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16 夜会

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 夜会に夫婦揃って出席するのも慣れたもので、ファーストダンスの後はお互いに同性のグループに混ざり商談混ざりの交流だ。


 今日は王族主催の大掛かりなもので、上は公爵家から下は男爵家迄が招かれた夜会だった。

 互いに微笑み合いながらホールでダンスを踊った。

 友人としてパートナーとしては互いに惹かれ合う仲ではあったが、籍を入れてもうすぐ3年。

 子供はいないし、そもそも閨を共に過ごしていない清い仲だ。

 もしも5年待ってアイツが彼女を迎えに来る事が出来なければ、正式な妻に迎えると彼には伝えてあるし、それには彼女も同意している。


 挨拶程度のハグと手の甲へのキス。


 それ以上には互いに進まないし、お互いに遠慮もあった。

 もういい、何度も抱いてしまおう身を任せようと互いに思う場面もあったが、いつも友人の顔が浮かんで来てどちらかがストップをかけた。
 

 「こんな約束しなきゃ良かったと思う時があるよ」


 いい歳をした男女が同じ屋根の下で過ごすのだから、ため息交じりで彼女にそう零した事もある。


 「そうね。貴方は理想の旦那様だと思うわ」

 「君もだ」


 そういう時は笑い合いながら、夫婦の個室でお互い1人で寝るようにした。


 正直に言うと俺は妻と友人の様に『恋愛』が分からない男だ。何処かに欠陥があるのかも知れないとも思う時もあるが、彼女に対しては家族に対する情以上を持っているのは確かだった。

 だから約束の期日が来れば彼女は諦め、俺は彼女を受け入れる決心は出来てた。








 でも、アイツは諦めて無かったな。


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