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第3話 別れが辛いから…
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~俺はこのままでいいのだろうか?~
拓海と遥が居酒屋で別れた後、拓海の中で葛藤が生まれた。
自分が幸せになろうとすることによる不安、そして自分の本当の気持ちを
照らし合わせた時、心の中で複雑な迷路のような構図ができてしまった。
その日、拓海は答えを見つけることができず一睡もできなかった。
次の日
拓海の携帯に遥から着信が入った。
「先輩、今週末私と模擬デートしませんか?」
突然の電話に驚いたが、すぐに状況を理解し少し暗めのトーン
で話した。
「あのな、俺は付き合わないって言っただろ。模擬デートってなんだよ。
冷やかしなら上司にでもやってろ。」
拓海が突き放そうとすると、遥は話し方が意地悪なトーンに変わった。
「いいんですか?そんなこと言って…そんなこと言うなら毎日
先輩の気が変わるまで電話しますよ。」
拓海は後ろから銃口を向けられているような気分だった。
「わかった…わかったから。今週末な。」
「忘れないでくださいね。念を押しときます。絶対に!!…忘れないで
下さいね。それじゃ。」
電話はそこで途切れた。
「…なんだあれ?…」
拓海は電話が途切れると携帯を地面に落とし、一言だけつぶやいた。
職場
「我が会社のモットーは!?」
朝の朝礼で部長である林が大声で叫んでいる。
実際のことを言ってしまえばうるさすぎて迷惑である。
「おい、柊!!我が会社のモットーなんだ!!」
今日は俺か…
拓海は小さい溜息をした後に笑顔でしゃべり始めた。
「お客様の笑顔、お客様への感謝、お客様に信頼される行動。」
「よし!!今日も一日頑張ろう!!」
いい加減この制度廃止されないかな?…
この会社に勤める大体の社員が感じていることである。
土曜日
「先輩来ましたね。先輩を喜ばせようの会!!」
「……うん。帰っていいかな?」
遥とは対照的に何にも乗ってこない拓海だった。
そんなことは気にせず、一人ではしゃいでいる様子だ。
「今日の目標は先輩の恋愛観を再構築させることです!!まぁ私もアドバイザーなんで。」
「もう少し業績あげてからその発言をしろ。」
拓海がそう言うと、遥はむすっとした顔をし、話し始めた。
「痛いところとしか突いてこないですね…女心を何一つ理解してない…今日は私がエスコート
します!いいですね!?」
この瞬間から半ば強制的なデートが始まった。
「私、広めの公園行きたいです!!」
「じゃあ近くにデカい公園あるからそこにするか。」
公園なんて行くのは何年ぶりだろうか?
拓海はそう思いながら公園へ向かった。
「こう見えて、私中学校ソフトボール部
なんですよ!!私の投球みたら私に惚れちゃいますよ。」
「うるさい。さっさと投げろよ。」
遥は拓海をからかった。
「行きますよ!!」
遥は腕を大きく振りかぶってボールを拓海が
持っているグローブに向かって投げた。
ぽん….
「…え?」
はるかが投げたボールは拓海の所へ届かない
どころか、10mすら飛ばなかった。
「あ、あれ?全然飛ばないな~やってないと
鈍っちゃいますね。」
遥は慌てて言い訳をしたが、拓海の方を見ると
腹を抱えて笑っていた。
「めっちゃ面白いwその慌てた顔が可愛い…
いや、面白いよ。」
「ちょっと!!面白いってなんですか!?
こっちは真剣なんですよ!!」
遥は恥ずかしさで顔を真っ赤にし、拓海に
反論した。
「先輩お腹がすいてきませんか?」
「まぁ久々に外で運動して腹減ったな。」
「そんな先輩の為に作って来ました!!
お弁当~」
遥は元気よく言うとバックの中から弁当を
取り出した。
中身はおにぎり2個と唐揚げと卵焼きだった。
「めっちゃ早起きしたんですから、美味しく
食べてくださいよ!!」
遥は念を押して弁当を拓海に渡した。
全て美味しそうな見た目をしているが、1つだけ異様な空気を流している食べ物があった。
卵焼きである。
形こそはよく出来てるが、化学調味料みたいな
匂いがする。
「じゃあ、いただきます。」
まずはおにぎりから頂いた。…中身は鮭で
手作り感があって物凄く美味しかった。
ここで問題の卵焼きの登場である。
拓海は覚悟を決めひとくち食べると、
卵焼きの中から塩味と酸味が一緒に襲ってきた。
「先輩どうですか?甘く仕上げて見ました!!」
ありえない…これのどこが甘く仕上げてあるのか
「砂糖ドバッて入れたんですから。」
多分この子は塩と砂糖を間違えたのだろう。
「うん…卵焼きはいいや…」
「なんでですか?ねぇ先輩!!」
遥の料理センスは無いに等しいということが
分かっただけでも良い収穫だろうと拓海は
自分に言い聞かせた。
夜
「先輩今日はありがとうございました!!ラストはあのでかい観覧車に
乗りたいんです!!」
遥が拓海に懇願した。
「よし!!乗るか。」
観覧車に乗ると、今日行った公園や待ち合わせ場所、いろんな景色が
一望できる観覧車だった。
「先輩。最後にお願いします。私と付き合ってください!!
先輩が彼女さんのことが忘れられないのは分かります!!でも!!っ…」
拓海は話している遥の頭を撫でた。
「違う、勿論澪が死んだことは一秒たりとも忘れたことはない。
でも、俺はまた好きになった人が俺の前からいなくなるのが苦しいんだ…
もう失いたくないんだ!!…」
拓海が涙をこらえて話すと、遥はいきなり拓海を抱きしめた。
「昔お母さんが教えてくれたんです。辛いときほど誰かを抱きしめてあげなさいって…先輩、本当につらくなったら私を抱きしめてください。
大丈夫です。先輩は一人じゃないですから。」
遥がそれを言うと、拓海の目から大粒の涙がこぼれた。
そして一言だけ拓海の口から「ありがとう」という言葉だけがでた。
…数週間後
「柊くん!!横山さんと付き合ったってホント!?」
部長の林がすれ違いざまに拓海に話しかけた。
「あ、はい。でも仕事とプライベートは割り切って今度もやっていくので引き続き宜しくお願いします。」
林にそれだけ言い客が待つ待合室に向かった。
~俺は君に恋をした。俺の目に映る君は美しく
て、何よりかけがえのないものになった。
俺は君に愛を誓おう。
どちらかの命が尽きるまで…共に…
第3話 別れが辛いから…
[完]
第4話4月22日に公開
拓海と遥が居酒屋で別れた後、拓海の中で葛藤が生まれた。
自分が幸せになろうとすることによる不安、そして自分の本当の気持ちを
照らし合わせた時、心の中で複雑な迷路のような構図ができてしまった。
その日、拓海は答えを見つけることができず一睡もできなかった。
次の日
拓海の携帯に遥から着信が入った。
「先輩、今週末私と模擬デートしませんか?」
突然の電話に驚いたが、すぐに状況を理解し少し暗めのトーン
で話した。
「あのな、俺は付き合わないって言っただろ。模擬デートってなんだよ。
冷やかしなら上司にでもやってろ。」
拓海が突き放そうとすると、遥は話し方が意地悪なトーンに変わった。
「いいんですか?そんなこと言って…そんなこと言うなら毎日
先輩の気が変わるまで電話しますよ。」
拓海は後ろから銃口を向けられているような気分だった。
「わかった…わかったから。今週末な。」
「忘れないでくださいね。念を押しときます。絶対に!!…忘れないで
下さいね。それじゃ。」
電話はそこで途切れた。
「…なんだあれ?…」
拓海は電話が途切れると携帯を地面に落とし、一言だけつぶやいた。
職場
「我が会社のモットーは!?」
朝の朝礼で部長である林が大声で叫んでいる。
実際のことを言ってしまえばうるさすぎて迷惑である。
「おい、柊!!我が会社のモットーなんだ!!」
今日は俺か…
拓海は小さい溜息をした後に笑顔でしゃべり始めた。
「お客様の笑顔、お客様への感謝、お客様に信頼される行動。」
「よし!!今日も一日頑張ろう!!」
いい加減この制度廃止されないかな?…
この会社に勤める大体の社員が感じていることである。
土曜日
「先輩来ましたね。先輩を喜ばせようの会!!」
「……うん。帰っていいかな?」
遥とは対照的に何にも乗ってこない拓海だった。
そんなことは気にせず、一人ではしゃいでいる様子だ。
「今日の目標は先輩の恋愛観を再構築させることです!!まぁ私もアドバイザーなんで。」
「もう少し業績あげてからその発言をしろ。」
拓海がそう言うと、遥はむすっとした顔をし、話し始めた。
「痛いところとしか突いてこないですね…女心を何一つ理解してない…今日は私がエスコート
します!いいですね!?」
この瞬間から半ば強制的なデートが始まった。
「私、広めの公園行きたいです!!」
「じゃあ近くにデカい公園あるからそこにするか。」
公園なんて行くのは何年ぶりだろうか?
拓海はそう思いながら公園へ向かった。
「こう見えて、私中学校ソフトボール部
なんですよ!!私の投球みたら私に惚れちゃいますよ。」
「うるさい。さっさと投げろよ。」
遥は拓海をからかった。
「行きますよ!!」
遥は腕を大きく振りかぶってボールを拓海が
持っているグローブに向かって投げた。
ぽん….
「…え?」
はるかが投げたボールは拓海の所へ届かない
どころか、10mすら飛ばなかった。
「あ、あれ?全然飛ばないな~やってないと
鈍っちゃいますね。」
遥は慌てて言い訳をしたが、拓海の方を見ると
腹を抱えて笑っていた。
「めっちゃ面白いwその慌てた顔が可愛い…
いや、面白いよ。」
「ちょっと!!面白いってなんですか!?
こっちは真剣なんですよ!!」
遥は恥ずかしさで顔を真っ赤にし、拓海に
反論した。
「先輩お腹がすいてきませんか?」
「まぁ久々に外で運動して腹減ったな。」
「そんな先輩の為に作って来ました!!
お弁当~」
遥は元気よく言うとバックの中から弁当を
取り出した。
中身はおにぎり2個と唐揚げと卵焼きだった。
「めっちゃ早起きしたんですから、美味しく
食べてくださいよ!!」
遥は念を押して弁当を拓海に渡した。
全て美味しそうな見た目をしているが、1つだけ異様な空気を流している食べ物があった。
卵焼きである。
形こそはよく出来てるが、化学調味料みたいな
匂いがする。
「じゃあ、いただきます。」
まずはおにぎりから頂いた。…中身は鮭で
手作り感があって物凄く美味しかった。
ここで問題の卵焼きの登場である。
拓海は覚悟を決めひとくち食べると、
卵焼きの中から塩味と酸味が一緒に襲ってきた。
「先輩どうですか?甘く仕上げて見ました!!」
ありえない…これのどこが甘く仕上げてあるのか
「砂糖ドバッて入れたんですから。」
多分この子は塩と砂糖を間違えたのだろう。
「うん…卵焼きはいいや…」
「なんでですか?ねぇ先輩!!」
遥の料理センスは無いに等しいということが
分かっただけでも良い収穫だろうと拓海は
自分に言い聞かせた。
夜
「先輩今日はありがとうございました!!ラストはあのでかい観覧車に
乗りたいんです!!」
遥が拓海に懇願した。
「よし!!乗るか。」
観覧車に乗ると、今日行った公園や待ち合わせ場所、いろんな景色が
一望できる観覧車だった。
「先輩。最後にお願いします。私と付き合ってください!!
先輩が彼女さんのことが忘れられないのは分かります!!でも!!っ…」
拓海は話している遥の頭を撫でた。
「違う、勿論澪が死んだことは一秒たりとも忘れたことはない。
でも、俺はまた好きになった人が俺の前からいなくなるのが苦しいんだ…
もう失いたくないんだ!!…」
拓海が涙をこらえて話すと、遥はいきなり拓海を抱きしめた。
「昔お母さんが教えてくれたんです。辛いときほど誰かを抱きしめてあげなさいって…先輩、本当につらくなったら私を抱きしめてください。
大丈夫です。先輩は一人じゃないですから。」
遥がそれを言うと、拓海の目から大粒の涙がこぼれた。
そして一言だけ拓海の口から「ありがとう」という言葉だけがでた。
…数週間後
「柊くん!!横山さんと付き合ったってホント!?」
部長の林がすれ違いざまに拓海に話しかけた。
「あ、はい。でも仕事とプライベートは割り切って今度もやっていくので引き続き宜しくお願いします。」
林にそれだけ言い客が待つ待合室に向かった。
~俺は君に恋をした。俺の目に映る君は美しく
て、何よりかけがえのないものになった。
俺は君に愛を誓おう。
どちらかの命が尽きるまで…共に…
第3話 別れが辛いから…
[完]
第4話4月22日に公開
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