むだな話

酔生虫

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自分に、もう本は読めないだろうと思ってた。高校生の頃、グリム童話の本を夢中で読んだ時少し自信がついて、そのあと分厚い白夜行を読んだ。たぶん、ドラマから先に観てしまったのがいけなかったんだな。頭の中で、山田孝之と綾瀬はるかがずっと演技してるから、イマイチのめり込めなかった。それ以降、本は読んでなかったけど、大学に入って、ありとあらゆる価値観が一致する友達ができて、その子に勧められた本は絶対読める気がした。
でも、私は読むのがすごく遅いらしい。そういえば、中学生の頃、少女漫画を読んでいたとき、順番を待っていた姉から、まだ?まだ?って言われてたのを思い出した。たぶん、理解するのが遅いんだと思う。常に状況を整理しながらじゃないと、なんのこっちゃ、となってしまう。
結局、その子からこの一年の間に三冊借りて、最後の一冊は、卒業式の四日前に返した。最後の本が一番好きだったから、またちょっと自信を取り戻していたら、卒業式の日、その子にまた本を貰った。今までの中で一番分厚かった。私は不安で、しばらく本を開けないでいたけど、昨日か、一昨日、やっと読み始めた。

おもしろーい!ぐびぐび読める!やめようと思っても、なかなかやめられないくらい、おもしろい。私は自信に満ち溢れて、卒業式に貰った図書カード5000円分で、1200円の本を三冊買った。

しかし、なんか、あれだなあ。ちょっと本を読んだだけで、文章がなんか、小説ぽくなってない?いやだなあ、ださいなあ、こういうの。

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