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116 サーシャ視点⑮
しおりを挟む会長にエスコートしてもらう為に彼の手に触れた時、不思議な違和感を感じた。
ほんの一瞬の事でそれが何かは分からなかった。
共にダンスを踊り人と会う。
ダンスの途中で笑わない理由を聞いて唖然としたけれど・・・
流れ過ぎるような時間も役に立ちたい一心で必死で、ホールの入口で感じた違和感は頭から吹き飛んでいた。
でも、直ぐにそれの正体に気が付かされた――
会長に連れ出された幻想的な中庭で、お互いに同じ様な夢を見続けていたと聞いて驚いた。
そして彼に言われて試しに繋いだ手が
『一緒にいることが自然なんだ』
と教えてくれた。
彼と手を繋ぐことが
彼と体温を分け合うことが
さも当然のように感じたのだ。
一言で言えば
『今一緒に在る人は自分の一部だ』
急に腑に落ちたのだ。
家族とも違う。
友人とも違う。
何もしなくて良いのだ。
ただ一緒にいることが目的だったのだ。
ああ。
私は彼に追い付きたかったのだ。
探していたモノはコレだったのか。
やっと見つけた――
何故かそう思った。
どうして彼の夢を見続けているのかはよく分からなくて、きっと尊敬している彼のようになりたいと自分が思っているせいだろうと、自分に言い聞かせていた事に気がついた――
違う。
違うのだ。
だって私は今までは寂しいと思ったことは1度だって無かった。
なのに。
彼と一度繋いだ両手を離さなければいけなくなった特、初めて本当の寂しさが理解できたのだから――
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