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13 約束

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 あの日彼女に会った後、俺はタウンハウスから一度寮の相部屋に戻った。

 荷物もそのままだったから。

 そしたらアイツが謝ってきた。


 「スマン。完全に俺の八つ当たりだ」

 「そうだな。俺はとんだとばっちりだ」

 「・・・ アイツ、後妻に虐待されてる気がするんだ。どんどん痩せて顔色が悪くなってくんだ」

 「・・・」

 「弟は後継だから手出ししないみたいだけどアイツは違うから。でも相談に乗るって言っても大丈夫だとしか言わないんだ。俺は卒業したら領地に行って後継者としての教育を受ける事が決まってる。その間に嫁も決まっちまう・・・」

 「だから浮名を流して釣書きが家に来ないようにして、留年するつもりでフラフラしてたのか」

 「ああ。どうしていいのか分からないんだ・・・オゴッ」

 「・・・」


 俺は黙ってアイツの鳩尾に一発拳をかましてやった。


 「早く一人前になって親の言うなりにならない様に俺は努力してる。うちの親父は子供なんざ駒扱いだからな。オマエはどうする? このまま腐って留年して好きな女を助けられないって思いながら俺の嫁になるのを指くわえてボンヤリ見てるのだけなのか?」


 床に膝を付き呻いてるアイツの顔を覗き込んだら、


 「ヒデえなオイ」

 「お前だって酷いじゃないか。いきなり顔を殴りやがって。鳩尾なら顔ほど目立たないだろ」

 「こんなに強く殴ってないぞ」

 「俺は商人だから利子をつけといた」

 「性格わっる・・・ イテエ」





 アイツは卒業した後、領主としてやっていけるだけの実力があると父親に見せつけるてやるとその時誓った。

 その代わり俺に自分の最愛を護って欲しいと懇願した。

 結婚して家を出るのなら後妻も文句は無いだろうが、ただの保護だと侯爵家の内情に問題があると見られてしまうから。
 何より親父と侯爵の間で既に婚姻契約書が交わされている。


 「5年待ってやる。それ以上は無理だな。俺も対外的に妻をほったらかしにする夫だと言われると商会に傷がつく」

 「分かった」

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