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母の話
しおりを挟む昔、母からある話を聞かされた。
話の内容は母が二十代の頃の話であった。
当時、母には親しい友人が一人いた。
いつも一緒にいて家族のようだったという。
そんな友人がある日、深夜に電話をかけてきたらしい。
電話に出ると電話の向こうの友人は息を荒くし、
「助けて、助けて」
と震える声で母に助けを求めていたという。
母は何があったのかと友人に尋ねた。
すると、友人から
「誰かが叩いてる」
と一言。母はより詳しく何が起こっているのか尋ねた。
すると、どうやら部屋の至る所からドンドンドンと拳を打ちつけるような音がしているというのだ。
その話を聞き、母は一刻も早く、友人を助けに行こうとしたという。
母は友人を助けるべく、友人に家はどこかと聞いた。
そして、友人は
「○○マンションの六階」
と告げた。
それを聞くと、母は助けに行こうとした足をピタリと止めた。
〇〇マンション。一度、母が部屋探しの際に行ったことがあった。その時、確かこう聞いたのだ。
「このマンションは五階建てです」
と。
すぐに母は友人に
「そのマンション、五階建てだよね」
と聞いた。
数秒の間をおいて、電話の向こうから
「バイバイ」
と一言聞こえたという。
その声は友人ではない、全くの別人の声だったらしい。
それ以降、友人は見つかってないのだという。
しかし、何故、今頃になってそんな話を聞かされたのか。
私は気になってそのことを母に聞いた。
すると、母は答えた。
「最近のアンタの声、あの時の「バイバイ」って言った声と全く同じなのよ」
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