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第6話 ボーボー
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O先生の前で「シクラメンのかほり」を歌ってからそんなに日が経たない体育の授業が終わった後のことだった。
ぼくはいつものように体操着からの着替えのために教室に戻る途中でおしっこしよう便所に立ち寄った。ぼくはその時は何の考えもなしに先におしっこしていた同じクラスのテルヒロの隣のべんきの前に立った。彼もおきゅう部の一員で坊主頭だった。この夏の5年生だけの日帰りキャンプで昼食はカレーなのにゲリベンをもらした過去があった。
体操服は長袖長ズボンで、胸に赤で穴実小の校章が入った全身紫の冬用に変わっていたけど、冬用の体操服は男女兼用で、チャックの前開きがついていた白い短パンの夏用と違って、前開きというのがついていないという、ぼくだち男子にとってはやっかいなものだった。だから低学年の子たちがおしっこするときは学校のみんなの目の前でもズボンもパンツもおしり丸出しになるまで下ろしておしっこする子が多かった。
でも、5年生になれば誰もそんな恥ずかしい格好なんかするわけないから、ぼくもみんながいつもするように、最低限だけ下ろしてちんちんをつまみ出してジャーっとおしっこを始めた。するとテルヒロが自分もおしっこしながらぼくのおしっこを出ているちんちんをじっと見ていた。
穴実小の男子児童便所は、、男女関係なくドアが必ずついているオンナベンジョと違って、また一つ一つついている職員便所とも違って、廊下から見えないように廊下に面したところしか仕切りがあるだけで、となりのおしっこしているのを見ようと思えばいくらでも見えた。
「何見てるんだよ!」
ぼくはびっくりして思わず叫んでしまった。
もし学校の男子児童便所のオンナベンジョでおしりを出してうんこしたら、ドアを閉めていても、いや、ドアがしまっていることそのものが珍しくて上や下の隙間からのぞかれることはありえることだったし、ぼくもそういういたずらはしたことがあった。
でも、授業の間の休み時間に同じ男子児童便所でおしっこするためにちんちんの出すのは当たり前のことで、そのとき他の子が出しているちんちんを見ようとする子がいるなんて考えていなかった。
するとおしっこの終わったテルヒロは、体操着のズボンにちんちんをしまいながらつぶやくように言った。
「すげぇ、生えてる、オンナブに、父ちゃんみたいにボーボーちん毛が生えてる・・・たぶんクラスで一番だ、」
おきゅう部では、穴実小の合唱部は陰でオンナブと呼ばれていた。合唱部の数少ない男子で、ボーイソプラノで目立っていたこともあって、オンナブはぼくの代名詞にも使われることもあった。
ぼくはしまったと思った。ぼくがこっそり毛むくじゃらのケダモノになってしまったことは、本当は誰にも気づかれてはいけない一番恥ずかしいことだった。
でも、もう遅かった。テルヒロは手を洗うのも忘れて、半ば興奮気味にニュースのアナウンサーような口調を真似て叫びながら、教室の方に走ってった。
「ニュースです! ニュースです! オンナブの●●●にちん毛がはえました。クラスではじめてのことです、いや学年ではじめてのことでしょう!」
本当はその時点でもっと要領のいい子が先に生えていて見つからないように巧妙に隠しておしっこしていたかもしれなかった。背が学年でもトップクラスに高いのも事実だし、男子児童便所で普通にうんこしただけで「うんこもらし」が確定するような穴実小の5年生の中で手が不自由でどんくさいぼくがまず標的になるのは仕方ないことだった。
ぼくは彼を見送った後、しかたなく教室に戻った。
(続く)
ぼくはいつものように体操着からの着替えのために教室に戻る途中でおしっこしよう便所に立ち寄った。ぼくはその時は何の考えもなしに先におしっこしていた同じクラスのテルヒロの隣のべんきの前に立った。彼もおきゅう部の一員で坊主頭だった。この夏の5年生だけの日帰りキャンプで昼食はカレーなのにゲリベンをもらした過去があった。
体操服は長袖長ズボンで、胸に赤で穴実小の校章が入った全身紫の冬用に変わっていたけど、冬用の体操服は男女兼用で、チャックの前開きがついていた白い短パンの夏用と違って、前開きというのがついていないという、ぼくだち男子にとってはやっかいなものだった。だから低学年の子たちがおしっこするときは学校のみんなの目の前でもズボンもパンツもおしり丸出しになるまで下ろしておしっこする子が多かった。
でも、5年生になれば誰もそんな恥ずかしい格好なんかするわけないから、ぼくもみんながいつもするように、最低限だけ下ろしてちんちんをつまみ出してジャーっとおしっこを始めた。するとテルヒロが自分もおしっこしながらぼくのおしっこを出ているちんちんをじっと見ていた。
穴実小の男子児童便所は、、男女関係なくドアが必ずついているオンナベンジョと違って、また一つ一つついている職員便所とも違って、廊下から見えないように廊下に面したところしか仕切りがあるだけで、となりのおしっこしているのを見ようと思えばいくらでも見えた。
「何見てるんだよ!」
ぼくはびっくりして思わず叫んでしまった。
もし学校の男子児童便所のオンナベンジョでおしりを出してうんこしたら、ドアを閉めていても、いや、ドアがしまっていることそのものが珍しくて上や下の隙間からのぞかれることはありえることだったし、ぼくもそういういたずらはしたことがあった。
でも、授業の間の休み時間に同じ男子児童便所でおしっこするためにちんちんの出すのは当たり前のことで、そのとき他の子が出しているちんちんを見ようとする子がいるなんて考えていなかった。
するとおしっこの終わったテルヒロは、体操着のズボンにちんちんをしまいながらつぶやくように言った。
「すげぇ、生えてる、オンナブに、父ちゃんみたいにボーボーちん毛が生えてる・・・たぶんクラスで一番だ、」
おきゅう部では、穴実小の合唱部は陰でオンナブと呼ばれていた。合唱部の数少ない男子で、ボーイソプラノで目立っていたこともあって、オンナブはぼくの代名詞にも使われることもあった。
ぼくはしまったと思った。ぼくがこっそり毛むくじゃらのケダモノになってしまったことは、本当は誰にも気づかれてはいけない一番恥ずかしいことだった。
でも、もう遅かった。テルヒロは手を洗うのも忘れて、半ば興奮気味にニュースのアナウンサーような口調を真似て叫びながら、教室の方に走ってった。
「ニュースです! ニュースです! オンナブの●●●にちん毛がはえました。クラスではじめてのことです、いや学年ではじめてのことでしょう!」
本当はその時点でもっと要領のいい子が先に生えていて見つからないように巧妙に隠しておしっこしていたかもしれなかった。背が学年でもトップクラスに高いのも事実だし、男子児童便所で普通にうんこしただけで「うんこもらし」が確定するような穴実小の5年生の中で手が不自由でどんくさいぼくがまず標的になるのは仕方ないことだった。
ぼくは彼を見送った後、しかたなく教室に戻った。
(続く)
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