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167 蘇る腹立たしい記憶・・・
しおりを挟む前世で似たような事があったなと急に思い出だして半眼になるフロイライン。
×××
中学生1年生の頃の出来事である。
同級生の男子に相談があると放課後呼び出され、
『なんだよ? 面倒臭いな』
と思いながら誰もいなくなった教室に部活の途中で出向いたのだ。
「コイツがお前の事好きだってさ。
付き合ってやれよ」
いきなり呼び出したそいつが、隣の席の男子の事を自分の目の前に連れて来てニヤニヤ笑いながらそう言った。
「へ?」
「コイツもうすぐ転校するからさ、」
「つ、付き合って下さい!」
大した用事も無いのによく話しかけて来るな、とは思っていたが男女関係なく誰とでも仲良くしていた花梨にとってはクラスメイトの一人に過ぎなかった男子である。
「・・・ 友達以上に思えないんだけど」
――色白でスリム、女の子っぽい雰囲気をした男子で、花梨としては生理的に受け付けないタイプだった上に、好きでも無いのに付き合うのは失礼じゃ無いのか?
と彼女は考え正直にそう答えただけだったが、翌日から仲が良かった筈の男子達に敬遠され次第に女子にまでその雰囲気が飛び火した。
終いには
『人の気持ちが分からないやつ』
だの
『生意気なやつ』
等と陰口を叩かれた。
――掌返しも甚だしいと思った。
言い寄った相手をフった側なので、悪口や言い訳をするまいと気丈に振る舞ったのが良くなかったのだろうか?
それとも転校するまでの数カ月を彼女としてお情けで付き合ってあげた方が良かったのか?
花梨だった自分は未だに対処法が分からない。
何人か普通に対応してくれる知り合いや他のクラスに友人がいたので何となく過ごせてはいたが、あれは完全ないじめだろう。
結局その後、花梨を好きだと言った男子は転校していなくなり、その後は会うこともなくおせっかい野郎とは卒業するまで二度と口を利かなかったのだが・・・ 彼女にとっては非ッ常~に腹の立った出来事だった。
お陰様で仲良くする友人は大勢いても集団行動は超苦手で他人とは一歩距離を置き一匹狼の様に行動する業が身についた。
今生でも入学当初から友人らしい友人も作らずにアルバイトに奔走して平気なのは、その辺りの感覚を前世から引きずっているのかもしれない・・・
記憶の彼方に押しやっていた胸の奥のモヤモヤが急に蘇りフロイラインの気分は現在急降下で不機嫌に傾きつつあった。
×××
ハロルドはフロイラインを好きかどうかが分からないまま、元婚約者のリアーヌを好きだと直前まで信じ込んでいたという違いはあるかもしれない。
しかしお節介な奴に
『コイツがお前を好きだってさー!』
と言われたのと心理的には一緒。
要は彼女にとってはほぼ同じシュチュエーションである――
「で? 私にどうしろって事ですかねえ・・・ アアン?」
剣呑とした彼女の様子にハロルド王子とヨハン子息が思わず
「「ぴぇッ!?」」
と、変な声と共に背筋が伸びた。
『『駄目だ! これ怒られるやつッ』』
~~~~~~~~~~~~
風邪ひきました。
当分不定期ですスイマセン(_ _)
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