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お前を愛することは無い

続・初夜で宣言?(は、撤回できるか?)

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 『何を期待しているかは知らんが、俺はお前を愛するつもりは毛頭ないッ!!』


 そう。

 俺は初夜で迂闊にもそう宣言してしまったんだよ。

 そして、すぐ後ろに立っていた近衛騎士が止める間もなく必殺技を全て鳩尾に入れられた――今思い出しても口から内蔵が飛び出しそうなくらい悶絶して痛かったのを覚えている。

 確か素手のグーパンだった筈なんだが・・・


 彼女を止めようとした近衛2人は


『あんたら、夫婦の会話に口出しする気か? アアン?』


 と。指を鳴らしながら、鬼気迫る様な凄い形相で睨まれたらしいのだが気を失っていてそれは見ていない。

 そして2人共が飛び蹴りと大外刈を喰らい気絶した後で、後ろ手に指を縛られて廊下に転がされていた所を翌朝メイドが見つけて大騒ぎになったが、翌朝には既に調教済みになっていた俺が大臣達に土下座して事なきを得たのである・・・。


 そう、調教済みだよ。

 もう1回言うね、調


 自慢じゃないが、俺は甘やかされた一人っ子の美少年王子だったからねぇ、そりゃあもう唯我独尊、天井知らず一直線でそのまま育っちまった訳だ。

 で。態と人の嫌がるようなことをしては、周りの顔色を伺う様な嫌な奴になってたんだ。

 婚約者だった隣国の王女はそりゃあもう天使か妖精かっていうくらいきれいな子だったけど俺の周りにいた顔色を伺う連中と大差無かった。

 だから面白くなかった。

 結婚したらコイツと一生顔を突き合わせて生きていくのかと思ったらウンザリだった。

 翻って考えるとアリア男爵令嬢は悪辣で虚栄心が強くて最悪だったが、自分に正直である意味一緒に居るのが愉しかった。

 だからコイツアリアが嫁のほうがいいのかもしれんなんて馬鹿な事を考えたわけだよ。

 取り敢えず刺激的には生きていけそうな気がしたんだ。


 でも違ってた――


 鳩尾に5発ボディブローを喰らって目が覚めたんだ・・・――いや、コラッ! 変な性癖に目覚めたんじゃ無いからなッ! ソコ! 変な目で見るなよ! 


 人に顔色を伺われるのが嫌だったのは、俺の意見を前もって推察されたり、失敗しないように先回りされたりするのが嫌だったんだなって。

 単に俺自身を認めて欲しくて子供みたいに駄々をこねてただけだったんだなって。


「なんでゴメンナサイって言わねーの? アアン? アンタの発言はどう考えても私に対して無礼過ぎでしょうがッ?!」

「お前だって俺を殴っただろうだろうがッ! 謝れよ」

「アンタが先に謝りなッ! 先に理不尽な言い掛かりをしてきたのはアンタだろうがッ! こちとら若い頃からタマ張って特攻隊長務めてきたんだよ。お坊ちゃんの我儘に頭なんか下げられるかッ! 舐めんじゃ無いよッ」


 もう言ってることがサッパリ分からないけど、すごい迫力で妖精姫なんて言われる美貌が霞むくらいには口が悪い。

 お見合いの時のあの気弱な性格は猫を被ってたのかよッ?! 

 しかも夫婦は対等な立場だって言い張って譲らないから、絶対に俺も謝らないって言ったら、


『しょーがないね言う事聞かないやんちゃ坊主は窓から逆さ吊りにしようかねぇ』


 ――おい待てッ! なんでシーツを裂いて俺の足首をくくるんだよッ! 何で俺の事をそのちっこい体で担ぐの? いやぁあああああッ!! 窓に行くなッ! ここ4階建てなんだぞッ!! うわああぁああああ・・・



×××



 バルコニーで土下座をさせられ謝って許して貰うために今までの気持ちとか、やってしまった事を涙混じり(鼻水も混じってた気がする)説明したら。


『アホかアンタ。甘ったれんな。いい年こいてホンマに。コレがアタシの今生の旦那かぁ・・・やってらんねぇ。あ~モクが欲しいわぁ・・・』


 って呆れられた・・・。

 同情すらして貰えなかった。


『あんなぁ、世の中には食うに困ってる人とか、生まれてすぐ親に捨てられちまう赤ん坊とかごまんといるんやで? いいべべ着せてもろて、うまいもん食わせてもろて、勉強もさせてもろて、甘やかしてもろて、オマケに金持ちで女にモテてよりどりみどりの学生生活送らせてもろて何が不満やの? そんなんで文句言っとったらお天道さんに恥ずかしいわ。子供かアンタ』


 なんか恥ずかしかった・・・

 そしてどうやら惚れてしまったんだよ迂闊にもこの暴力女に・・・ソコッ! そんな白い目で見るなッ!



×××



 この国も彼女の祖国も、3年で白い結婚が証明されると離婚が成立する。

 それは王族でも残念なことに成立するんだよ。

 なので今日も俺は彼女に大人の男だと認めて貰って閨を共にして貰おうと頑張ってるんだ。

 今度の政策は絶対イケるって思って議会に提出したんだけど採算が合わな過ぎるって財務がいい顔をしなかった。

 ウ~ンどの辺を削ったらいいのかが分からん・・・

 悩みながら花束を抱えて王妃の部屋をノックする。

 今日は失敗しないように侍従に言いつけて先触れはちゃんと送ったからな? 

 いきなり拳骨は飛んでこないはずだよな?
 
 開いたドアの向こうに妖精か天使みたいに美しい王妃が見えた。

 見慣れない金色の指輪をはめてる気がするけど、俺の瞳と同じ色の宝石が控えめに飾られてる!? ・・・ちょっと嬉しい。






 胸の高鳴りを感じながら彼女の部屋に足を踏み入れて。

 俺は後ろ手でドアを閉じた――









 


 
――――――――――了





多分メリケンサックが・・・(⁠-⁠_⁠-⁠;⁠)

鶴亀鶴亀・・・


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