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〈Another Story〉story of duke and wife
37 怪我
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「アンディーッ! 無事?!」
無事国境を超えアバルティーダ側へと入った所で、国王軍の小隊とアンドリュー王子を先導していたオフィーリアが馬から飛び降りて彼の直ぐ側まで走って来て抱きついた。
「大丈夫、ちょっとだけ怪我したけど大したことないから」
そう言いながら彼女を抱きしめた後、応急処置として巻いていた白い三角巾を指差す。
「耳の横を矢が掠めたんだ。急な事だったから避けきれずに慌てたけど軽症だよ。それより、リアは大丈夫? 見た所リアと・・・」
「やほ~ぅ、アンディ。オレオレッ♡ 元気してたー?」
オフィーリアの後ろについて、腕を頭の後ろで組んだままゆっくり歩いてきた皇太子ヒューイに目を剥くアンドリュー王子。
「ヒューイ皇たィ・・・モガ」
速攻でオフィーリアに両手で口を塞がれるアンドリュー。
「ヒューイは偶々遊びに来てて、アンディを助け出すのを手伝ってくれたのよ」
にこおッと笑顔を見せるオフィーリアにコクコクと頷くアンドリュー王子。
「そうそう、爆破実験の考察も兼ねてるから気にしないで良いよ。アッチでやったら爺ちゃんと親父に怒られちゃうからさ~」
ニシシと笑うヒューイ。
教会が突然崩落した理由がよく分かったアンドリューは、泣きそうな顔で自分の身体をペタペタ触り、他に傷がないかを確認している婚約者と彼を見て更に周りに視線を向け・・・
「えッ! ひょっとして二人だけ?」
と驚いたが、
「エヴァンス達がもうすぐ着くと思うよ。途中で置いてきぼりにしたけどね」
とヒューイ皇子はヒョイっと肩を竦めただけだった。
×××
夕暮れの空がそろそろ迫って来る時刻になり、国境線から少しだけ進んだ場所にあるアバルティーダの軍事要塞にエヴァンス騎士団長率いるアガスティヤ公爵家の騎馬隊がやってきた。
ここにオフィーリア達がいるという連絡を受けたからである。
軍事要塞と名前は厳ついが、要するに検問所としての役目を果たすゲートを備えた大きな建物である。
物見櫓を備えた三階建の煉瓦造りで大きな食堂や入浴施設があり、ベッドだけが備え付けられた相部屋がかなりな数詰まった合宿所のような場所である。
上級士官用の部屋は個室になっていて数は少ないが、こちらは風呂や簡易キッチン御不浄なども備付られていて別待遇なのが見ただけで分かる。――怪我をしたアンドリュー王子はその一室のベッドの上で医師の診察を受けていた。
「コメカミから耳の上にかけての裂傷と、その時に矢が掠ったんでしょう、肩に掠り傷がありますな」
白髪で丸メガネを掛けた老齢の医師が、
「ちょっとだけ縫いますかな。その方が治りが早いですのでな」
そう言いながら、釣り針のようにカーブした針を取り出した。
「イタソ~・・・ 尻の穴がキュッとする・・・」
ゲンナリした顔になるヒューイと顔色が悪いオフィーリア。
一方アンドリューは
「ああ、何針くらいだ?」
「3針ですかな。チビッとですな。囲まれてこの程度で済んだのなら無傷みたいなモノですな」
ガハハと笑う老医師と、なんてことのない表情で話をしている。
「ご令嬢達は席を外して頂けますかな?」
ニコニコ笑う医師は先程の針を消毒し始め、看護師が包帯を準備し始める。
「では、少し席を外しますねアンドリュー様」
「ああ。また後でね」
首肯くアンドリューは、彼女に軽く手を振った。
無事国境を超えアバルティーダ側へと入った所で、国王軍の小隊とアンドリュー王子を先導していたオフィーリアが馬から飛び降りて彼の直ぐ側まで走って来て抱きついた。
「大丈夫、ちょっとだけ怪我したけど大したことないから」
そう言いながら彼女を抱きしめた後、応急処置として巻いていた白い三角巾を指差す。
「耳の横を矢が掠めたんだ。急な事だったから避けきれずに慌てたけど軽症だよ。それより、リアは大丈夫? 見た所リアと・・・」
「やほ~ぅ、アンディ。オレオレッ♡ 元気してたー?」
オフィーリアの後ろについて、腕を頭の後ろで組んだままゆっくり歩いてきた皇太子ヒューイに目を剥くアンドリュー王子。
「ヒューイ皇たィ・・・モガ」
速攻でオフィーリアに両手で口を塞がれるアンドリュー。
「ヒューイは偶々遊びに来てて、アンディを助け出すのを手伝ってくれたのよ」
にこおッと笑顔を見せるオフィーリアにコクコクと頷くアンドリュー王子。
「そうそう、爆破実験の考察も兼ねてるから気にしないで良いよ。アッチでやったら爺ちゃんと親父に怒られちゃうからさ~」
ニシシと笑うヒューイ。
教会が突然崩落した理由がよく分かったアンドリューは、泣きそうな顔で自分の身体をペタペタ触り、他に傷がないかを確認している婚約者と彼を見て更に周りに視線を向け・・・
「えッ! ひょっとして二人だけ?」
と驚いたが、
「エヴァンス達がもうすぐ着くと思うよ。途中で置いてきぼりにしたけどね」
とヒューイ皇子はヒョイっと肩を竦めただけだった。
×××
夕暮れの空がそろそろ迫って来る時刻になり、国境線から少しだけ進んだ場所にあるアバルティーダの軍事要塞にエヴァンス騎士団長率いるアガスティヤ公爵家の騎馬隊がやってきた。
ここにオフィーリア達がいるという連絡を受けたからである。
軍事要塞と名前は厳ついが、要するに検問所としての役目を果たすゲートを備えた大きな建物である。
物見櫓を備えた三階建の煉瓦造りで大きな食堂や入浴施設があり、ベッドだけが備え付けられた相部屋がかなりな数詰まった合宿所のような場所である。
上級士官用の部屋は個室になっていて数は少ないが、こちらは風呂や簡易キッチン御不浄なども備付られていて別待遇なのが見ただけで分かる。――怪我をしたアンドリュー王子はその一室のベッドの上で医師の診察を受けていた。
「コメカミから耳の上にかけての裂傷と、その時に矢が掠ったんでしょう、肩に掠り傷がありますな」
白髪で丸メガネを掛けた老齢の医師が、
「ちょっとだけ縫いますかな。その方が治りが早いですのでな」
そう言いながら、釣り針のようにカーブした針を取り出した。
「イタソ~・・・ 尻の穴がキュッとする・・・」
ゲンナリした顔になるヒューイと顔色が悪いオフィーリア。
一方アンドリューは
「ああ、何針くらいだ?」
「3針ですかな。チビッとですな。囲まれてこの程度で済んだのなら無傷みたいなモノですな」
ガハハと笑う老医師と、なんてことのない表情で話をしている。
「ご令嬢達は席を外して頂けますかな?」
ニコニコ笑う医師は先程の針を消毒し始め、看護師が包帯を準備し始める。
「では、少し席を外しますねアンドリュー様」
「ああ。また後でね」
首肯くアンドリューは、彼女に軽く手を振った。
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