【完結】美貌の男はお好きですか？それが例え悪魔でも？〜悪魔のお嫁様〜

５５ ナルシストな王子様

　「今朝、君のご両親に伝えたのは君を私の愛妾として貰い受けたいという内容なんだがね」


　愛妾とは要するに本人に妻がいて初めて成り立つものであり、独身である第２王子にとっては無意味だ。


『将来的に妻としては娶れないけど、養うから恋人になってね♡』


　と言いたいのかもしれない・・・　

　が。

　取り敢えずこのフィリップ王子の言ってることが、かなりおかしいのは、周りにいた全員の一致した意見である。

　だって直前にこの異国の美男子が婚約者だって言ってたよな、と皆が首を傾げる。


「あぁ゙？　頭、湧いてるんじゃねえか？」


　ボソッと小声で呟くキアン。当然彼の表情は、まぁ、非常に物騒である・・・


「は？　お断り致しますわ」


　そして、何いってんだコイツという冷た～い目になるアリアは速攻でお断りだ。


「いやいやいやいや、そんなに照れなくても良いじゃないか」


　照れ笑いをしているのはオマエだよ、つーか、お前気が付けよ――と周り全員が冷めた目になるのを気が付かない王子様。　

　厚顔じゃないと王族という仕事はやってられないのかも知れないが、彼の場合ちょっと難がある――


「君は私が美しいから遠慮しているんだろう？」


　自信ナルシストもここまで来るとドン引きである・・・


「「あ゙ぁ？」」


　アリアとキアンの声が重なった。


「失礼ですけど、第２王子様、ご自身のお部屋に姿見鏡はおありでしょうか？」


　パシャリと音をさせて、扇子を広げて口元を隠すアリア。

　この場になって淑女アリアとして初めて


『コイツと付き合えねぇよッ』


　という拒絶を示した事になる。


　因みに周りにいた貴族の女性達もほぼ全員がアリアと同じように、扇子で口元を隠してしまった。






　女性全員敵に回してどーすんだよ(汗)・・・　

　と、言ってくれる親切な人は何処にも居なかったようである・・・