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第1章
22話 アンデットの習性と沼
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「エルム、この先は盗賊とかが待ち伏せている事がある。私達で偵察しに行くぞ」
「はい」
トロネ村から出発して2日目の昼過ぎ、まだ森の中を進んでいる。
昨日アンデットの群れと戦闘になったけど、道を外れる事なく進めている。
「よし。他は休んでいてくれ。タツヤとカヨ、ここは任せたぞ」
「おう!」「はい」
アナベルの後について行くと道から外れて坂道を歩く事になった。
そして丘の上に着くとアナベルが僕に近付いて来て、不自然に木が生えていない部分を指差す。
「あそこはこの道を通る人が休憩を取る為の場所だ。あそこに何かいないか見てくれ」
「分かりました。透視」
距離があるので魔力感知は使わず透視で確認する事にした。
「木の陰に隠れていない限り、誰もいないです」
透視は木の生命力、つまり魔力も見えてしまうからそれに人が隠れていた場合、透視だと見分けが付かない。
「よし。1人も見えないなら大丈夫だろう。戻るぞ」
「はい」
偵察も終わったのでみんなの所に戻る。
「エルムは光属性を持つ人間にアンデットが集まるという話を知っているか?」
「いや、聞いた事ないですね。でも経験から考えるとあり得る話だと思います」
前世でもアンデット達は聖女に群がっていたし、今回もカヨに群がっていた。
「そうか。私も詳しくは知らないが王都にいた時そういう話を耳にしてな」
「もしそれが本当ならアンデット達を引き連れた状態でカカラ村に入る事になると思いますけど」
知らなかったで済めばいいけどそうならなかった場合、冒険者をクビになるだけでは済まないだろう。
「ああ、それにもしそうなったら牢屋行きだ。だが私はそうはならないと思うぞ」
「どう言う事ですか?」
牢屋行きと聞いた瞬間ドキッとしたけど、アナベルには何か考えがあるようだ。
「私は昨日倒したアンデットの群れで付近のアンデットはあらかた倒したと思っている。理由はこれまでの旅で必ずアンデットと戦っていたが、今日は戦っていないからだ」
確かに今日はまだ戦闘が起きていないし、アンデットの匂いもしない。
「それと私は群れがいた所に沼があったと睨んでいる」
「沼がですか?」
沼と群れにどういう関係があるのだろう。
「沼というのはアンデットを生み出す謎の泥の事だが、あれは無限にアンデットを生み出せる訳では無く、アンデットを生み出す毎に小さくなって行き、やがては消えて無くなるものなんだ」
「そうだったんですか。アナベルは物知りなんですね」
同じシルバーランクのガルタスが知らなかった事を知っているとは、アナベルの知識量には驚かされる。
「ふふ、私のとっては常識なんだがな」
そうは言っているがアナベルの起源は良くなっている。
「だが一応の為、明日この森を抜けて平原に出る予定だからその時に追って来ていないか確認する」
みんなの元まで戻り、さっき偵察したところが近づくと魔力感知を使い、誰もいない事を確認して休憩を取った。
休憩が終わってからしばらく進み、日が暮れ始めたところで野営のをする事になった。
結局昼間はアンデット系の魔物には出会わなかった。
しかし僕とカヨが見張りをしている時、急にカヨが慌てだして聞くと近くに群れと戦っていた時に現れたナニカがいると言い出し、魔力感知を使うと確かに1体だけ反応があったので、そのゾンビは僕が倒した。
その音に気が付いてかアナベルが起きて来たが、もし次が来たら起こすと言って寝かせた。
その後のカヨは僕の腕を掴んで離さない程に怯えていた。
そして朝になっても何も無かったので、あのゾンビはタイミング良く群れを離れていたゾンビだという事になった。
3日目の昼前。アナベルの言う通り森から抜けて平原出たので、しばらく進んだ所で昼休憩をしながら森からアンデットが出てこないか待つ。
しかし森から出てくる魔物はいなかった。
最後に僕の透視と魔力感知で確認したけど反応は無かったので、安心してカカラ村に向かった。
「はい」
トロネ村から出発して2日目の昼過ぎ、まだ森の中を進んでいる。
昨日アンデットの群れと戦闘になったけど、道を外れる事なく進めている。
「よし。他は休んでいてくれ。タツヤとカヨ、ここは任せたぞ」
「おう!」「はい」
アナベルの後について行くと道から外れて坂道を歩く事になった。
そして丘の上に着くとアナベルが僕に近付いて来て、不自然に木が生えていない部分を指差す。
「あそこはこの道を通る人が休憩を取る為の場所だ。あそこに何かいないか見てくれ」
「分かりました。透視」
距離があるので魔力感知は使わず透視で確認する事にした。
「木の陰に隠れていない限り、誰もいないです」
透視は木の生命力、つまり魔力も見えてしまうからそれに人が隠れていた場合、透視だと見分けが付かない。
「よし。1人も見えないなら大丈夫だろう。戻るぞ」
「はい」
偵察も終わったのでみんなの所に戻る。
「エルムは光属性を持つ人間にアンデットが集まるという話を知っているか?」
「いや、聞いた事ないですね。でも経験から考えるとあり得る話だと思います」
前世でもアンデット達は聖女に群がっていたし、今回もカヨに群がっていた。
「そうか。私も詳しくは知らないが王都にいた時そういう話を耳にしてな」
「もしそれが本当ならアンデット達を引き連れた状態でカカラ村に入る事になると思いますけど」
知らなかったで済めばいいけどそうならなかった場合、冒険者をクビになるだけでは済まないだろう。
「ああ、それにもしそうなったら牢屋行きだ。だが私はそうはならないと思うぞ」
「どう言う事ですか?」
牢屋行きと聞いた瞬間ドキッとしたけど、アナベルには何か考えがあるようだ。
「私は昨日倒したアンデットの群れで付近のアンデットはあらかた倒したと思っている。理由はこれまでの旅で必ずアンデットと戦っていたが、今日は戦っていないからだ」
確かに今日はまだ戦闘が起きていないし、アンデットの匂いもしない。
「それと私は群れがいた所に沼があったと睨んでいる」
「沼がですか?」
沼と群れにどういう関係があるのだろう。
「沼というのはアンデットを生み出す謎の泥の事だが、あれは無限にアンデットを生み出せる訳では無く、アンデットを生み出す毎に小さくなって行き、やがては消えて無くなるものなんだ」
「そうだったんですか。アナベルは物知りなんですね」
同じシルバーランクのガルタスが知らなかった事を知っているとは、アナベルの知識量には驚かされる。
「ふふ、私のとっては常識なんだがな」
そうは言っているがアナベルの起源は良くなっている。
「だが一応の為、明日この森を抜けて平原に出る予定だからその時に追って来ていないか確認する」
みんなの元まで戻り、さっき偵察したところが近づくと魔力感知を使い、誰もいない事を確認して休憩を取った。
休憩が終わってからしばらく進み、日が暮れ始めたところで野営のをする事になった。
結局昼間はアンデット系の魔物には出会わなかった。
しかし僕とカヨが見張りをしている時、急にカヨが慌てだして聞くと近くに群れと戦っていた時に現れたナニカがいると言い出し、魔力感知を使うと確かに1体だけ反応があったので、そのゾンビは僕が倒した。
その音に気が付いてかアナベルが起きて来たが、もし次が来たら起こすと言って寝かせた。
その後のカヨは僕の腕を掴んで離さない程に怯えていた。
そして朝になっても何も無かったので、あのゾンビはタイミング良く群れを離れていたゾンビだという事になった。
3日目の昼前。アナベルの言う通り森から抜けて平原出たので、しばらく進んだ所で昼休憩をしながら森からアンデットが出てこないか待つ。
しかし森から出てくる魔物はいなかった。
最後に僕の透視と魔力感知で確認したけど反応は無かったので、安心してカカラ村に向かった。
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