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2章 出会い

14.ゲーム? 相分かった。

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 「つまり、この世界がモバイルゲーム、しかもイケメンが攻略対象の乙女チックなシンデレラ系ヒロインゲームってことで間違い無いか?」


 ×××



 茶会の翌日の午後。

 昨夜の約束通り朝から公爵邸に王子宮から使いがやってきて、午後のお茶の時間にウィリアム王子とシルフィーヌが2人で会うことになった。

 応接室の中には侍従やら侍女やら護衛やらがごった返していたが、全員が壁に擬態中である。

 応接セットのソファーに向かい合わせに座るシルフィーヌ嬢とウィリアム王子の周りには会話が周りに漏れないように王子自らの魔法によって認識阻害の結界が張り巡らされており、会話の内容は当たり障りのない見舞いの言葉や天気の話として同室者には聞こえると言われ目が丸くなるシルフィーヌ。

 何故そんなに魔法が得意なのかと彼女が質問すると、キョトンとした顔になるウィリアム。


「折角魔法のある世界に生まれ変わったんだぞ? 使えるようにならんと勿体ないだろう?」

「実は例のゲーム内のウィリアム殿下はそれ程魔法は得意じゃなかったんですけど・・・」

「まあ、何もかもその乙女ゲームと一緒とは限らないって事だろう。王族は元から魔力量が多いからな使いこなす素質は生まれつきあっただろうから、本人がどう捉えるかだ。俺の持論は使えるものは何でも使え、だからな」


 ケラケラと笑いながらそう言う王子は、やはりイケメン予備軍である。


「殿下は前世を覚えてるんですね。私はあまり鮮明に思い出せなくって・・・」

「良いんじゃないか? あんまり覚えてると夜中に昼間の出来事を思い出して悶える事になるぞ? 俺もよく夜中に恥ずかしくなって枕を抱えたままで、のたうち回るからな・・・」


 思わずといった様子で肩を落とす王子。


「特に親父のやらかしには、苦労させられてる。なんでこの年齢で執務補佐をしないといけないのかが、マジで意味不明だ・・・」


 遠い目をする王子を眼の前にしたシルフィーヌはこの時、過去の自分を思い出さなくて残念だという考えは無くす方向へと舵を思いッきり切ることに即決した。


「じゃあ、その乙女ゲームの内容とか仕様を教えてくれ」

「ウ~ン、まだ全部思い出せてないかもしれませんよ?」

「じゃあ、思い出したら王子宮に手紙を寄越してくれ」

「検閲があるんじゃ?」

「そうじゃなくて、『聞きに来い』っていう手紙だ」


 ・・・王子に対してまるで『裏庭に顔出せ!』みたいな手紙を書ける訳が無いだろう、と思わず呆れ顔になるシルフィーヌ。


「そうだな~なんか暗号を決めるか」

「暗号?」

「そう、ストーリー発見! みたいなやつでさ適当なの。ねぇかな?」


 この王子様。


 結構べらんめえ口調だなぁ、と思いながらシルフィーヌは上品に紅茶のカップを口に運んだ・・・



 
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