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4章
異常なセカイ
しおりを挟む外に出ると腕を組むヴィーリオ、
そしてその足元には黒い煙を放つ死屍累々…。
「ヴィーリオ…、お前まさか!?」
「あほうよく見ろちゃんと息はしている。」
虚が倒れている一人を抱き起こし確認すると確かに息をしているがかなりうなされている。
「安心しろ、ただの悪夢だ。」
「安心して良いのか?」
ライルが唸っている面々を見回す、
たいした怪我はしていないからまぁ安心だが…。
「焦げ臭いのはなぜなんだ?」
「あまりにもしつこすぎて軽く雷を落として感電させた。」
「感電!?」
確かに地面が所々黒くこげついている。
「戻って追いかけてこられても困る、
とりあえずどこかに隔離するぞ。」
「あ、じゃあ体育館倉庫が良いかも…。」
「案内してくれ。」
カイトと虚が倒れている面々を運び入れ鍵をかけて閉じ込める。
「じゃあ私たちは街に行ってきます。」
「なら僕たちは一通り学校の中を見てくるよ…。」
二手に別れてライルとヴィーリオと少女は街に、カイトと青年と虚は残った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「静かだな。」
「ええ、でもいつ連中が襲ってくるかわからないので油断は禁物です。」
街の中は薄暗く不気味なほどに静まり返っている…、
ライル達にとっては見たこともない物で溢れているが今は質問する気にもなれない。
「ところで…。」
ふと少女の名前を知らないことに気づくとそれを察した少女が立ち止まる。
「マイです。」
「私はライルでこっちはヴィーリオ、
さっき居たのは虚だ。」
「そういえば先程別の場所から来たと言ってましたが…?」
「信じるかは任せるがお前たちで言うなら【異世界】から来た、
今世界規模で問題が起こっていてそれの処理に終われている。」
ヴィーリオが説明するとマイが二人を見る。
「なるほど、
お二人は勇者様と魔導師様ですか…?」
ここで返答に詰まりヴィーリオを見る、
さすがにいやこっちは魔王だなんて言えない…。
「そんなところだ。」
悩むライルを嘲笑うように横目で見ながら答えるヴィーリオからは悪意しか感じない…。
「虚さんは?」
「ここに来る前に出会ったんだ。」
歩きながら旅の経緯を説明する、
もちろんヴィーリオの正体は隠してだが。
「お二人は旅の目的を達成したらどうするのですか?」
「もちろん国に戻って後処理だ、
それから先は旅に出る前と変わらない。」
「ライルさんは?」
「私は…」
ライルが口をつぐむ、
答えづらいことらしく表情も暗い…。
「…目的の建物はあれか?」
「ああ、そうです。」
マイが回りを確認してから建物の中を覗きに行った。
「答えづらいことか?」
「いや…、
私も国に帰らなくてはな…。」
暗い表情のままマイの後を追いかけたライルを見てヴィーリオはアヴィヨンの【勇者以外の理由】という言葉が頭をよぎったがすぐに掻き消した…。
(どうせこの旅が終われば関係なくなる…。)
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