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2章 出会い
16. ウィリアム・カートレット①
しおりを挟む俺の名前はウィリアム・カートレット。この王国の第1王子だ。
生まれた時から天才だの神童だのと言われて育ったが、そりゃあそうさ。
俺は前世の記憶持ちで『体は子供頭脳は大人』とか言う有名な少年探偵みたいな状態で、まーこう言っちゃなんだがズルだよね? 見かけはどうあれ中身はオッサンだったんだから。
生まれ変わりを信じてなかった訳じゃないよ。転生輪廻っていう概念は日本人ならあって当然。
そんな作り話もあれば、世界中で実話だって言われてる体験談なんかいくらでもあるんだから。
でも生まれ変わりをした先が異世界だったことには驚いた。
小説それとも漫画かよ?! って思ったね。
まあ、赤ん坊の頃は色々あって悶える様な出来事もあったが――母乳という名のオッパイポロン・・・ゲフン、だとかオムツ交換・・・とか色々だ――何とかやってきた。
剣と魔法、そして魔獣のいる世界なんだと気がついた時は、やった! 冒険者一択ダロ! って喜んだけど、俺の立場っつーか身分がソレを許して貰えない事を知って3日くらいは落ち込んだ。
なんでよりによって王子なの? しかも第1って世継ぎじゃん!?
責任重大なんじゃね?
会社の経理のほうがずっと気が楽じゃん・・・
でもまぁ、育っていくうちに魔獣狩りが魔力の多い貴族の義務って知ってからは全く冒険ができないわけじゃ無いのね、と納得はした。
じゃあ、鍛えるしか無いよね?
魔獣なんかバンバン狩れるくらい強くなりゃ遠征くらいホイホイ行けるでしょ? っていうノリで剣も魔法も体術も頑張ったよ。あ、座学は楽勝だった。この身体の地頭が結構良かった上に、この世界の算術は四則計算以上の難しいヤツが発達してなかったし、後はほぼ丸覚えで終わる感じの物ばっかりだったから。戦術はシュミレーションゲームみたいなもんだしね。
王族はステータスが元々高いんだから、頑張りゃ良いだけじゃんって開き直ったらなんか目茶苦茶強く賢くなったらしい。
ゲームみたいにパラメーターが目視出来たら何処を強化すりゃ良いかが分かってイイなのにな~~っつって思ってたわ。
そしたらさ9歳の時に初めて会った婚約者の女の子が、俺と同じ転生者でこの世界は乙女ゲームの世界だって言い出した。
え~と、乙女ゲーム? 何だそりゃ? 魔獣がいるぞこの世界!? それでも乙女がつくんだ・・・。
ゲームならやっぱりパラメーター欲しいよな。
こう眼の前に『ブオン』とかって見えるやつ。え、無い? そうか。
え、しかも俺は攻略されるの? 狩られる対象じゃんソレ。
え、君が修道院に連れてかれるの? ナニソレ、意味不明。
え、俺が君を捨てちゃうって事? 駄目でしょうそりゃあ。
二股不貞は駄目でしょう?
え、他にも狩られる奴らがいるの? え、ヒロインが獲物を決める訳?!
――選ばれたく無いな。
親父のヤラカシで決まった婚約者だけど俺は君がいいな。
だって君素直で可愛いじゃん。
立場が同じ転生者で、口調もあんま気にしなくていいみたいだし。
仕方ないなぁ。
未来を変える準備でもすっか。
傾向と対策さえあれば未来って結構予測出来るもんよ。
データは君の記憶で。
演算って俺は得意だからね。
取り敢えず筋トレは欠かさない様にするけど。
最後に当てになるのは不屈の根性と体力だからさ。
あ、健康もだな。
だから君はそんなに不安にならなくていい。
安心してていいよ。
ちゃんと守るから。
何しろ中身はおっさんだから。
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