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第1章
7 アンジェリーク
しおりを挟む青白い魔法陣の光が徐々に弱くなり、薄暗い周囲がますます見えなくなる。
少しの不安と初めての世界に何時も冷静を心がけている気持ちが揺れる。
『異世界より来ていただきました。誠吾さんです。1年半後には元の世界に帰られますが、この世界を守って下さる方です。丁重におもてなしををして下さい』
今まで頭の中で聞いていた女神の声が耳を通して聞こえてくる。
頭の中で聞いていた声と違い威厳のある声だった。
魔法陣の光が消え暫くすると薄暗さに目が慣れてくる。
消えた魔法陣から少し離れた所に数名の気配を感じ其方に視線を向けた。
そこにはゲームやアニメで見るような黒っぽい濃い色を基調とした軍服のような服を着た長髪の男と白っぽい色を基調とした神官が着る法衣のような服を着たサイドを肩までに切りそろえた50歳くらいの男と同じような服を着た20~30歳代と思われる男が5名ほどいた。暗くて20~30歳代と思われる男達は白っぽい服を着ていることしか分からないが……。
『誠吾さん。大司教と司教達、それに誠吾さんの護衛をするこの国の騎士団長です』
女神の声が頭の中に響く。
おぉ~。
使い分けができるのか!
『こっちの方が神力の消費が少ないんですよ』
なんてちょっと驚いて女神と頭の中でやり取りしている間に黒っぽい軍服(でいいんだよな?)を着た男が近づいてきた。
「女神シルフィーナ様より申しつかっております。貴方様の護衛をさせていただくアルフィーノと申します」
バリトンの声が簡素に自己紹介を告げる。
アルフィーノと名乗った護衛の男は白っぽい髪に色の薄い……水色っぽい瞳だった。
いや~。薄暗くてあまり色がはっきり分からない。
まあ、声は何処の声優だよ!ってくらいにいい声なんだが、色の薄い瞳は睨むように鋭く拒絶の色を覗かせている。
自己紹介と共に左手を胸に当て軽く頭を下げるが一瞬たりとも俺から視線を外さない。
異世界から来た人間を胡散臭いと思ってるんだろうなぁ。
まあ、暫く様子みて折り合いが悪かったら女神に相談かな。
それよりも……シルフィーナって女神の名前か?
女神って呼んでて名前聞いてなかったわ。
『そう言えば名乗ってませんでしたね』
またしてもテヘペロって続けて聞こえてきそうな雰囲気の女神の声が頭の中に響く。
おいおい。
さっきの威厳のある感じどこいった~?
名前に関しては俺も聞かなかったしな。今知れてよかったってことにしとこう。
『……私そんな性格じゃないんですよ。コレが素です。誠吾さんの前でくらい楽に会話させて下さいよ~』
何とも締まらない女神だなぁ。
この3日間こんな感じだったし今更威厳見せられても困惑するわ(笑)
それよりも、女神シルフィーナ…………風か?
『ご名答です!誠吾さん!よくわかりましたね』
まあ、現代日本人だし。ゲームやアニメやラノベでお馴染みだし。
しかし、風の女神ってことは火や水や土の神もいるって事か?
『あぁ~。そう思いますよね………。アンジェリークには今私しか神はいないんですよ』
………………。
訳ありか。
ぼんやりとした表情で、頭の中で女神とやり取りしていたからかアルフィーノの視線が更にキツくなる。
アルフィーノに視線を戻した時には視線で殺されるんじゃないかと思うくらいには剣呑としたものになっていた。
「あ~。申し訳ない。俺は霧島誠吾。女神サマに頼まれて召喚に応じた。女神サマとの約束は1年半だ。その間にやれる事はやりたいと思っている。忙しくなるかもだけどよろしく頼むよ」
女神と頭の中で会話してたなんて言ったらおかしな人間だと思われても困るし、サラリと自己紹介だけしてみた。
俺が名前を名乗ると司教達が小声で何かを言っているのが分かったが声が小さく離れていた為内容までは聞き取ることが出来なかった。
アルフィーノから司教達へと視線を移すとそれに気がついたのか司教達も静かになる。
「家名があると言うことは誠吾殿は貴族なのでしょうか?」
アルフィーノが鋭い視線とともに尋ねてくる。
あれ何時だっけ平民にも苗字つけろってやつ。明治に入ってからだったよな………
150年くらい前か?平民苗字必称義務令だったか?
「あ~。うん。こちらの世界では貴族しか家名がないのか?俺の国では150年ほど前に平民にも家名をという法令ができて皆が家名を持っているんだ。俺の国では貴族という階級制度はないよ」
貧富の差はあるがな。そこまで言う必要も無いだろう。
「………貴族では……ない……」
「ああ。そうだな」
「貴族ではない者に学がある?」
あ~。中世ヨーロッパ風なのか?
識字率が低いってことだよな。
「俺のいた世界全ての国でって訳じゃないが、俺のいた国では7歳から15歳の学校での教育が義務付けられてるから識字率は9割以上だな。学校では四則計算も習うし、学年が上がれば他国語も習う。それが義務付けられているんだよ」
俺の説明にアルフィーノと共に少し離れたところにいる大司教と司教達も目を見開いている。
「………なるほど………」
真顔になったアルフィーノは何か考え込んでいる様子を見せていた。
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お読みいただきありがとうございます(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
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