【完結】距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado

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61 いやまて、ちょっと待て。

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 騎士団長の奇行とも取れるような行動を見送ったハロルド殿下と側近候補達は事務官に執務室から追い出され、渡り廊下の右側を1列になり出口へと向かっていた。



「一体何が・・・」


 先頭の殿下が首をひねりながら呟くと、それに反応して、殿下の初チュー被害者であるヨハンが首を傾げ


「何かコックス嬢の周りで何か大変なことが起こってるのか?」


 と、難しい顔をした。


「確かに。バンガス騎士団長の行動は捕縛する理由が出来て喜んでいるとしか思えませんでしたが・・・ 
 団長はコックス夫妻に対して『犯罪者』という言葉を使ってましたしねぇ」


 魔法学科に通うアベルがウンウンと頷きながら自分の意見を述べる。


「我々もそうですが、コックス嬢は恐らく何も知らないのでは? そもそも逃げようと考えるほどの養父母ですが、自分に関しての事しか言ってませんでしたよね?」


 そう言うのは、侯爵家の子息で騎士科のベイジルだ。


「彼女、今日から土日に掛けて実家に帰ったりしてないよね? 下手したら検挙騒ぎに巻き込まれるんじゃ・・・」


 最後尾で考えながら歩いていた侯爵家の子息カイルが言った言葉にに全員がぎょっとして振り返る。


「いや、彼女一応一人娘だからさ俺と同じ領地家じゃん。2年生の授業の最初の方で自領に関するレポート提出とかあんのよ。でぇ、割と真面目な生徒はちょくちょく領地に帰るんだよね・・・ あ。でも、ちょっと待ってコックス領は・・・」


 他の4人は顔を見合わせ、


「「「「大変だ! 止めなくては!」」」」


 と一斉に口を開きカイルの言った言葉は耳に入らなかったようで、いきなり馬車溜まりに走り出した。


「いや、ちょっと皆聞いてよ、コックス領はそんなに近くじゃなかったから大丈夫だって、お~い! 待てってばッ! お前らどうしてそう人の話最後まで聞かないの?! ちょっと!」


 走り去った4人を慌ててカイルは追いかけた・・・



 ×××



 「だから未だ公爵邸に居るかもっていったでしょうが! なんでお前ら最後まで俺の話し聞かないのさ?!」


 5人は慌てて馬車に乗り、学園寮に向かったが外出届けが出されており残念ながらフロイラインには会えなかった。

 もっとも侯爵子息カイルだけは


『コンフォート家に先に行くほうがいいって!』


 と反対したのだが多数決で負けたのだが。


「なんでそう思ったんだ?」

「殿下が彼女に馬車に押し込まれてた時に『リアーヌ様との話が長くなるから先に帰って!』って言って怒ってたでしょ?!」

「あ。ああ、そうだった・・・ かな」


 多分全員が無意識に公爵邸に行くのは避けたかったんだろうな~ と遠い目をしたカイルだった。


 ×××



 「「「「「え! いない?」」」」」


 コンフォート邸に着いてまず門番に言われたことはフロイラインどころかリアーヌすらいない、だった。


「二人とも、既にコンフォート領に到着しておる頃でしょうな」


 一応だが、王族である王子殿下に直接質問されれば、教えないわけにもいかず門番は苦肉の策として前ビルエナ侯爵を呼んだのである。


「え? コンフォート領は確か馬車で20日くらいかかるんじゃ?」

「鳥竜に乗って2人だけで出発しましたのでな。従者は後から追って魔馬で出たところですな」

「え? 誰があのプロクスバードを誘導するんですか?」


 王子が素っ頓狂な声を出した。


「もちろん我が孫娘ですが? なにか?」


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