97 / 103
おまけ小話
ハタチの誕生日2
しおりを挟む
翌日。七月二日日曜日。
リビングのソファーに腰かけて課題をやっていると、琳太郎がやってきて俺の隣に座り、首に絡みつき言った。
「なあ、千早」
「何」
「誕生日、何欲しい」
「お前」
「いや、そういう意味じゃなくってさあ」
呆れた声で言う琳太郎に目を向けて、俺は首を傾げた。
「他に欲しいものなんてあるわけないだろ」
「いや、そうかもしれないけど、だって、せっかく二十歳になるわけだろ? なんかこう特別な何かって思ったんだけど……」
と言い、琳太郎は不服そうな顔をする。
「特別ねえ」
俺は手を止めて、考える。
特別なことってなんだ。
二十歳になったからと言って何が変わるかと言ったら酒が飲めるようになる、と言う事くらいだろう。
酒を飲んだことがないわけじゃないけれど、そこまで飲みたいと言う感情もない。
「俺より先に酒飲めるようになるとかいいなあ」
「お前の誕生日、十二月だもんな。あと五か月か」
琳太郎の誕生日は十二月四日だ。
その日が来ないと琳太郎は酒が飲めない。
「なら俺もその日まで飲まないよ。そこまで飲みたいとか思わないしな」
「え? もったいなくね?」
驚きの顔をして言う琳太郎に、俺は内心首を傾げた。
もったいない、の意味が正直わからない。
「せっかく飲めるようになるんだから飲めばいいのに」
「お前が飲めないのにひとりで飲んでも楽しくないだろ」
もとよりそのつもりだった。
琳太郎が二十歳になったら一緒に飲もうと、ワインやシャンパンなど探している所だ。
琳太郎は視線を下に向けて悩むような顔をした後、俺の方を見て言った。
「まあ、そうかもしれねえけど。でさ、やっぱり二十歳になるわけだしなんかあげたいって思うんだよ俺は。だから誕生日何か欲しいのないの?」
そう改めて問われ、琳太郎の顔を見つめて考える。
欲しいものが本当にない。
俺が欲しいのは琳太郎との時間だけだ。他に何があるだろうか。
琳太郎を繋ぎ止められるなら何でもするのに。
俺は、ピアスの開いた琳太郎の耳に触れ、笑いかけて言った。
「じゃあ、俺のお願い、ひとつ聞いてほしいな」
「それだけでいいのかよ」
「それだけで十分だ」
言いながら、俺は琳太郎の耳たぶをそっと撫で唇を重ねた。
「なあ琳太郎」
「ん……何」
「どうしたら、お前の全部を手に入れられる?」
口づけを繰り返しながら問いかけると、琳太郎は目を潤ませて言った。
「な……ん、何言ってんだよ」
「俺は、お前の全部が欲しいんだ」
「んン……俺、お前に全部あげてる……あ……」
口づけながら琳太郎が着ているTシャツをめくり、肌を直接撫でる。
「千早……ここ、ソファー……」
「今、俺はお前に触れたくてたまらない」
「あン……千早……」
乳首を指で抓ると、身体を震わせ喘ぎ声をあげる。
「今日は家に帰るだろ? お前に残したいんだよ。俺の声も、感触も、全て」
「んン……だめぇ、欲しく、なるからぁ」
琳太郎はまつ毛を震わせて身をよじるけれど、離れようとはしない。
むしろ自分から口を開き、舌を出してキスをねだってくる。
「もっと欲しがれよ、琳太郎。なあ、どうしたらお前に消えない痕を残せる?」
「んぁ……指輪、してるじゃねえか……」
琳太郎と俺の左手の小指に嵌められた指輪は、去年俺が贈った物だ。
俺の番の証として。
それでも足りない。
「愛してる、琳太郎。お前の心も身体も、全部」
「ちは……んン……」
「抱きたい。琳太郎、だめ?」
余裕のない声で俺が言うと、琳太郎はまつ毛を震わせて迷いの表情を見せた。
「でも、準備……あ……」
琳太郎が履いているハーフパンツの上からペニスを撫でると、それはすでに硬く膨らんでいるのがわかる。
「これ、きつそうだな」
「あ……ン、だって……千早が……」
言いながら、琳太郎は足を開く。
文句を言いながらも、ヤる気はあるらしい。
俺は口づけながら、服の上からペニスを撫でた。
「ん……やらぁ……れちゃう……」
やだ、と言いながらも琳太郎はキスを受け入れるし、自分からハーフパンツのボタンとファスナーを開ける。
下着の上からペニスに触れると、先走りが溢れているらしくじわり、と下着を濡らしていた。
「なんだよ、濡れてるじゃねぇか」
「だってぇ……千早が触るからぁ」
「後ろだって欲しいんじゃねぇの?」
「んン……まだ朝の九時……」
確かに早い時間だが、ヤるのに時間なんて関係ないだろう。
俺は胸に口づけながら下着の上から緩急をつけてペニスを撫でていく。
琳太郎は拒絶の言葉を重ねる割に一切抵抗せず、自分からTシャツを脱ぎ捨てた。
「千早……俺、欲しくなる……」
「どこに?」
乳首を舐めながら尋ねると、琳太郎は喘ぎながら恥ずかしそうに、
「中……」
と、呟く。
早くぶち込みたい衝動を抑え、俺は、琳太郎に風呂に行くよう促した。
リビングのソファーに腰かけて課題をやっていると、琳太郎がやってきて俺の隣に座り、首に絡みつき言った。
「なあ、千早」
「何」
「誕生日、何欲しい」
「お前」
「いや、そういう意味じゃなくってさあ」
呆れた声で言う琳太郎に目を向けて、俺は首を傾げた。
「他に欲しいものなんてあるわけないだろ」
「いや、そうかもしれないけど、だって、せっかく二十歳になるわけだろ? なんかこう特別な何かって思ったんだけど……」
と言い、琳太郎は不服そうな顔をする。
「特別ねえ」
俺は手を止めて、考える。
特別なことってなんだ。
二十歳になったからと言って何が変わるかと言ったら酒が飲めるようになる、と言う事くらいだろう。
酒を飲んだことがないわけじゃないけれど、そこまで飲みたいと言う感情もない。
「俺より先に酒飲めるようになるとかいいなあ」
「お前の誕生日、十二月だもんな。あと五か月か」
琳太郎の誕生日は十二月四日だ。
その日が来ないと琳太郎は酒が飲めない。
「なら俺もその日まで飲まないよ。そこまで飲みたいとか思わないしな」
「え? もったいなくね?」
驚きの顔をして言う琳太郎に、俺は内心首を傾げた。
もったいない、の意味が正直わからない。
「せっかく飲めるようになるんだから飲めばいいのに」
「お前が飲めないのにひとりで飲んでも楽しくないだろ」
もとよりそのつもりだった。
琳太郎が二十歳になったら一緒に飲もうと、ワインやシャンパンなど探している所だ。
琳太郎は視線を下に向けて悩むような顔をした後、俺の方を見て言った。
「まあ、そうかもしれねえけど。でさ、やっぱり二十歳になるわけだしなんかあげたいって思うんだよ俺は。だから誕生日何か欲しいのないの?」
そう改めて問われ、琳太郎の顔を見つめて考える。
欲しいものが本当にない。
俺が欲しいのは琳太郎との時間だけだ。他に何があるだろうか。
琳太郎を繋ぎ止められるなら何でもするのに。
俺は、ピアスの開いた琳太郎の耳に触れ、笑いかけて言った。
「じゃあ、俺のお願い、ひとつ聞いてほしいな」
「それだけでいいのかよ」
「それだけで十分だ」
言いながら、俺は琳太郎の耳たぶをそっと撫で唇を重ねた。
「なあ琳太郎」
「ん……何」
「どうしたら、お前の全部を手に入れられる?」
口づけを繰り返しながら問いかけると、琳太郎は目を潤ませて言った。
「な……ん、何言ってんだよ」
「俺は、お前の全部が欲しいんだ」
「んン……俺、お前に全部あげてる……あ……」
口づけながら琳太郎が着ているTシャツをめくり、肌を直接撫でる。
「千早……ここ、ソファー……」
「今、俺はお前に触れたくてたまらない」
「あン……千早……」
乳首を指で抓ると、身体を震わせ喘ぎ声をあげる。
「今日は家に帰るだろ? お前に残したいんだよ。俺の声も、感触も、全て」
「んン……だめぇ、欲しく、なるからぁ」
琳太郎はまつ毛を震わせて身をよじるけれど、離れようとはしない。
むしろ自分から口を開き、舌を出してキスをねだってくる。
「もっと欲しがれよ、琳太郎。なあ、どうしたらお前に消えない痕を残せる?」
「んぁ……指輪、してるじゃねえか……」
琳太郎と俺の左手の小指に嵌められた指輪は、去年俺が贈った物だ。
俺の番の証として。
それでも足りない。
「愛してる、琳太郎。お前の心も身体も、全部」
「ちは……んン……」
「抱きたい。琳太郎、だめ?」
余裕のない声で俺が言うと、琳太郎はまつ毛を震わせて迷いの表情を見せた。
「でも、準備……あ……」
琳太郎が履いているハーフパンツの上からペニスを撫でると、それはすでに硬く膨らんでいるのがわかる。
「これ、きつそうだな」
「あ……ン、だって……千早が……」
言いながら、琳太郎は足を開く。
文句を言いながらも、ヤる気はあるらしい。
俺は口づけながら、服の上からペニスを撫でた。
「ん……やらぁ……れちゃう……」
やだ、と言いながらも琳太郎はキスを受け入れるし、自分からハーフパンツのボタンとファスナーを開ける。
下着の上からペニスに触れると、先走りが溢れているらしくじわり、と下着を濡らしていた。
「なんだよ、濡れてるじゃねぇか」
「だってぇ……千早が触るからぁ」
「後ろだって欲しいんじゃねぇの?」
「んン……まだ朝の九時……」
確かに早い時間だが、ヤるのに時間なんて関係ないだろう。
俺は胸に口づけながら下着の上から緩急をつけてペニスを撫でていく。
琳太郎は拒絶の言葉を重ねる割に一切抵抗せず、自分からTシャツを脱ぎ捨てた。
「千早……俺、欲しくなる……」
「どこに?」
乳首を舐めながら尋ねると、琳太郎は喘ぎながら恥ずかしそうに、
「中……」
と、呟く。
早くぶち込みたい衝動を抑え、俺は、琳太郎に風呂に行くよう促した。
0
お気に入りに追加
909
あなたにおすすめの小説
幼馴染は僕を選ばない。
佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。
僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。
僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。
好きだった。
好きだった。
好きだった。
離れることで断ち切った縁。
気付いた時に断ち切られていた縁。
辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。
両片思いのI LOVE YOU
大波小波
BL
相沢 瑠衣(あいざわ るい)は、18歳のオメガ少年だ。
両親に家を追い出され、バイトを掛け持ちしながら毎日を何とか暮らしている。
そんなある日、大学生のアルファ青年・楠 寿士(くすのき ひさし)と出会う。
洋菓子店でミニスカサンタのコスプレで頑張っていた瑠衣から、売れ残りのクリスマスケーキを全部買ってくれた寿士。
お礼に彼のマンションまでケーキを運ぶ瑠衣だが、そのまま寿士と関係を持ってしまった。
富豪の御曹司である寿士は、一ヶ月100万円で愛人にならないか、と瑠衣に持ち掛ける。
少々性格に難ありの寿士なのだが、金銭に苦労している瑠衣は、ついつい応じてしまった……。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
溺愛アルファの完璧なる巣作り
夕凪
BL
【本編完結済】(番外編SSを追加中です)
ユリウスはその日、騎士団の任務のために赴いた異国の山中で、死にかけの子どもを拾った。
抱き上げて、すぐに気づいた。
これは僕のオメガだ、と。
ユリウスはその子どもを大事に大事に世話した。
やがてようやく死の淵から脱した子どもは、ユリウスの下で成長していくが、その子にはある特殊な事情があって……。
こんなに愛してるのにすれ違うことなんてある?というほどに溺愛するアルファと、愛されていることに気づかない薄幸オメガのお話。(になる予定)
※この作品は完全なるフィクションです。登場する人物名や国名、団体名、宗教等はすべて架空のものであり、実在のものと一切の関係はありません。
話の内容上、宗教的な描写も登場するかと思いますが、繰り返しますがフィクションです。特定の宗教に対して批判や肯定をしているわけではありません。
クラウス×エミールのスピンオフあります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/504363362/542779091
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
頑張って番を見つけるから友達でいさせてね
貴志葵
BL
大学生の優斗は二十歳を迎えてもまだαでもβでもΩでもない「未分化」のままだった。
しかし、ある日突然Ωと診断されてしまう。
ショックを受けつつも、Ωが平穏な生活を送るにはαと番うのが良いという情報を頼りに、優斗は番を探すことにする。
──番、と聞いて真っ先に思い浮かんだのは親友でαの霧矢だが、彼はΩが苦手で、好みのタイプは美人な女性α。うん、俺と真逆のタイプですね。
合コンや街コンなど色々試してみるが、男のΩには悲しいくらいに需要が無かった。しかも、長い間未分化だった優斗はΩ特有の儚げな可憐さもない……。
Ωになってしまった優斗を何かと気にかけてくれる霧矢と今まで通り『普通の友達』で居る為にも「早くαを探さなきゃ」と優斗は焦っていた。
【塩対応だけど受にはお砂糖多めのイケメンα大学生×ロマンチストで純情なそこそこ顔のΩ大学生】
※攻は過去に複数の女性と関係を持っています
※受が攻以外の男性と軽い性的接触をするシーンがあります(本番無し・合意)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる