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転生悪役令嬢はダサいのがお嫌!!
26 夜会
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陛下の開催宣言の後、観客の拍手と共に夜会が始まった。
国王夫妻とアーレス王子とイリス公爵令嬢の二組がファーストダンスを披露すると、あまりの優雅さにまわりの観客達から、ほぅ、と溜息が漏れた。
次に隣国の王子と皇国の皇子の二人が、少し前までアーレス王子の婚約者候補として競いあっていた侯爵家のご令嬢と、アーレスの妹である王女殿下と一緒に楽しそうにダンスを披露する。
今回の夜会ではこの女性二人が各王子のホスト役に決まったらしい。
侯爵令嬢と王女の二人も、中々の美人で会話上手な女性達なので王子も皇子も概ね満足しているようだ。
アーレスとイリスが婚約後初めて二人揃って出席する夜会という事もあり、人々の関心はイリス公爵令嬢にあった。
彼らは傾国の美女と言われた公爵夫人アイリスに瓜二つという噂の御令嬢を一目我が目で確かめようと考えて、ジリジリと挨拶の順番を待っているようである。
先ずは、各国の外交官達が列を作って挨拶にやって来る。その中でも隣国と皇国の外交官は申し訳無さそうに謝罪を述べるのだが、何故か顔は真っ赤に紅潮していた。
イリスは快く其れを受け入れたがアーレス殿下は始終渋顔だった。
次に国内の貴族達の挨拶の順番がやってくると、あっという間に広間の出入り口付近まで続く列ができてしまう。
国王一家の集まる一段だけ高くなった王族席は、挨拶のためにやってくる貴族達の壁で離れた場所からだと見えなくなってしまった。
彼らは、国王夫妻への挨拶の次にアーレス王子とその婚約者であるイリスに近づくと、眩しいものを見るような仕草で二人に向かって挨拶をしていくのだが、イリスは王国内にこんなに沢山の貴族家があったのかと少々驚いた。
その間、一度たりともアーレスは始終笑顔を崩さなかったが、イリスの腰に回した手が離れることはなかった。
感心する粘り強さである。
そして時折癖の有りそうな貴族の前では彼女の髪や頬に触れてしっかり威嚇するのを忘れなかった。
牽制っぷりが素晴らしい。
一度挨拶の列が途切れた時にイリスの目の端に特徴のあるピンクブロンドが目に入った。
遠目にも色白で小柄な女性なのが見て取れる。
『あら? ひょっとして?』
イリスの直感がヒロインでは? と囁いている。
彼女は隣国の騎士団の男性達とお喋りに興じているようで、こちらに近寄って来る様子はないようだ。
『気にし過ぎかしら?』
首を傾げていると、アーレスが肩に手を回して来た。
「また、挨拶の波が来るよ」
そっと彼が耳元で囁いたので、擽ったくなり、
「・・・んン!」
と、色っぽい声が出た。
目の前の貴族男性が、真っ赤になって挨拶もそこそこに去っていく。
アーレス王子はそれを見て、ご満悦のようだった。
イリスは彼を見上げて、成程コレもまた牽制なのですねと了解の意を示すために微かに頷きながら微笑んだ。
国王夫妻とアーレス王子とイリス公爵令嬢の二組がファーストダンスを披露すると、あまりの優雅さにまわりの観客達から、ほぅ、と溜息が漏れた。
次に隣国の王子と皇国の皇子の二人が、少し前までアーレス王子の婚約者候補として競いあっていた侯爵家のご令嬢と、アーレスの妹である王女殿下と一緒に楽しそうにダンスを披露する。
今回の夜会ではこの女性二人が各王子のホスト役に決まったらしい。
侯爵令嬢と王女の二人も、中々の美人で会話上手な女性達なので王子も皇子も概ね満足しているようだ。
アーレスとイリスが婚約後初めて二人揃って出席する夜会という事もあり、人々の関心はイリス公爵令嬢にあった。
彼らは傾国の美女と言われた公爵夫人アイリスに瓜二つという噂の御令嬢を一目我が目で確かめようと考えて、ジリジリと挨拶の順番を待っているようである。
先ずは、各国の外交官達が列を作って挨拶にやって来る。その中でも隣国と皇国の外交官は申し訳無さそうに謝罪を述べるのだが、何故か顔は真っ赤に紅潮していた。
イリスは快く其れを受け入れたがアーレス殿下は始終渋顔だった。
次に国内の貴族達の挨拶の順番がやってくると、あっという間に広間の出入り口付近まで続く列ができてしまう。
国王一家の集まる一段だけ高くなった王族席は、挨拶のためにやってくる貴族達の壁で離れた場所からだと見えなくなってしまった。
彼らは、国王夫妻への挨拶の次にアーレス王子とその婚約者であるイリスに近づくと、眩しいものを見るような仕草で二人に向かって挨拶をしていくのだが、イリスは王国内にこんなに沢山の貴族家があったのかと少々驚いた。
その間、一度たりともアーレスは始終笑顔を崩さなかったが、イリスの腰に回した手が離れることはなかった。
感心する粘り強さである。
そして時折癖の有りそうな貴族の前では彼女の髪や頬に触れてしっかり威嚇するのを忘れなかった。
牽制っぷりが素晴らしい。
一度挨拶の列が途切れた時にイリスの目の端に特徴のあるピンクブロンドが目に入った。
遠目にも色白で小柄な女性なのが見て取れる。
『あら? ひょっとして?』
イリスの直感がヒロインでは? と囁いている。
彼女は隣国の騎士団の男性達とお喋りに興じているようで、こちらに近寄って来る様子はないようだ。
『気にし過ぎかしら?』
首を傾げていると、アーレスが肩に手を回して来た。
「また、挨拶の波が来るよ」
そっと彼が耳元で囁いたので、擽ったくなり、
「・・・んン!」
と、色っぽい声が出た。
目の前の貴族男性が、真っ赤になって挨拶もそこそこに去っていく。
アーレス王子はそれを見て、ご満悦のようだった。
イリスは彼を見上げて、成程コレもまた牽制なのですねと了解の意を示すために微かに頷きながら微笑んだ。
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