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オマケ閑話♡ ある日王子様が
3−2
しおりを挟む国へ帰ると、母が手ぐすねを引いて待ち構えていた・・・
彼女は侯爵邸に私を呼び出し、連日のように茶会を開き大勢の御令嬢と対面させる事に情熱を注ぐ事にしたようだ。
届いた釣書の山の一番上から全ての御令嬢と会っているのではないか疑いたくなる位、大勢の女性達と引き合わされた。
だが、残念な事だが妹のデビュタントの時の事件以来、どんな美しい御令嬢を見ても胸のときめきを覚えたことがない。
あれ以来私の恋心は時間を止めてしまったのかもしれない。
御令嬢達の熱を孕んだ視線を涼しい顔で躱しながら、時間だけが過ぎて行く。
「貴方ね、もう少し真面目にお相手を探して頂戴な!」
母の苦言に溜め息をついた。
「まだまだ父上も、現役です。そんなに急いで私が結婚しなくても大丈夫ですよ」
今度は母の方が溜め息をついた。
「ホントにお父様そっくりで頑固なんだから・・・」
ずっと私が妻を娶らない理由を母は薄々知っているのだろう。
「同じ時を歩いてくれる伴侶は決して侯爵家のためだけに必要なのではないのですよ」
廣げた扇の向こう側に、彼女は表情を隠してそう言って微笑んだように思えた。
それが微笑みなのか苦笑なのかは分からないが。
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