三限目の国語

理科準備室

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ウンコマンみんなの拍手を受ける

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でも、ぼくはウンコマンになることでラクになった。もう幸雄君のようなことどころか、のぶお君のようなことになることもなさそうだった。
そんなことでラクになった自分が恥ずかしかったけど、二人の論議を聞く余裕ができていることには気が付いた。
聞いていると、うんちすることで行くことで頭がいっぱいだった状態では気が付かなかった。二人の意見の問題点が頭の中にひらめいた。
「よしお君・昌子ちゃん聞いて! キャサリンもジョンも間違っているところも正しいところもあるよ」と切り出して、その問題点を思いつくまま言った。そんな自分に、ぼく自身もそれまで頭の底に沈んでいたものが突然吹き出してくるようで驚いた。
しかも考えていることがすらすらとそのまま言葉になって口から出てきた。
そのとき、ぼくの意識からうんちのこともおしりの穴の感覚も完全に消えていた。そのことを考えていなかったのは2限の理科室以来だった。
すると、それまでろくろく発言しなかったぼくがいきなり発言して驚いたのか、二人は二人とも一瞬きょとんとして、顔を見合わせたが、すぐに「そうね、それ は気が付かなかったわ」「●●のいうとおりだよ」と二人も納得した。他のメンバーも二人が納得すれば納得するしかなかった。気がつくと先生が脇に立っていて、ぼくの発言を聞いていた。
先生は軽く拍手しながら「その意見、先生も賛成です。みんなの前で言って発表してもらえない」と言った。
そして、先生は黒板の前に立つと、手をたたいて「みんな! ●●君がとても素晴らしい意見を発表します。皆さんも●●君の意見を聞きましょう。●●君前に来て」と呼びかけた。
ぼくは先生に請われるままに「はい」と答えて黒板の前に思いつくままにしゃべった。話しながら、みんなの前で話すぼくの声はとてもよく響いていたことに気づいた。
おなかの中にうんちがたまっている状態で同じように先生に発表してねと言われても、たぶんこんな声は出なかった。きっとうんちを出してきたから、こんなに声がよく出て堂々と発表できているんだろうな、ということにぼくは気づいた。
話が終わると、「一時はどうなるかと思っていたけど素晴らしい意見でまとめてくれたわね、先生もそう思うわ」とみんなの前でぼくをほめてくれた。うんちすることは本を読んだり計算したり走ったりといった学校ですることと一番遠いことと思っていた。でも今、ぼくはうんちしたことで結果として先生にほめられている・・・。そして先生は「とても立派な態度で素晴らしい意見を発表してくれた。●●君に拍手!」と呼びかけた。それに応えてクラスのみんなも黒板の前に立つぼくに盛大に拍手した。
ぼくはうんちしたことを拍手されているように思えて、顔が少し赤くなった。あんな汚いことしたのに、そのことでこんなにみんなに拍手されているなんて、本当にぼく一人だけの秘密なんだ。                                     
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