32 / 51
32あれはなに?
しおりを挟む
その後、想像通り教会には多くの人が教会に訪れた。
病気の方が多かったけれど、本人は外に出ることができない、という方も多くいくつものお宅を訪問することとなった。私とマティアス様は患者さんの家族から家の場所と病状を聞きだし紙にまとめた。
患者さんの多くは幼い子供やお年寄りだった。
大半は流行の風邪を患い重症化しているそうだ。
人数は十数人なのでさほど多いわけではないけれど……大丈夫かな、デュクロ司祭。
私も手伝いたい、と言ったら怒られるだろうか?
「私もついていきます!」
そう主張すると、デュクロ司祭はじっと私を見つめた。
「いいの?」
とわけのわからない問いかけをしてくる。
体調がよろしくないデュクロ司祭をひとりで行かせるわけにはいかないもの。
私ができることはやりたい。
「お願いです、お手伝いさせてください!」
と言うと、デュクロ司祭は肩をすくめた。
「僕一人でだいじょう……」
「この町、初めてですよね? 私、案内します!」
言葉を遮り私はデュクロ司祭に近づき訴える。
駄目とは言わせない。
デュクロ司祭はちらりと私の背後へと視線を向けた後、私を見てにこっと笑った。
「だめと言っても聞かないよね」
「はい、聞きません!」
そう、聞くわけがない。
私だって神官見習いで、デュクロ司祭から魔法を教わった唯一の弟子だもの。
ついていくに決まっている。
「そうだね、エステル君。じゃあ、行こうか。ごめんね、マティアスさん、アンヌ殿」
私はマティアス様を振り返り、
「そういうわけでマティアスさん、今日は遅くなりますので家のことはよろしくお願いします!」
と言い、私はマティアス様の手を掴んで目を見つめた。
彼は、私の手と顔を交互にいた後優しく微笑んだ。
「君がしたことに、俺は反対しないよ」
そう言いながら、マティアス様は私の手にその手を重ねる。
私より大きく温かい手だ。
マティアス様は私の手を握り、
「家で君を待ってるから」
と言った。
家で待っている。
当たり前の事なのに、心にずしんと来るのは何故だろうか。
いいや、そんなことを気にしている時間、今はない。
私は握られた手を握り返し、
「行ってきますね」
と答えた。
疲れたから、とか時間が遅いから、ということで断ることは一切せず、デュクロ司祭はそのすべての家を訪問し、癒しの魔法を使い人々を治していった。
風邪、というと軽く見られがちだけれど普通の風邪とは全然違う。
幼い子供が病気で苦しむ姿を見ると心が痛む。
通りを歩いているときに、私はデュクロ司祭に尋ねてみた。
「あの、私が魔法を……」
「使うのはせめて二十歳をすぎて、ちゃんと覚悟ができてからのほうがいいと思うよ」
私の言葉を遮り、デュクロ司祭はきっぱりと言った。
彼は私を見て微笑み、
「君はまだ若いもの。まだ僕がいるのだし、わざわざ命を削って力を使うことはないよ」
そう言われると何も言い返せない。
「迷いがあるなら使わない方がいいよ。誰もその魔法を使うことを強制はしないから。君にしかできないことだけれど、医学は確実に進歩しているし、できるなら君がその魔法を使わなくて済むようになるといいんだけれど」
「迷いなんてありません」
「ははは、そうかー。僕には君が迷っているように見えるけれど」
その言葉にどきりとする。
頭をよぎるマティアス様の顔。私は首を横に振り、頭に浮かんだ画像を消した。
「でも君はそうと決めたら曲げないしねー。それは僕もか」
「そうですよね、いろんな方に外出を止められているのにこっそり教会を抜け出しては怒られていましたよね」
そして私はそれに何度も付き合った。
「教会の皆さん、よくここに来るのを許しましたね」
「え? 何も言ってないよ?」
そうですよね。知っていました。
デュクロ司祭はいたずらっ子のように笑って言った。
「だから黙って出てきたんだ。流行の外国の病気に興味あったし」
「そちらでは流行っていないんですか?」
「うん。今のところは。でも、ここでこれだけ流行しているとなると、いずれニュアージュでも流行るだろうからね」
たしかに、病気は旅人や動物を介して徐々に広まっていくものだ。
今は流行っていなくても、来年はニュアージュでも流行するかもしれない。
私たちは話しながら夜の町を歩き、途中露店で軽食を購入して食べながら、患者さんの待つ家を回って行った。
すべての家を回り終えたとき、町は人通りが途絶え静けさがつつんでいた。
街灯の淡い光が心もとなく町を照らす。
私は呪文を唱え、魔法の明かりを出してあたりを照らす。
夜の町を歩くことなんてないので不思議な感じだった。
日が暮れると寒さが増す。冬はそこまできていると、嫌でも実感する。
「大きな建物だねー」
私の肩につかまりフラフラで歩くデュクロ司祭が、ブノワ商会の建物を見上げて言った。
「ブノワ商会の屋敷ですね。確かに大きいですよね。私の家より大きいかも」
「ははは。そうかもね」
表からブノワ商会の建物の全容なんてわからないけれど、たぶん私の家より大きいと言うのは間違っていないと思う。
こんな大きなお屋敷、何人で住んでいるんだろうか?
そう思いながら私は屋敷を見上げた。
「……え?」
三階の片隅の部屋に何か見えた気がする。
そう、あれは真っ白な人影……
って、え?
白い影……
それから連想する言葉が頭をよぎり、私はデュクロ司祭の服をぎゅっと握った。
「エステル君?」
「デュクロ司祭、あの、幽霊はいませんよね?」
動転してるみたいで、私は自分でも何を言いたいのかよくわからなかった。
「幽霊? そうだねえ、いるとも言えるし、いないとも言えるし。でもなんで突然そんな事を聞くんだい?」
「い、今あの……あそこに白い影が……」
指差した先、ブノワ商会の建物の三階の一画には何も見えない。
いた、よね? 気のせいじゃないと思うんだけど……
そう思ったら、心なしか身体が震えだす。吹く風は冷たくて寒いけれど、この震えは寒さのせいじゃない。
「まあ、幽霊がいたらそこらじゅう幽霊だらけだよね」
そうだ。確かにそうだ。そうじゃなくちゃ、私、事件のあった家なんて買ってないもの。幽霊はいない。そう、いるわけないじゃない。
私はしつこく自分に言い聞かせた。
「き、きっと気のせいです! 早く教会に帰りましょう!
お休みにならないと、司祭様倒れちゃうから!」
恐怖を打ち消そうと近所迷惑をかえりみず、私は大きな声を出した。
「ははは、そうだね、エステル君。今日は付き合ってくれてありがとう。君も早く帰ってあげてね。待っている人がいるのだから」
待っている人……マティアス様。そうだ、今日はユリアンがいないんだっけ?
久しぶりのふたりだけの夜。
そう思うと自然と顔が熱くなっていく。
教会に戻り、足取りもおぼつかなくなっているデュクロ司祭を部屋に送って身支度をして教会をでる。
すると、裏門の前にマティアス様が立っていた。
病気の方が多かったけれど、本人は外に出ることができない、という方も多くいくつものお宅を訪問することとなった。私とマティアス様は患者さんの家族から家の場所と病状を聞きだし紙にまとめた。
患者さんの多くは幼い子供やお年寄りだった。
大半は流行の風邪を患い重症化しているそうだ。
人数は十数人なのでさほど多いわけではないけれど……大丈夫かな、デュクロ司祭。
私も手伝いたい、と言ったら怒られるだろうか?
「私もついていきます!」
そう主張すると、デュクロ司祭はじっと私を見つめた。
「いいの?」
とわけのわからない問いかけをしてくる。
体調がよろしくないデュクロ司祭をひとりで行かせるわけにはいかないもの。
私ができることはやりたい。
「お願いです、お手伝いさせてください!」
と言うと、デュクロ司祭は肩をすくめた。
「僕一人でだいじょう……」
「この町、初めてですよね? 私、案内します!」
言葉を遮り私はデュクロ司祭に近づき訴える。
駄目とは言わせない。
デュクロ司祭はちらりと私の背後へと視線を向けた後、私を見てにこっと笑った。
「だめと言っても聞かないよね」
「はい、聞きません!」
そう、聞くわけがない。
私だって神官見習いで、デュクロ司祭から魔法を教わった唯一の弟子だもの。
ついていくに決まっている。
「そうだね、エステル君。じゃあ、行こうか。ごめんね、マティアスさん、アンヌ殿」
私はマティアス様を振り返り、
「そういうわけでマティアスさん、今日は遅くなりますので家のことはよろしくお願いします!」
と言い、私はマティアス様の手を掴んで目を見つめた。
彼は、私の手と顔を交互にいた後優しく微笑んだ。
「君がしたことに、俺は反対しないよ」
そう言いながら、マティアス様は私の手にその手を重ねる。
私より大きく温かい手だ。
マティアス様は私の手を握り、
「家で君を待ってるから」
と言った。
家で待っている。
当たり前の事なのに、心にずしんと来るのは何故だろうか。
いいや、そんなことを気にしている時間、今はない。
私は握られた手を握り返し、
「行ってきますね」
と答えた。
疲れたから、とか時間が遅いから、ということで断ることは一切せず、デュクロ司祭はそのすべての家を訪問し、癒しの魔法を使い人々を治していった。
風邪、というと軽く見られがちだけれど普通の風邪とは全然違う。
幼い子供が病気で苦しむ姿を見ると心が痛む。
通りを歩いているときに、私はデュクロ司祭に尋ねてみた。
「あの、私が魔法を……」
「使うのはせめて二十歳をすぎて、ちゃんと覚悟ができてからのほうがいいと思うよ」
私の言葉を遮り、デュクロ司祭はきっぱりと言った。
彼は私を見て微笑み、
「君はまだ若いもの。まだ僕がいるのだし、わざわざ命を削って力を使うことはないよ」
そう言われると何も言い返せない。
「迷いがあるなら使わない方がいいよ。誰もその魔法を使うことを強制はしないから。君にしかできないことだけれど、医学は確実に進歩しているし、できるなら君がその魔法を使わなくて済むようになるといいんだけれど」
「迷いなんてありません」
「ははは、そうかー。僕には君が迷っているように見えるけれど」
その言葉にどきりとする。
頭をよぎるマティアス様の顔。私は首を横に振り、頭に浮かんだ画像を消した。
「でも君はそうと決めたら曲げないしねー。それは僕もか」
「そうですよね、いろんな方に外出を止められているのにこっそり教会を抜け出しては怒られていましたよね」
そして私はそれに何度も付き合った。
「教会の皆さん、よくここに来るのを許しましたね」
「え? 何も言ってないよ?」
そうですよね。知っていました。
デュクロ司祭はいたずらっ子のように笑って言った。
「だから黙って出てきたんだ。流行の外国の病気に興味あったし」
「そちらでは流行っていないんですか?」
「うん。今のところは。でも、ここでこれだけ流行しているとなると、いずれニュアージュでも流行るだろうからね」
たしかに、病気は旅人や動物を介して徐々に広まっていくものだ。
今は流行っていなくても、来年はニュアージュでも流行するかもしれない。
私たちは話しながら夜の町を歩き、途中露店で軽食を購入して食べながら、患者さんの待つ家を回って行った。
すべての家を回り終えたとき、町は人通りが途絶え静けさがつつんでいた。
街灯の淡い光が心もとなく町を照らす。
私は呪文を唱え、魔法の明かりを出してあたりを照らす。
夜の町を歩くことなんてないので不思議な感じだった。
日が暮れると寒さが増す。冬はそこまできていると、嫌でも実感する。
「大きな建物だねー」
私の肩につかまりフラフラで歩くデュクロ司祭が、ブノワ商会の建物を見上げて言った。
「ブノワ商会の屋敷ですね。確かに大きいですよね。私の家より大きいかも」
「ははは。そうかもね」
表からブノワ商会の建物の全容なんてわからないけれど、たぶん私の家より大きいと言うのは間違っていないと思う。
こんな大きなお屋敷、何人で住んでいるんだろうか?
そう思いながら私は屋敷を見上げた。
「……え?」
三階の片隅の部屋に何か見えた気がする。
そう、あれは真っ白な人影……
って、え?
白い影……
それから連想する言葉が頭をよぎり、私はデュクロ司祭の服をぎゅっと握った。
「エステル君?」
「デュクロ司祭、あの、幽霊はいませんよね?」
動転してるみたいで、私は自分でも何を言いたいのかよくわからなかった。
「幽霊? そうだねえ、いるとも言えるし、いないとも言えるし。でもなんで突然そんな事を聞くんだい?」
「い、今あの……あそこに白い影が……」
指差した先、ブノワ商会の建物の三階の一画には何も見えない。
いた、よね? 気のせいじゃないと思うんだけど……
そう思ったら、心なしか身体が震えだす。吹く風は冷たくて寒いけれど、この震えは寒さのせいじゃない。
「まあ、幽霊がいたらそこらじゅう幽霊だらけだよね」
そうだ。確かにそうだ。そうじゃなくちゃ、私、事件のあった家なんて買ってないもの。幽霊はいない。そう、いるわけないじゃない。
私はしつこく自分に言い聞かせた。
「き、きっと気のせいです! 早く教会に帰りましょう!
お休みにならないと、司祭様倒れちゃうから!」
恐怖を打ち消そうと近所迷惑をかえりみず、私は大きな声を出した。
「ははは、そうだね、エステル君。今日は付き合ってくれてありがとう。君も早く帰ってあげてね。待っている人がいるのだから」
待っている人……マティアス様。そうだ、今日はユリアンがいないんだっけ?
久しぶりのふたりだけの夜。
そう思うと自然と顔が熱くなっていく。
教会に戻り、足取りもおぼつかなくなっているデュクロ司祭を部屋に送って身支度をして教会をでる。
すると、裏門の前にマティアス様が立っていた。
0
お気に入りに追加
557
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる