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17番目の姫君と盗人
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しおりを挟む17番目の姫は今回の催しには欠席である。
国内外の見合い相手がもはや決まっているため出席すると要らぬ騒ぎになるかもしれないと、大臣達に止められたのだ。
しかしそれでは勉強にならぬと後宮の側妃達が、又もやベールで顔を覆い隠してこっそり会場に姫を送り込んだ。
兄弟以外に面識が全くないまま男と見合いをさせることを皇后陛下が良しとしなかったのである。
見たこともない生き物を並べられてこの中から選べなどと言われても比べようが無いであろうと云うのが母達の言い分である。
姉妹の周りに侍る男らの表情やら会話やらをよく見て立ち振舞の様子を探ってこいと云うのが彼女にとっての課題である。
ある者は姉たちの美しさに呆け、ある者は妹達を言葉巧みに口説いているのだが・・・
喋り方、服装、目線。
全てに置いて信頼できる者かどうかをたった一度の宴で見極めるなど至難の技だと思いながら17番目の姫はため息をついてしまった。
気がつくと自分を目で追ってくる男が居る・・・
姫が視線を感じて振り返ると真っ赤な頭と浅黒い肌をした背の高い男が此方を見つめている。
服は異国情緒溢れる蔓模様の刺繍が施された細身のパターニースーツを身に着けている。
きれいな所作でグラスを傾けながらニヤリと笑った時の顔がどこか懐かしい気がして目を凝らすと、猫のようにスルリとホールの出口から出て行ってしまう。
気にはなれども追うほどのこともあるまいと思いそのまま姫は忘れてしまうことにした。
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