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1章
10③
しおりを挟む学園内で様々な噂が流れようが一切気にせずリリアナ嬢と殿下は仲睦まじく過ごし、リリーベル嬢と殿下は顔を合わせば口喧嘩という実に彼等らしいコミュニケーションに精を出す毎日だ――それでもやっぱりサイラス殿下とリリーベル嬢は婚約者同士のままなのだ。
王家もどんだけヘイワードの資産に拘っているのだろうかと、現場を生で見ている者達は首を傾げずにはいられない。
まあ、そのおかげで国内1と言われるほどの資産家であるヘイワード侯爵家の一人娘にちょっかいを出す輩は見当たらなかったし、国内1と言われるほどの美貌の王子に言い寄る貴族女性もいなかった。
――お互いが互いに虫除け効果?・・・
例外はリリアナ・オクステン嬢だが、此方は殿下が彼女を見つけたらワンコのように尻尾を振って走っていくので仕方が無い。
なんせ相手は王族なのだ。
公爵令嬢といえども断りきれるものでは無いからである・・・
×××
「まあ、確かに王子妃教育はもう何年もボイコットしてるし、婚約解消の嘆願書も何度も送ってるわね。その提出の為に王城にほぼ毎週通ってるわ」
王都の中心街にあり、個室も備えている貴族向けの高級カフェの一室でヘイワード家の当主と共に座るリリーベルが笑いながらそう言った。
「でもそれは御父様が許可してる事だから。それと陛下と王太子殿下、後は宰相閣下もすでに納得済みだから、ボイコットとは言えないわよ」
肩を竦めるリリーベルを呆れ顔で眺める双子の姉妹。
つまり納得していないのは王妃だけということなのだろうと二人は思ったらしいがそれを口にはしなかった。
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