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9 卒業

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 卒業式の日を迎えた。

 18歳で成人と認められるこの国は婚姻もそれ以降の年齢だ。
 婚約者は1歳下なので後1年学園に通うので結婚はまだできない。

 だけど俺の実家に花嫁修行という理由で預かる事になっている。

 親友は見事ラストスパートで卒業試験を突破して俺と一緒に卒業する事が出来た。


 「あの時はすまなかった」

 「いや。終わったことだ。領地経営頑張れよ」

 「ああ。お前は親父の商会を継ぐんだろう?」

 「ああ。1年は海外だな。継ぐのはまだその先だよ」

 「そうか」


 卒業式が終え、中庭で友人達と別れを惜しんでいると初等科の卒業生が渡り廊下を歩いて行くのが目に映った。


 「あ、お兄さん」


 聞き慣れた声がそっちから聞こえて、薄い金髪が揺れるのが見えた。


 「卒業おめでとう!」

 「ああ。君も次は中等部なんだね」

 「ほら、コレ」


 彼女はポケットから俺がプレゼントしたハンカチを出した。


 「お礼にもらったコレ! 大事に使ってるよ。お兄さん成績トップだったから答辞を読んだんでしょ? カッコよかったよ。私も勉強出来るようになるかもしれないからお守りにするね!」


 ――笑顔が眩しいと思った。


 「図書館の君?」

 「あ、お兄さんを殴ったお兄さんだ。仲直りしたの?」

 「・・・ 何で君がそれ知ってるの?」


 彼女は親友に向かい口を尖らせて


 「だって殴ってる所見たもん。駄目だよ友達殴っちゃ!」

 「ごめんなさい・・・」


 親友がシュンとして、彼女に謝った。


 「2人共もうここの大学には通わないんでしょ?」

 「「ああ」」

 「じゃあ、ホントにお別れなんだ。でもきっと2人は大人になっても友達だよね」

 「「?」」

 「男は拳で仲良くなるんでしょ?」


 屈託のない笑顔がやっぱり天使だと思った。


 
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