【完結】距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado

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150 ソレ、ヤバいヤツ。

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 学生時代に男同士の恋愛漫画ばっか描いてた漫研の連中とかいたよな・・・

 とかいう前世のローカルな思い出が一瞬頭をぎるフロイライン嬢。


「あ~、えーっと御愁傷様・・・?」

「「・・・・・・」」


 押し黙り項垂れる殿下と、眉が下がるヨハン。


「いや。でもさ、なんで殿下は女装してるの?」


 そう。

 ソコが微妙に気になるフロイライン。

 その姿で、もしマリーナ皇女に見つかったらただの餌食になるだけじゃん?


 何でわかんないのかな?!


 見られたら今度はバンガス団長じゃなくて相手がヨハンになるだけだよ~ と言いたいところだが、お口はミッフィーちゃんである。


「俺とヨハンが一緒に消えた訳だから、男二人組を探すだろう?

 それなら男女ペアの方が誤魔化せるだろうと思って不本意ながら俺が女性の服を着たんだよ」


 トホホという顔の殿下。


「私では身体が大きすぎるから女性の服は無理だからな」


 確かに騎士見習いのヨハンでは無理だろう。

 確実に漁師町の肝っ玉おばさんになるが、殿下はお妃様似なので実際美少女に見える・・・


 本人には言わないけど。



「マリーナ皇女は魔女なんだが、かなり優秀で我が国の王宮内だけじゃなく王都でも魔法が使えるらしいんだ。

 本人が王都に来た時に試しに使ってみたらしいんだが魔法が普通に発動したらしい」

「へ~、凄いですね。

 魔塔の魔法士並みってことですよねソレ?」

「ああ。

 どうやら転移も可能らしいんだ」

「あ~・・・、闇属性ですかじゃあ。

 ひょっとして?」

「隠蔽は無理らしいが、マーキングした相手なら追尾魔法が使えるらしいんだ。

 多分あの現われ方は俺をマーキングしてると思う。

 だから追いつかれた時に見た目で直ぐ分からない様に変装した方がいいと思ったんだ」

『いや、パッと見た感じ女の子に見えてもねぇ~』


 足をおっ広げて、膝に握った手を置いたままソファーに座る殿下に非常に物申したい・・・


『でも、マリーナ皇女って確かセルゲイ皇太子の悪役令嬢だったけど、魔法は多少使える程度で魔女っていえる程じゃ無かったと思うんだけど。 うーん・・・?

 ハロルド王子との見合いもそうだけど、絵を描くとかそんな設定は無かったはずなんだけど・・・』


 首を傾げるフロイラインである。



 ×××



 「え? なんすスかこのバングル?」


 その頃、恋愛相談所の入り口に繋がっている階段下で、ハンスがレイモンドから透明な魔石が嵌め込まれたシルバーのバングルを渡されていた。


「コレがそのバングルと対になるネックレスだ。

 リアのと違って対象を遠ざける機能はついてないが、フロイライン嬢に悪意を持っている人物が近づいたら、そのバングルの魔石がが青、黄色、赤に光るから」

「へぇ~ 便利っすね」


 ハンスは薔薇の花を模った銀色のペンダントトップのついたネックレスを持ち上げて首を傾げた。


「コレをあの嬢ちゃんに渡しといたらいいってことスよね」

「ああ。

 リアの大事な友達だからね。

 フロイライン嬢に何かあれば彼女が悲しむ。

 任せたよハンス」

「了解です」


 その場から一瞬で消えたレイモンド。


「あ~、またレイモンド様レベルが上がったね。

 ホント天井知らずだよねぇ、あの人」


 残されたハンスは肩を竦め、手の中のネックレスをシャラリと音をさせて持ち上げて目を細めた。


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