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1章
16① 私達の作戦〜リリーベル視点
しおりを挟む口元を扇子で隠し、壇上から説明を続けるサイラスを見つめる出席者達をソレとは分からないようにそっと見回す。
――彼の演説に皆聞き入っているように見えるわね。
まぁ、彼は元々カリスマ性は高いし、学園入学後は王族っていう自覚もできて人付き合いもイイからからね。
作戦は成功っぽいようで安心だわ。
『俺に全部任せろ!』
って本人が胸を張って言うから任せたのよね。
直ぐ調子に乗るからそこだけが心配だけど。
×××
『リリアナが一夫多妻を当たり前って思ってる自国の貴族子息は気持ち悪いって言ってたの。何とかドッカ王国の学園に留学できないかしら? この国は一夫一妻が浸透してるから、人によりけりだけどあの国の貴族子息に比べたらかなり紳士的だと思うの』
『ほお。それは都合がいいね』
『?』
お父様がカトラリーを動かすのを不意に止めてニッコリ微笑んだ。
要するに夕食時に私が発した言葉で今回の計画が立てられたのよね。
×××
お父様と共にエファーソンの国王にその事で秘密裏に謁見したのは既に2年以上前になる。
隣国側としてはドッカ王国に嫁いだお母様の娘である私より、サイラス王子の伴侶には自国の公爵令嬢で王族でもあるリリアナの方がありがたい筈だと言い出したのはお父様だった。
謁見した時の話し合いの時、同席させてもらったのでそれはよく分かった。
そりゃあそうよね、彼女は隣国の王家の王位継承権持ち、しかも確か5番目くらいのはず。比べて私は隣国王家の継承権が全く無いわけじゃないけどかなり後ろ・・・多分12~15番目位だもの。
あの感じだと、もしアナが自国で貴族家を賜りたいと願えばエファーソン王家は簡単に叶えるだろうし、サイラス自身もドッカ王国の王位継承権を持ってるから二人の婚姻後の身の振り方はどうとでもなるはずなのだ。
問題は国外まで知れ渡ってる私とサイラスの婚約の認知度と、王妃様とその後ろ盾の公爵家なのよねえ・・・
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