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〈Another Story〉story of duke and wife
46 ヒューイ査定する
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「へぇ」
オフィーリアと連れ立って階段教室へと入ったヒューイは一番うしろの席に陣取るピンクブラウンの髪の毛をツインテールしたフロイライン王女に目を向けた。
「小動物系の可愛子ちゃんじゃん」
周りには聞こえないくらいの小声でオフィーリアに聞いてみる。
「黙っていれば美少女だって言ったでしょ。口を閉じてれば小動物、開ければ珍獣よ・・・」
「へ~、面白そう」
はぁ、と溜息を付くオフィーリアを眺めた後、周りの微妙な反応にヒューイは目を向ける。
「なぁ、何でみんな遠巻きにしてんだろ?」
「アンタと私が一緒だからでしょうよ」
二人がボソボソ喋っている所に、フロイライン王女がツカツカとやって来た。
流石怖いもん無しの小動物だ。
「ちょっとぉ、何で貴女がヒューイ殿下と一緒に登校するのよッ。あ、おはようございます殿下ッ♡」
オフィーリアに突っかかって来たと思いきや、そのままシナを作る早業に吹き出しそうになるヒューイの足をオフィーリアが踏んづけた。
「イテテ、リア。ヒデぇ・・・」
「おはようございます、フロイライン殿下。彼と私は親戚なので、一緒に登校したのですわ」
一瞬その答えにキョトンとしたが、サッと笑顔を貼り付けるフロイライン王女。
「あら、そうですの。所でぇその後アンドリュー様とオフィーリア様の婚約はどうなりましたの? ワタクシ何も知らなくってぇ~~」
両手で頬を抑える彼女に向かい
「お陰様で婚約ももうすぐ7年目ですので、お互いに相手をよく理解し合う仲でございますのでより一層仲睦まじく過ごしておりますわ」
にっこりと淑女のスマイルを顔に貼り付けたオフィーリアである。
「あ・・・ あらそうなの。もうそろそろ解シょ・・・」
「ウオッホン、フロイライン殿下?」
ヒューイが態とらしく咳払いをして注意を引き付ける。
「あら、ヒューイ殿下風邪ですの?」
コテンッと首をあざと可愛く傾げる王女に向かい
「彼女は学園長室に行かなくてはけない用事があるので」
そう言いながらオフィーリアの背中をそっと押した。
「あ。そうだったわ。じゃあ後でねヒューイ・・・バラスンジャナイワヨ」
今日オフィーリアが学園に来たのは、後期の日程を受け取りに来たついでにヴァルティーノ王国に向けてフロイライン王女に対する生徒の苦情を集める許可を貰いに来ただけであって授業免除中なので授業に不参加でも別に問題はない。
「わかってるって」
廊下に出てオフィーリアが教室を振り返るとハトコは教室の自席に早速座り手をヒラヒラとさせていた。
当然そのすぐ近くでピーチピンク嬢がチョロチョロしているが彼は全く気にしていないように見えた。
「リア~? 2時間目剣技だからちゃんと見に来てよ~」
既にマイペースのヒューイに若干不安を覚えながら園長室に向かうオフィーリアであった・・・
×××
学園長に王太子からの書簡を渡し国からの正式要請であることを伝えて退室すると、公爵家お抱えの間諜(女装中)が現れた。
「あら? 授業中じゃないの?」
「もう休み時間です。閣下」
彼はニコニコと笑顔を貼り付けながら報告書を続ける。
「剣技の授業のためにヒューイ様が競技場に移動しました」
「あら、もうそんな時間?」
「はい。急いで下さい」
「何でよ?」
「お嬢、さっき見に行くって殿下に返事してたでしょ?!」
「あ。そうだったわ」
「行ってくださいね~」
そう言いながら去っていく諜報員。多分選択科目なので休憩時間なのだろう。
諜報員は大人なので、もう授業は受けたくないのだろうな~と何となく察したオフィーリアである。
オフィーリアと連れ立って階段教室へと入ったヒューイは一番うしろの席に陣取るピンクブラウンの髪の毛をツインテールしたフロイライン王女に目を向けた。
「小動物系の可愛子ちゃんじゃん」
周りには聞こえないくらいの小声でオフィーリアに聞いてみる。
「黙っていれば美少女だって言ったでしょ。口を閉じてれば小動物、開ければ珍獣よ・・・」
「へ~、面白そう」
はぁ、と溜息を付くオフィーリアを眺めた後、周りの微妙な反応にヒューイは目を向ける。
「なぁ、何でみんな遠巻きにしてんだろ?」
「アンタと私が一緒だからでしょうよ」
二人がボソボソ喋っている所に、フロイライン王女がツカツカとやって来た。
流石怖いもん無しの小動物だ。
「ちょっとぉ、何で貴女がヒューイ殿下と一緒に登校するのよッ。あ、おはようございます殿下ッ♡」
オフィーリアに突っかかって来たと思いきや、そのままシナを作る早業に吹き出しそうになるヒューイの足をオフィーリアが踏んづけた。
「イテテ、リア。ヒデぇ・・・」
「おはようございます、フロイライン殿下。彼と私は親戚なので、一緒に登校したのですわ」
一瞬その答えにキョトンとしたが、サッと笑顔を貼り付けるフロイライン王女。
「あら、そうですの。所でぇその後アンドリュー様とオフィーリア様の婚約はどうなりましたの? ワタクシ何も知らなくってぇ~~」
両手で頬を抑える彼女に向かい
「お陰様で婚約ももうすぐ7年目ですので、お互いに相手をよく理解し合う仲でございますのでより一層仲睦まじく過ごしておりますわ」
にっこりと淑女のスマイルを顔に貼り付けたオフィーリアである。
「あ・・・ あらそうなの。もうそろそろ解シょ・・・」
「ウオッホン、フロイライン殿下?」
ヒューイが態とらしく咳払いをして注意を引き付ける。
「あら、ヒューイ殿下風邪ですの?」
コテンッと首をあざと可愛く傾げる王女に向かい
「彼女は学園長室に行かなくてはけない用事があるので」
そう言いながらオフィーリアの背中をそっと押した。
「あ。そうだったわ。じゃあ後でねヒューイ・・・バラスンジャナイワヨ」
今日オフィーリアが学園に来たのは、後期の日程を受け取りに来たついでにヴァルティーノ王国に向けてフロイライン王女に対する生徒の苦情を集める許可を貰いに来ただけであって授業免除中なので授業に不参加でも別に問題はない。
「わかってるって」
廊下に出てオフィーリアが教室を振り返るとハトコは教室の自席に早速座り手をヒラヒラとさせていた。
当然そのすぐ近くでピーチピンク嬢がチョロチョロしているが彼は全く気にしていないように見えた。
「リア~? 2時間目剣技だからちゃんと見に来てよ~」
既にマイペースのヒューイに若干不安を覚えながら園長室に向かうオフィーリアであった・・・
×××
学園長に王太子からの書簡を渡し国からの正式要請であることを伝えて退室すると、公爵家お抱えの間諜(女装中)が現れた。
「あら? 授業中じゃないの?」
「もう休み時間です。閣下」
彼はニコニコと笑顔を貼り付けながら報告書を続ける。
「剣技の授業のためにヒューイ様が競技場に移動しました」
「あら、もうそんな時間?」
「はい。急いで下さい」
「何でよ?」
「お嬢、さっき見に行くって殿下に返事してたでしょ?!」
「あ。そうだったわ」
「行ってくださいね~」
そう言いながら去っていく諜報員。多分選択科目なので休憩時間なのだろう。
諜報員は大人なので、もう授業は受けたくないのだろうな~と何となく察したオフィーリアである。
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