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42 船室
しおりを挟むフラつきながらアリアを掴もうとする大男は兎にも角にも酒臭かった。
『ぎゃあああぁ!! 臭いっ! 近寄らないで!』
アリアは声にならない叫び声を上げながら真っ青になり、ベッドの上から床に転がり落ちた。
但し、体に巻き付いたロープのせいで芋虫の様に床を這いずって逃げるしかなかった為スピードは遅く、捕まるのはあっという間であった。
ワンピースの襟首あたりをムンズと捕まえられ、まるで猫の様に床から持ち上げられたアリアは恐ろしさで震え、勝手に頬を涙が流れる。
『ヤダヤダヤダッッ~~~!!』
声にならない叫び声を上げながら頭をブンブン振るが、男が離してくれる訳もなく、あっという間にベッドに放り投げられ逆戻りだ。
ボロボロにされたワンピースの襟はその衝撃でさらに『ビリッ』という悲惨な音を立て破れてしまう。
ベッドの端へと転がって逃げようとしたが、足を捕まれて引き戻される。
『×××××! ×××?!』
顔の赤い大男は何かをブツブツ言いながら、彼女をベッドの真ん中にうつ伏せにして押さえつけたが、体の彼方此方に巻き付いているロープが邪魔らしく、それを引きちぎろうと引っ張っているのだが、アリアは怖くてたまらない。
『イヤだあああぁ』
陸に上がった魚のようにビチビチと暴れるアリアの背中を、大男はうっとおしげに力ずくで押さえつけ大人しくさせようとするせいで、内臓が圧迫され息ができなくなりアリアは口をハクハクとさせた。
涙を流しながらいやいやと頭を振り乱し、長い金髪がボサボサになっていく。
『イヤだ! こんな奴に。助けてキアン!!』
黒檀のような黒髪に褐色の肌とアメジストの瞳が思い浮かび、思いがけず叫んだが、猿轡で声は出ない。
男の硬い手が彼女の膝裏を触り、心底ゾッとして喉が詰まって吐きそうになった。
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