51 / 90
6章 殿下魔獣討伐へ
51.そういうトコやぞ〜
しおりを挟む「ま。今迄通りに王族としての執務はあるし、魔獣討伐遠征はあるし。前世持ちだからって何も現状が変わるわけじゃないわ」
王妃がシレッとメイドが運んできた紅茶に口を付けた。
「やることは今迄と一緒。ちょっとだけやるせない気持ちになる記憶が増えただけよ」
はぁ、とため息を付く。
「別に現状に不満があるわけじゃないし。旦那がちょっとだけダメンズに交代してるけど」
「「ダメンズ・・・」」
「だって、ただの脳筋よ? 女の子や騎士達の前ではカッコつけちゃって、文官達には迷惑かけてさー。まあ顔がイイから許すけど」
「顔で許すんですか」
アダムが呆れたように呟く。
「不細工よりイケメン顔のほうが見る分には楽しいじゃない。まー王様だから、衣食住は困らないし。それって大事よ?」
「「まぁ・・・確かに」」
「要らないことしないように手綱を今迄以上にガッチリ取らなくちゃとは思うけどね」
「え?」
「気がつかなかった? 件の本では書かれてないけど、ヒロインの恋の成就に陛下が結構絡んでる雰囲気があるでしょ? 高位貴族の婚約白紙撤回だとか、婚約破棄に関しての権限が派閥も身分も関係なく関与出来るのはあの人くらいでしょ? ヒロインに肩入れするのが最高権力者じゃあ、いくらなんでも太刀打ちできないわよ?」
「「・・・・」」
「しかもあのオリヴィエ嬢、見た目が陛下の好みど真ん中でしょ? 何が起こるか分かんないわよ」
「なるほど」
王妃の言葉で、ウィリアムが
「フィーも似た事を言ってたな」
「「?」」
「俺と彼女の婚約は普通じゃない魔法契約付きだから、簡単に破棄できない。だからそれを無効にする為に修道院に送られたんじゃ無いかって。で、ソレを決められる人物は国王か、その家の当主だからって・・・」
「アーバスノット公爵がそんな事をするはずがないわね」
王妃が神妙な顔になる。
「公爵はフィーちゃんがウィルのことを誰よりも好きだって知ってるからこの婚約自体を喜んでるから。それとあの人子煩悩だから、娘を修道院に送るなんて無慈悲な事する訳からね」
「え・・・?」
思わずポカーンと間抜けな顔になるウィリアム。
「なぁに? フィーちゃんがアンタの事好きだってひょっとして知らなかったの? 鈍感ねぇ」
「え・・・」
思わずアダムの顔を振り返るウィリアム。
「兄上、鈍いんですもんね。そういうトコロ」
「え?」
呆れ顔の弟が
「シルフィーヌ嬢は兄上のこと大好きですよ? 気がついてないの兄上本人だけじゃないですか? 本当に仕事には有能なのに、残念な人ですねえ」
「えええぇ・・・だって、俺中身がオッサンだし」
「兄上の見た目は普通に17歳ですよ? しかも陛下に似てイケメンですし。寧ろ嫌いになる要素が少ないんじゃないですか? 何でそんなに自信無いんですか・・・」
不思議そうな顔をする弟を見ながら、ティーカップに砂糖をサラサラ入れるウィリアム。
「・・・」
「ちょっと、ウィリアム? ティーカップにお砂糖を何杯入れる気なの?」
「あ」
気が付くとティーカップの中には、紅茶色に染まった砂糖の山が出来ていた・・・
21
お気に入りに追加
291
あなたにおすすめの小説
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。祝、サレ妻コミカライズ化
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

あなたを忘れる魔法があれば
美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。
ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。
私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――?
これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような??
R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる