【完結】ずっと君を愛してる〜心惹かれる想いを君へ〜

１０ 帰国

　２年近く海外を転々として自国に戻ったら、明後日が婚姻式だと告げられ仰天した。


　「さっさと帰ってこいと言っただろうが」


　父が溜め息を付いた。


　「だったら海外に迄仕事を振らないで下さい。どれだけ苦労したと思ってるんですか」

　「お。すまん、そうだったな。お陰で業績がますます伸びたんだったな」


　ガハハと笑う父。

　どこまでもマイペースで、どこまでも商人な父親にため息が出た。


　「ドレスはウチの商会で作らせたし、お前の言った通りに婚約者は２年こっちで預かって学園にも通わせ卒業させた。今は商会の手伝いもしてくれてる。中々の才女だ助かっとる」

　「ありがとうございます」

　「ま、あの家じゃな。嫁に貰う前に餓死させるのがオチだったからな。母さんが喜んでたからいいだろうよ」


　意外に愛妻家の父親は母の機嫌が良ければそれでイイと思っているフシがあるので、ある意味この２年気楽だったようだ。

　女の子が欲しかった母は婚約者を可愛がっていたようでホッとした。

　弟達は寮生だが、それなりに義姉になる彼女とは交流があったらしい。

　俺が一番交流が無かったなと苦笑いをしてしまう。

　実家に帰ると、母と婚約者が迎え入れてくれた。


　「ごめん、明後日が結婚式なのに、こんなに遅くなって」

　「もう！　お父さんが悪いのは分かってるけどね」


　母は怒るが、婚約者は笑って許してくれた。


　「手紙や贈り物が届いていたから、心配はしてなかったけど、結婚式迄に帰って来られるかドキドキしたわ」


　彼女も明るく笑っていた。

　２年前とは違って、白い肌も血色が良くなり腕もふっくらと女性らしくなっていたので、何となく安心した。