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2章
23②
しおりを挟むそう言いながら剣を振り続ける妹の答えがちょっとおかしい・・・
「まぁ、諦めなよ。行方不明の兄さんを見つけるまで・・・いや、見つけてからもか。あの熱意と根性。結構ドン引きだったから・・・」
何かを思い出す顔をして一瞬だけ遠い目になった妹を見て、アルフレッドも遠い目になった・・・。
――いや、俺は行方不明になった覚えは無いんだが・・・
一体何があったんだと聞こうとして、人間知らないほうがいいこともあるんだよ、と妹の無言の笑顔がもの凄ーく語っているような気がして追求するのはやめることにした。
「兄さん久し振りに手合わせしてよ」
「ん~~・・・これ片付けてからなら、いいかな」
「やったー。学園内も王都の騎士団も、侯爵家の私兵団も手応えなかったからつまんなかったんだよね~」
嬉しそうに満面の笑顔になる妹に苦笑するアルフレッドだった。
×××
リリーベルが目を覚ました時刻は既に明るい日差しが窓から差し込んでくる時間だった。
「あら、ロザリーったら朝は起こして欲しいってあんなにお願いしてあったのに・・・」
自身の寝起きの悪さを――自分は侍女にはなれっこないな~護衛騎士で良かったと、ロザリーが宇宙を眺める顔になる程の―― 棚に上げブツブツ文句を言いながらベッドで身を起こし、着替える為に自然と使用人を呼ぶベルを鳴らそうとサイドテーブルに視線を向けるが・・・
「無いわよね・・・馴れって恐ろしいわ・・・」
そもそも実侯爵邸なら起きる時間になると侍女が部屋にやって来て湯の入った洗面ボウルやらタオルを差し出してきて、夜着を彼女達が脱がせて勝手に着替えが進んでいくのだ。
それが王都の高位貴族家の常識である。
『そんな常識は貧乏伯爵家にはあり得ないからね?』
散々馬車の中でロザリーにも言い聞かされてここまでやってきたのだ。
頭では解っていても慣れ親しんだ習慣は中々改める事は出来ないものなのね、と思い知った瞬間である。
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