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35 閑話 フィルバート王子の呟き。
しおりを挟む俺はフィルバート。
この国の第3王子をやってて地味な王家一家の中では、まぁまぁイケメン寄りのフツメンだ。
母である王妃に似たからね。
俺の憧れは王弟でもあるアガスティヤ公爵、要するに叔父だ。
長いサラリとした黒髪に、涼し気な目元、優しげな表情。
堂々とした体躯はメチャクチャ男らしくてカッコいい。
親父と違ってハラも出てない、肩幅広くていい感じの細マッチョ。
軍の総帥をやってるけど、性格は温厚。
俺は小さい頃、叔父さんの追っかけをやってた。
だって訓練中とか模擬試合とか自ら新兵やら騎士達の練習相手になったりするんだ。
しかも、つええぇ!!
本気出したらヤベえって護衛騎士達がみんな言ってた。
イトコは俺と同い年のリリーと2番目の兄貴と同い年のアレクシス。
叔父さんは公爵夫人にベッタ惚れで婿養子になったらしいけど、アレクシスはその夫人にそっくり。
まあ公爵夫人は美女だけど中身は女将軍だ。あ、ゲフンゲフン・・・内緒ね。
最初は公爵家にコッソリ行ったら叔父さんが偶然いないかな~って位だったんだけど、何か子供用の訓練ってのが面白そうだったんで混ざってみたんだ。
そしたらキッツイんだよね。
俺だって城で剣の稽古とか乗馬とか習って鍛えてたつもりだったんだけど、全然敵わない。
体術とか習って無いし敵わね~って思ったら、アレクシスの奴は剣も強かった。
畜生。
んでヤツの側近候補ってのがいつも一緒にいて、双子か? って位おんなじ動きするんだよ。
それがアルフィー。
ツンケンしてるアレクシスより優しくて温和な気遣い上手。
こっちが叔父さんの息子じゃないかって思ったわ。
で、リリーは叔父さんにそっくり。
まるきりミニチュア。
ちっこい叔父さん・・・ 子分に欲しいなって思ってちょっかい出したらアレクシスがキレて俺は簡単に叩きのめされた。
でもどーしてもリリーを子分にしたかったから、アレクシスの目を盗んでリリーと決闘した。
当然俺が勝ったから
『今日からお前は、俺の子分だ!』
って宣言した筈なんだけど、その後の記憶がない。
しかもそれ以降リリーに近寄れなくなった。
なんと優しいはずのアルフィーに敵認定されたらしく、近寄ろうとするとアイツがリリーを抱っこして消えてしまう。
そして残された俺はアレクシスに扱かれる・・・ やってられんからイチ抜けたわ。
アレクシスとアルフィーの二人はリリーの事になると人格が変わるから手を出したらヤバイよって、2番目の兄貴が随分後になってから教えてくれた。
もっと前に教えて欲しかったよ・・・
×
6歳のお茶会でも失敗した。
リリーに素直に謝れなかったのは反省してる。
でも周りの貴族達も陰湿だよな?
あいつらが笑うから却って謝りにくくなったんだよ~!
何とかしたいとは思ってるんだけどさー。
・・・ そんなこんなで、学園に入ってからもリリーには避けられた。
うーむ、なんとかして友好的な関係に持ち込みたいんだが。
だって叔父さんに近寄れないんだよ夫人とアレクシスが怖くって。
その代わりっちゃなんだけど、王族の訓練にアレクシスとアルフィーの二人が度々やって来た。
歳が近いから武術のコツを教えてやって欲しいって親父に言われたってさ~。
王族は自分で身を守ることもできなくちゃ駄目だから。
でもさ・・・
いや。もう。怖いの嫌って生まれて初めて思いました。
あの二人、鬼です。
何で平気で王城の周りを20周とかできんの?
ヘラヘラ笑いながら関節外してくんのヤメテ!? でその後平気でハメないで!!
コイツら何で剣の動きが見えねえの?
拳で瓦割らないでよ!? え、5枚ってナニ?
出来ねーよッ!
おんなじ人間じゃねえ・・・
笑顔でめっちゃ扱かれた。
なんか城の騎士団の練習の方が楽なんだが・・・オイ
×
ある日リリーが婚約した後でアルフィーが消えたから、どうしたんだろって思ってたんだよね。
いつの間にか商会を立ち上げて儲けてるらしいって思ったら、アイツ公爵家の諜報員のトップになってた・・・
アレクシスはいつの間にか宰相補佐にちゃっかり就任して俺ら王族より仕事熟しちゃってるらしい。
宰相の仕事が無くなる位の働き者って、それヤベえじゃん実質宰相だよ。
宰相って本当は王族より国内では権限が多いんだぞ、お~い、誰か聞いてるぅ~?!
絶対に奴らを敵に回しませんって俺は神に誓った。
鶴亀鶴亀・・・
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