初恋の君に嫁ぐ為には、王族を蹴散らし、魔獣と戦い?獣王様を屈服させる!?必要があるんだそうです・・・

hazuki.mikado

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1章

11①サイラス第2王子視点[1]

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 リリーベルに初めて会ったのは王宮の中庭で行われたお茶会だった。



×××



 ヘイワード侯爵家はこの国の流通機構の要であり王国にとって重要な貴族家なんだと言われても全く意味が分からないままだった。

 その家の娘が生まれた時からの俺の婚約者で、くれぐれも失礼のないようにと言い聞かされながら朝から侍従にキッチリとした衣装を着せられ、寸分の隙もない様にと、その場の全員から満遍なくチェックされてから中庭へと送り出される俺。

 薔薇の花が咲き誇る美しい中庭のガゼボにセッティングされたティーテーブルを挟んだ正面の椅子に、7歳とは思えないような見事なカーテシーをした後で優雅に着席した少女は顔にはソバカス、猫のようなつり目に、見たことの無いような鮮やかな赤い髪色をしていた。



×××



 その頃俺は未来の義姉である兄の婚約者が大好きでめちゃくちゃ懐いていた。


 要するに義姉が俺の初恋の人。


 彼女は明るい金髪をしていて、大きなブルーのタレ目は優しげで、透き通るような色白の肌をしていて、常に微笑んでいるような儚げな容姿の人だ。

 所がどっこい俺の婚約者と紹介された目の前の女の子は気が強そうな吊り目をキラキラと輝かせていて、寧ろ義姉とは正反対に見えた。


 婚約者といえば義姉のイメージしか無かったので、会う直前迄は義姉の様な優しげな女の子がきっと目の前に座るんだと信じ切っていてた俺は動揺し、つい大声を出した。


『お前みたいな不細工と婚約なんかしたくなかった!  赤い髪の毛なんか嫌いだ』


 って。そしたら彼女が


『何よ! 偉そうに。あんたのほうが私を無理やり婚約者にしたんじゃないのッ!  こっちだって好きで婚約したんじゃないわっ!』


 と。

 ガッツリ言い返してきて大喧嘩になり、とうとう茶会の間は口をきく気もしなくてずっとよそを向いていた。


 なんだ。お互いに嫌なんだから婚約なんかやめればいい。


 俺は子供ながらにそう思ったね。








ーーーーーーーー


ある意味似た者同士。


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