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7 賢者エクネ
しおりを挟む賢者は名をエクネと名乗った。
「まあ、助からんこともないがな、やってみるか? 対価はいるぞ? タダじゃ出来ぬからのう」
彼女の言葉にハッとした伯爵は彼女の足元に縋りついてなんでもすると懇願した。
「こら、何でもしちゃイカン。対価に何を支払うかは相手次第じゃからのう」
エクネは神妙な顔をして杖で伯爵の頭を小突くと、何やらその杖の先で地面に絵を描き始めた。
「これでのう、釣りをするんじゃ」
イッヒッヒと何やら楽しげに笑う彼女を呆然と見ていると、地面に描かれた図案が金色に光り輝き、思わず目を閉じた伯爵の耳に男の怒号が聞こえてきた。
「おい、エクネ! てめえ、どういうことだ!!」
エクネと呼ばれた白い賢者はそれにはすぐに答えず、イッヒッヒともう一度笑うと
「まさか眠ってた奴が引っ掛かるとは思わなんだよ」
そう言いながらその場で尻もちをつく伯爵の肩をポンポンと叩いて
「もういいよ、アンタの娘は大丈夫さ」
そう言ってもう1度愉しげに笑い声を上げた。
伯爵が目を開けるとそこには黒檀のように黒く長い髪の毛を肩に垂らした上半身裸の男が立っていた。
肌の色は褐色で目は陽の光を受けて輝く湖のような蒼翠色。
恐ろしいくらい整った顔は野性的で精悍だったが、何やらエクネに対して怒っているようで今にも彼女を殴り殺しそうな勢いで暴れている。
だがどうやっても彼女の描いた図形から出てこれないらしく、見えない壁を拳で叩いているだけだ。
「あの、賢者殿? 彼は一体?」
「ああ、ありゃあ悪魔さ。初めてかね?」
エクネの言葉に気が遠くなった伯爵であった。
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