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62* サーシャ視点③

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 昨日借りていた本を大人しく返却し、恋愛小説のコーナーで本を探す。

 父曰く戦略が必要? らしいので恋愛小説の達人である友人達にオススメリストを作ってもらい、上から順に読むことに決めた。

 皆ノリノリで40冊位選んでくれたけど読み終る頃には正直初等科が終わりそうな気がする・・・


 授業が終わり、図書館に行くと昨日難解な呪文の書かれたレポート用紙を落とした先輩がいた。


 日が差し込む窓際近くの席に座り、専門書を山のように積んで勉強してるみたいだった。


 明るい日差しにダークブロンドが照らされていて、ちょっと金色に見える。


 我が家は全員が同じ様なプラチナブロンドなので、陽に当たろうが日陰だろうが同じ色にしか見えないのでちょっと新鮮だった。

 本を選んで、近くの席に座ると先輩が此方に気が付いて顔を上げたのが目に映り、思わず目礼をした。



 彼もちょっと眉を下げ、少し微笑んだ後で頭を軽く下げた。


 ――あ~、昨日の事覚えてたんだ。


 何となくだがお礼を言いたかったのかも知れないなと思ったら、ちょっと嬉しかった。


 それからは毎日図書館に行くのが日課になった。

 会話も何も無いけど、本を捲る音とペンを走らせる音が小さく響く空間が居心地良かった――


 でも、読んでいた恋愛小説は面白いかと聞かれると・・・ 正直よく分からない。

 何でもっと自己主張しないの? とか、いや、そこでガツンと言ったれや! とか。

 多分違う意味で興味を引いた。

 とてもじゃないが兄に報告したらデコピンの刑に処されるような感想しか出てこない・・・ ヤバい。







 ある日の放課後いつもの様に渡り廊下を歩いていると、中庭に先輩と見た目がキラキラした人が一緒にいるのが見えた。


 ――ああ、アレがみんなの言ってたキラキラ王子様か・・・ ん?


 いきなりキラキラ王子様が、先輩の顔を殴りつけたのが見えて驚いた。


 ――うっわ、へなちょこパンチじゃん。センパイ微動だにして無いじゃん!? ッてかあんなの避けようよ・・・



 思わず周りを見回したが生憎誰も居ない・・・ 


 中庭に水遣りをするための蛇口が足元にあったので、慌ててポケットの中からハンカチを引っ張り出すとそこで濡らしてから先輩の近くまで走って行った。

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