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4 村までの道
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背後から、荷車をひいたロバがゆっくりと近づいてくる。
帽子を目深にかぶっていてわかりにくいけど、御者はおじいさんぽい。
たぶん歩いたほうが早いんじゃないだろうか?
「魔法って、例えば町と町を移動できたりとかできないの?」
「うーん、なくはないけど、出発地と目的地両方に目印の魔法陣が必要だし、それなら飛んだほうが楽よね」
「あ、飛べるんだ」
「ええ、ただ、そんなに長い距離は飛べないから、やっぱり移動は馬が最強よね」
なんか魔法っておとぎ話や児童文学みたいに何でもできるイメージあったけど、現実はなんか制約があったりして厳しいんだなあ。
っていうと歩いて旅するしかないのかなぁ。
「馬車で行き来とかできるの?」
「私は詳しくないけど、商人に乗せてもらったりすることはあるらしいわ。場所によっては村や町を繋ぐ馬車があるらしいんだけど……けっこうお金がかかるらしいからみんな歩いて移動するらしいのよね。だからどんなに小さな村でも宿屋があるのよ。ただ場合によっては野宿することもあるんですって」
すげぇ……まるっきり漫画やアニメで見たファンタジー世界だ……!
中学生の時とか見たなぁ……そういうの。
でも野宿の装備なんて持ってないぞ……?
「ねえ、このままいけばナトジャっていう村があるんだよね?」
「えぇ。歩いて三十分くらいだからもうすぐ着くわよ」
あぁよかった。じゃあそこで買い物とかできるんだろうか?
そもそも俺が持ってるバッグの中身、なんなんだ?
そう思い俺は、歩きながらバッグの中を確認した。
小さな革の巾着袋がいくつか入っている。その巾着を取り出して中身を見ると、お金のようなものが入っていた。
百円くらいの大きさだろうか、銀貨が何枚か入っている。他の巾着を触ってみると、やはりお金が入っているようだけど、ひとつだけ明らかに感触が違うものがあった。
不思議に思いその巾着を手にして中を覗くと、きらきらひかる石が入っていた。
これって宝石……だよな。
なんか読んだ記憶あるぞ。
お金はかさばるから、冒険者はお金が貯まると宝石に変えて持ち運ぶって。
なんで俺、こんなにお金や宝石、持ってるんだ?
……気にしても仕方ないか。とりあえず金には困らないってことだよな。
「ユーキ、どうかしたの?」
いつの間にか立ち止まってしまっていたらしい俺に、アレクシアが振り返って、不思議そうな顔で声をかけてくる。
俺は慌てて巾着をバッグにしまうと、ひきつった笑いを浮かべながら言った。
「な、なんでもない。ごめん」
俺は早足でアレクシアさんに並ぶ。
彼女は小さく首を傾げて笑い、
「えぇ、もうすぐナトジャに着くからそこで装備を整えましょう。ユーキのその装備じゃあ、旅ができないと思うから」
と言った。
そう、だよなぁ……だって持ち物、金目のものしかないし。
「すみません、いろいろ教えてください、お願いします」
そう言って、俺はアレクシアに頭を下げた。
帽子を目深にかぶっていてわかりにくいけど、御者はおじいさんぽい。
たぶん歩いたほうが早いんじゃないだろうか?
「魔法って、例えば町と町を移動できたりとかできないの?」
「うーん、なくはないけど、出発地と目的地両方に目印の魔法陣が必要だし、それなら飛んだほうが楽よね」
「あ、飛べるんだ」
「ええ、ただ、そんなに長い距離は飛べないから、やっぱり移動は馬が最強よね」
なんか魔法っておとぎ話や児童文学みたいに何でもできるイメージあったけど、現実はなんか制約があったりして厳しいんだなあ。
っていうと歩いて旅するしかないのかなぁ。
「馬車で行き来とかできるの?」
「私は詳しくないけど、商人に乗せてもらったりすることはあるらしいわ。場所によっては村や町を繋ぐ馬車があるらしいんだけど……けっこうお金がかかるらしいからみんな歩いて移動するらしいのよね。だからどんなに小さな村でも宿屋があるのよ。ただ場合によっては野宿することもあるんですって」
すげぇ……まるっきり漫画やアニメで見たファンタジー世界だ……!
中学生の時とか見たなぁ……そういうの。
でも野宿の装備なんて持ってないぞ……?
「ねえ、このままいけばナトジャっていう村があるんだよね?」
「えぇ。歩いて三十分くらいだからもうすぐ着くわよ」
あぁよかった。じゃあそこで買い物とかできるんだろうか?
そもそも俺が持ってるバッグの中身、なんなんだ?
そう思い俺は、歩きながらバッグの中を確認した。
小さな革の巾着袋がいくつか入っている。その巾着を取り出して中身を見ると、お金のようなものが入っていた。
百円くらいの大きさだろうか、銀貨が何枚か入っている。他の巾着を触ってみると、やはりお金が入っているようだけど、ひとつだけ明らかに感触が違うものがあった。
不思議に思いその巾着を手にして中を覗くと、きらきらひかる石が入っていた。
これって宝石……だよな。
なんか読んだ記憶あるぞ。
お金はかさばるから、冒険者はお金が貯まると宝石に変えて持ち運ぶって。
なんで俺、こんなにお金や宝石、持ってるんだ?
……気にしても仕方ないか。とりあえず金には困らないってことだよな。
「ユーキ、どうかしたの?」
いつの間にか立ち止まってしまっていたらしい俺に、アレクシアが振り返って、不思議そうな顔で声をかけてくる。
俺は慌てて巾着をバッグにしまうと、ひきつった笑いを浮かべながら言った。
「な、なんでもない。ごめん」
俺は早足でアレクシアさんに並ぶ。
彼女は小さく首を傾げて笑い、
「えぇ、もうすぐナトジャに着くからそこで装備を整えましょう。ユーキのその装備じゃあ、旅ができないと思うから」
と言った。
そう、だよなぁ……だって持ち物、金目のものしかないし。
「すみません、いろいろ教えてください、お願いします」
そう言って、俺はアレクシアに頭を下げた。
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