初恋の君に嫁ぐ為には、王族を蹴散らし、魔獣と戦い?獣王様を屈服させる!?必要があるんだそうです・・・

hazuki.mikado

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1章

10①様々な噂

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 卒業に向けて後2ヶ月。

 着々と日々が過ぎていく。

 そんな平和だけれど忙しい時期に学園内で何やらリリーベル侯爵令嬢とサイラス王子に関する噂が盛んに囁かれるようになった。


『リリーベル嬢が王子妃教育をボイコットした』


 から始まり、


『リリーベル嬢が隣国の公爵令嬢を虐めたらしい』


 だの


『オクステン公爵令嬢のカバンをリリーベル侯爵令嬢がゴミ箱に捨てたらしい』

『もうすぐ第2王子とリリーベル嬢は婚約破棄をする』

『リリーベル侯爵令嬢が黒魔術に傾倒した』

『殿下が廃嫡覚悟で公爵令嬢にプロポーズした』

『殿下がとうとう真実の愛を見つけたらしい』

『リリーベル侯爵令嬢が婚約白紙撤回の嘆願書を王家に提出した』


 といった、バラエティーに富んだ根も葉もあるやらないやらサッパリ分からない噂である。


『王子の婚約者でいたいが為に』


 とか、


『リリーベルは王子に惚れているから嫉妬しているんだろう』


 やら、


『元々の噂自体をサイラスが流しているに違いない』


 といったものまであるらしい。



 色んな事を言われてしまっている二人だが、それでも平気な顔で過ごしていられる彼らはある意味大物。

 さすが王族と上位貴族だ。

 ツラの皮は見事に厚い。

 細かいことを気にしていたらそんな家業はやっていられない。


 そして相も変わらずお互いに言いたい放題で最後は『バーカ! バーカ!』とお互いに言い合いながらプイッと顔を逸らして違う方向に去っていくのだ――まるで子供である。



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