エルフ少女とゆっくり異世界旅行

あさじなぎ@小説&漫画配信

文字の大きさ
上 下
4 / 7

4 村までの道

しおりを挟む
 背後から、荷車をひいたロバがゆっくりと近づいてくる。
 帽子を目深にかぶっていてわかりにくいけど、御者はおじいさんぽい。
 たぶん歩いたほうが早いんじゃないだろうか?

「魔法って、例えば町と町を移動できたりとかできないの?」

「うーん、なくはないけど、出発地と目的地両方に目印の魔法陣が必要だし、それなら飛んだほうが楽よね」

「あ、飛べるんだ」

「ええ、ただ、そんなに長い距離は飛べないから、やっぱり移動は馬が最強よね」

 なんか魔法っておとぎ話や児童文学みたいに何でもできるイメージあったけど、現実はなんか制約があったりして厳しいんだなあ。
 っていうと歩いて旅するしかないのかなぁ。

「馬車で行き来とかできるの?」

「私は詳しくないけど、商人に乗せてもらったりすることはあるらしいわ。場所によっては村や町を繋ぐ馬車があるらしいんだけど……けっこうお金がかかるらしいからみんな歩いて移動するらしいのよね。だからどんなに小さな村でも宿屋があるのよ。ただ場合によっては野宿することもあるんですって」

 すげぇ……まるっきり漫画やアニメで見たファンタジー世界だ……!
 中学生の時とか見たなぁ……そういうの。
 でも野宿の装備なんて持ってないぞ……?

「ねえ、このままいけばナトジャっていう村があるんだよね?」

「えぇ。歩いて三十分くらいだからもうすぐ着くわよ」

 あぁよかった。じゃあそこで買い物とかできるんだろうか?
 そもそも俺が持ってるバッグの中身、なんなんだ?
 そう思い俺は、歩きながらバッグの中を確認した。
 小さな革の巾着袋がいくつか入っている。その巾着を取り出して中身を見ると、お金のようなものが入っていた。
 百円くらいの大きさだろうか、銀貨が何枚か入っている。他の巾着を触ってみると、やはりお金が入っているようだけど、ひとつだけ明らかに感触が違うものがあった。
 不思議に思いその巾着を手にして中を覗くと、きらきらひかる石が入っていた。
 これって宝石……だよな。
 なんか読んだ記憶あるぞ。
 お金はかさばるから、冒険者はお金が貯まると宝石に変えて持ち運ぶって。
 なんで俺、こんなにお金や宝石、持ってるんだ?
 ……気にしても仕方ないか。とりあえず金には困らないってことだよな。

「ユーキ、どうかしたの?」

 いつの間にか立ち止まってしまっていたらしい俺に、アレクシアが振り返って、不思議そうな顔で声をかけてくる。
 俺は慌てて巾着をバッグにしまうと、ひきつった笑いを浮かべながら言った。

「な、なんでもない。ごめん」

 俺は早足でアレクシアさんに並ぶ。
 彼女は小さく首を傾げて笑い、

「えぇ、もうすぐナトジャに着くからそこで装備を整えましょう。ユーキのその装備じゃあ、旅ができないと思うから」

 と言った。
 そう、だよなぁ……だって持ち物、金目のものしかないし。

「すみません、いろいろ教えてください、お願いします」

 そう言って、俺はアレクシアに頭を下げた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。 幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。 そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。 故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。 自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。 だが、エアルは知らない。 ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。 遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。 これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

処理中です...