【完結】ずっと君を愛してる〜心惹かれる想いを君へ〜

１４４ 鼻先にキス

　「気がついたか？」


　目の前のベッドで人が動く気配がしたので目を開けると、彼女が目の前のベッドに突っ伏していた・・・


　「お前何やってるんだ？」


　俺の呼び掛けに答えるように、ソロリと此方に顔を向ける。


　「いえ、起きたら力が入らなくてそのまま前向いて潰れました・・・」


　顔を赤くして状況を説明する彼女。


　「そうか・・・　まあ、取り敢えずベッドに横になっとけ」


　彼女の肩に手を添えて体を起こしてやると、そのまま座ったので、


　「コラ、横になれ」


　そう言って睨むとズルズルと布団に寝転がった。

　薄い掛け布団を掛けてやると少し落ち着いたように見え、俺は思わずため息を吐く。


　「あの？　どうして私は会長の部屋にいるんでしょうか？」

　「覚えてないのか？」

　「う～～、パーティー会場で例のキナ臭い領主の後妻からピンク色のカクテルをかっぱらって舐めたと思いますが・・・」


　どうやら車の中の会話は記憶にないらしい。


　「じゃあ俺が口に指を突っ込んで吐かせたことも覚えてないか？」

　「え？　そう言われれば地獄の苦しみでのたうち回ったような気が・・・？」

　「それだ。お前が飲んだのは催淫剤らしいが、俺が水を飲ませて無理矢理吐き出させたんだ」


　ムウッという顔で思い出している彼女の鼻先を睨みながら、自分の顔をズイッと寄せた。


　「死ぬほど心配したんだぞッ」


　ついでに鼻先にチュッとリップ音をさせてキスをした――