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68 念書
しおりを挟む何故か疲れた顔になった弟が額を抑えながら溜息を1つ付いた後で、俺の顔をキッと睨んだ。
「判ったよ、とにかく兄さんにとっては義姉さんは元妻だけど、今は友人の1人って事でいいんだね」
なんか引っ掛かる言い方だとは思ったが俺は肯定の意を示すために頷いた。
1年以上前に俺は彼女を手放したんだ。
そんな俺に彼女を想う資格なんか無い――
×××
その後は、名誉毀損に関しての弁護士手続きの事を決め、アデラインが関わっている新規事業の事をどうするかという事を話し合った。
彼ら夫婦の事は恐らくだがブルーム家とバーンスタイン家の話し合いになるのだろう。
何しろアディの義妹がかなり怒っていたのを見たからだ。
確か彼女の家系は法律家だった筈だ。
――そして我が社としてはビジネスに関する事以外は静観する方針に舵を切る事になった。
「ブルーム商会の事もあるから手放しでって訳にもいかないだろうけど、今後は俺が仲立ちをする事にして何かあっても弁護士を間に挟む様にするよ。じゃないと今度は兄さんが不仲の原因にされかねないからね」
「・・・」
そして俺は弟に念書を書かされた・・・
「兄さん、意外に喧嘩っ早いから、これぐらいしとかなきゃ安心出来ない」
まぁ、確かに今回の事に関しては頭に血が登って、無茶な行動をしたのは否めないから仕方ないな・・・
「スマン」
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