【完結】距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado

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45 青天の霹靂①

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 「では、2年間交流どころか近寄る事すら出来ないということでしょうか?」


 リアーヌが護符を身につけ、物理的に自分の方が距離を置かれてしまったことにショックを受け


『ガ~ン』


 という効果音が聞こえてきそうな顔になって機能停止したハロルド殿下の代わりに先程まで悲惨な目にあっていたヨハン子息が前侯爵に問うと、


「そうだな。30メートル以上は近寄れんようだからな。今日確認出来て良かった。ほれ、王家の馬車があるだろう? あの馬車は玄関ポーチ前に着いた時は空だった。呪が発動する地点に到達した時に殿下は既に移転してたんだろう」


 全員が玄関前に止まっている白い馬車をグリンッと振りかえる。


「あの箱馬車は30メートルをかなり行き越したくらいの位置だな。恐らくだが急停車したんだろ? 王子が急に車内に現われて」


 白い馬車に追従していた侯爵家の馬車は急停車したせいで斜めに止まり、プロクスバードを見て興奮している魔馬を御者が宥めている。

 位置としては先頭の馬車のすぐ近く。


「はい。光と共に殿下が急に宙に浮いた状態で現れて。直ぐ停車させましたが馬車の壁を殿下がすり抜けてしまい・・・」


 侯爵家の子息、ベイジルが答える。


「で、3台目に殿下が現れて止まった訳か」

「ええ。ヨハンの前に現れてそのまま彼の膝の上に落ちた・・・ と云うよりも、空気椅子に座った殿下の下にヨハンが突っ込んだ様に私からは見えましたね」


 魔法に長けている伯爵家の子息、アベルが冷静に答える。


「成る程。最初は壁をすり抜け、次は人に当たって止まったか。人はすり抜けられない様になっとるみたいだな」

「いえ、私とヨハンは向かい合わせに座ってました。彼はフロイライン嬢が窓から落ちないように捕まえてましたからね。
 だったら進行方向に背を向けていた私が彼より先に殿下を背負う形になったのでは?」

「それもそうだな・・・ ああ、そうか成る程」


 ヨハンと呼ばれた子息をマジマジと見て1人納得する前侯爵は、


「まあ、いい。とにかくリアーヌとは会えないんだから、諦めて帰るようにな」


 そう締めくくろうとしたのたが・・・


「ちょっと待ったぁあああ!!」


 と。叫んだのはフロイライン嬢。


「なんだ? 何か用があるのかな?」

「ここまで来て帰れと言われても、御令嬢に直接会って謝罪する迄は引き下がれませんッ!」


 そう言いながら土下座状態から立ち上り、前侯爵に向かって一歩進むと


 彼女は『ジャンピング土下座』を華麗に決めた・・・。
 

「殿下はともかく、私や側近候補の方々はコンフォート嬢に会おうと思えば会えるはずです! どうかお願いします。彼女に会わせてください!!」




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