、いつかは妹ローナも嫁に行くんだ。

　親公爵夫妻もいつかは、自分達とは違う所に逝くんだぜ。

　その時にお互い笑って手を振って見送る位には、お互いに自分達の足で立ってられるように生きていこうぜ。

　俺はそれまでの時間を妻と過ごしたいし、誰にも奪わせる気は全くない。

　俺はカサブランカを愛したい。

　そして、あわよくば彼女に愛されたい。

　ただそれだけなのだ。


×××××××××××


　目が覚めてから、カサブランカは俺に説教されて萎れた花の様になってた。

　それも可愛いので許す。

　――可愛すぎて、やっぱり後で押し倒したが・・・


　義妹は知らん。

　まだ未成年だから、保護責任者がなんとかしろ。

　まあ、あの義母がなんとかするんだろな。


　俺はカサブランカの艷やかな髪を撫でながら、眠る彼女を抱き込んで美しい夕焼けが天鵞絨のような夜に移り変わる様を窓越しに眺めていた。