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忘れられた「ぼく」
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そして4限目の国語の授業を受けているときはもう3限目の体育の時間中に体育かんの便じょのことをもう忘れていた。4限が終わり給食を食べてお昼休みになると、ぼくはクラスの子とおにごっこをするためにいつものように体育かんに行った。そしておにごっこする前におしっこしようと体育かんの便じょに入ったら、さっきぼくが入っていたしゃがむ方の入口を取り巻いている子たちでいっぱいだった。いつものようにその子たちは口々に「きたねー」とか「くっせー」とか冷やかしの言葉を浴びせていた。ぼくもその子たちが取り巻いている中に何があるか気になって仕方がなかった。
いつもだったら一目散にその子たちの間に入ってのぞきこむけど、今日のぼくにはそれはキケンだった。もし、ぼくのうんこがまだそこに残ってたら、再びそこに来たことでぼくのものとバレるかもしれなかった。それにもしかするとあのあとぼくのは先生がみつけて流してくれて、そのあとにだれか知らない子がしたうんこかもしれなかった。
それが本当にぼくのうんこでも、やはりあれからどうなっているか見てみたいという気もちが頭のそこからわいてくるのをぼくは自分でもガマンできなかった。見たいといきもちと見てはいけない気持ちの間でぼくは板ばさみになって、ぼくは一しゅん立ち止ってしまった。そのとき「おい、おまえも見ろよ! 学校でうんこしたやつがいるぜ!」とその子たちの一人だった5年生のひでお君がぼくをよび止めた。
ひでお君は学年は一つ上だけど同じ近じょの友だちで幼ちえんのころから遊んでいた子だった。ぼくが一年生のときの町内りょ行でひでお君はバスの中で下りうんこをもらしたことがあるけど、なぜか昼休みにこの体いくかんの便じょでながさないうんこが発けんされるとよくひでお君がいて、ぼくはあやしいとおもっていた。
でも、今あるのはやはりぼくの出したうんこにまちがいなかった。いまこの場からにげたらぼくのだとひでお君はうたがうことはまちがいなかったので、しかたなくぼくは見た。そこにあったのはやはりぼくのものだった。下りのうんこもおしりをふいたトイレットペーパーのしんも白い便きの中にそのときの形やにおいのままでそこにあった。それを見てぼくは、体そう着をぬいでからずっと忘れていた、その下りうんこがおしりの穴をとおって出てくるかんじや、トイレットペーパーでおしりをふぃたときのおしりの穴にボール紙に当たるかんじも、そしてしゃがんでいる目の前にあったかべもぜんぶ思い出してしまった。
それをなにもかも見られているぼくはまるで取り囲んでいる子たちの目の前で黄色のペンキでえがかれてある足の絵の上に足を置いてしゃがんでうんこしているような気がした。そのとき一ぴきのハエまで飛んできてぼくのうんこの上にとまって、ぼくのうんこをなめるようにもぞもぞ動きまわってた。まるでおしりの穴にハエが止まってもぞもぞ動き回っているようなきがした。それにたえられずにぼくは思わず「うわっ、きたねー」とさけんでしまった。
それを聞いてひでお君は「学校でこんな下りうんこするやつ、きたねーよな、サイテーだよな、まったく。しかも、ボール紙のしんでこいつケツふいているんだぜ、わはは」と楽しそうに言っていた。ぼくはおしっこだけしてそっとにげた。
しかも、ぼくは昼休みが終わって教室へ歩いているときにさちお君にかたをたたかれて小さな声で言われた。
「体育の時間にうんこしていたよね、ないしょにしてあげるよ、友だちだから」
ぼくはあわてた。あのときさちお君はぼくのことなんか気にしないでそのままみつお君と行ったはずなのに。
「さちお君、あのときしたのはおしっこだよ、学校でうんこするわけないじゃないか」
「学校でおなかが痛くなることだってあるよ、ぜったいしゃべらないよ!」
体育かんの便じょにのこされていたうんこがぼくのものときづかれていなかったのはまだましったけど、ぼくはそれ以上何もいい返せなかった。
ぼくはそのあとの終わりの会までの午後の授業のあいだ、頭の中に体育かんの便じょでうんこしたときのことや、昼やすみにぼくのしたうんこを見られていたときのことが何度もくり返しくり返し現れて止まらなかった。みんなが学校で勉強しているなかでぼく一人だけがうんこをしてきたなくなってくさくなったようで、はずかしくて先生の話もあまりきけなった。
その次の日もさらに次の日もぼくは昼休みになっておにごっこをしに体育かんにいくたびに、どうしても気になっておしっこをするふりをしてしゃがむところを見に行った。ぼくのうんこは流されないまま、トイレットペーパーのしんといっしょにそのときのままにくさいにおいがしていた。先生たちはビニールのテープをしゃがむところにはったまま、誰もつかわないだろうと思って来ないらしかった。
ただぼくがうんこした日とちがっておまつりが終わったみたいにだれも見ている子はいなくなっていた。代わりにハエのおまつりになっていた。ぼくの見ている間にも何びきものハエたちがやってきてはうんこの上に止まっていった。ハエもいてきたないからはやくうんこを流してほしいと思ったけど、まるで、ぼくがみんなの学校でうんこをしたばつでろう下に立たされているみたいに、ながされずにそのままだった。
そして何日もたつうちに下りのどろどろうんこは水ぶんがぬけてきて、便きのそこにべっとりとついて水を流しただけで流れそうもないようになってしまった。そして穴のようなものが開いてきたかと思うと、そこからとまったハエが卵を産み付けていったのか白いウジ虫がたくさんはっていた。おしりをふいたトイレットペーパーのしんもそのままで、何びきかのウジ虫がはっていた。
それまでウジ虫は学校の便じょでは見たことはなかったけど、ぼくの家のくみ取り便じょのそこのほうにいるのは知っていた。のぞくと暗くてよく見えなかったけど白いのがもぞもぞと動いているのが見えた。
でも、田んぼ道にころがっているカエルの死がいにウジ虫がいるのははっきり見たことがあるし、2年生のころ、亡くなったおじいちゃんから戦そうに行ったとき死んだ人にウジ虫がむらがっているのを何ども見たことがあるという話を聞いたので。生きものは死ぬとウジ虫がむらがることは知っていたけど、そのときの体育かんの便じょのしゃがむところの便きの中で今生きているぼくのおなかの中にあったうんこにウジ虫がむらがっていた。それにうんこのにおいも出したときよりもっとくさったみたいなにおいになっていて、まだ四年生なのにぼくじしんが死んだような気になってしまった。
それから教室にもどると、みんな生きて授業を受けているのに、ぼくは一人だけが体育かんの便じょでこっそり死んでくさっているような重い気もちで授ぎょうを受けた。ぼくはそれをぼくだけのひみつにするためにもう育かんの便じょにいかないことにした。
そしてぼくの体育かんの便じょの中のうんこが流されたかどうかわからないまま一学きが終わり、夏休みになった。
いつもだったら一目散にその子たちの間に入ってのぞきこむけど、今日のぼくにはそれはキケンだった。もし、ぼくのうんこがまだそこに残ってたら、再びそこに来たことでぼくのものとバレるかもしれなかった。それにもしかするとあのあとぼくのは先生がみつけて流してくれて、そのあとにだれか知らない子がしたうんこかもしれなかった。
それが本当にぼくのうんこでも、やはりあれからどうなっているか見てみたいという気もちが頭のそこからわいてくるのをぼくは自分でもガマンできなかった。見たいといきもちと見てはいけない気持ちの間でぼくは板ばさみになって、ぼくは一しゅん立ち止ってしまった。そのとき「おい、おまえも見ろよ! 学校でうんこしたやつがいるぜ!」とその子たちの一人だった5年生のひでお君がぼくをよび止めた。
ひでお君は学年は一つ上だけど同じ近じょの友だちで幼ちえんのころから遊んでいた子だった。ぼくが一年生のときの町内りょ行でひでお君はバスの中で下りうんこをもらしたことがあるけど、なぜか昼休みにこの体いくかんの便じょでながさないうんこが発けんされるとよくひでお君がいて、ぼくはあやしいとおもっていた。
でも、今あるのはやはりぼくの出したうんこにまちがいなかった。いまこの場からにげたらぼくのだとひでお君はうたがうことはまちがいなかったので、しかたなくぼくは見た。そこにあったのはやはりぼくのものだった。下りのうんこもおしりをふいたトイレットペーパーのしんも白い便きの中にそのときの形やにおいのままでそこにあった。それを見てぼくは、体そう着をぬいでからずっと忘れていた、その下りうんこがおしりの穴をとおって出てくるかんじや、トイレットペーパーでおしりをふぃたときのおしりの穴にボール紙に当たるかんじも、そしてしゃがんでいる目の前にあったかべもぜんぶ思い出してしまった。
それをなにもかも見られているぼくはまるで取り囲んでいる子たちの目の前で黄色のペンキでえがかれてある足の絵の上に足を置いてしゃがんでうんこしているような気がした。そのとき一ぴきのハエまで飛んできてぼくのうんこの上にとまって、ぼくのうんこをなめるようにもぞもぞ動きまわってた。まるでおしりの穴にハエが止まってもぞもぞ動き回っているようなきがした。それにたえられずにぼくは思わず「うわっ、きたねー」とさけんでしまった。
それを聞いてひでお君は「学校でこんな下りうんこするやつ、きたねーよな、サイテーだよな、まったく。しかも、ボール紙のしんでこいつケツふいているんだぜ、わはは」と楽しそうに言っていた。ぼくはおしっこだけしてそっとにげた。
しかも、ぼくは昼休みが終わって教室へ歩いているときにさちお君にかたをたたかれて小さな声で言われた。
「体育の時間にうんこしていたよね、ないしょにしてあげるよ、友だちだから」
ぼくはあわてた。あのときさちお君はぼくのことなんか気にしないでそのままみつお君と行ったはずなのに。
「さちお君、あのときしたのはおしっこだよ、学校でうんこするわけないじゃないか」
「学校でおなかが痛くなることだってあるよ、ぜったいしゃべらないよ!」
体育かんの便じょにのこされていたうんこがぼくのものときづかれていなかったのはまだましったけど、ぼくはそれ以上何もいい返せなかった。
ぼくはそのあとの終わりの会までの午後の授業のあいだ、頭の中に体育かんの便じょでうんこしたときのことや、昼やすみにぼくのしたうんこを見られていたときのことが何度もくり返しくり返し現れて止まらなかった。みんなが学校で勉強しているなかでぼく一人だけがうんこをしてきたなくなってくさくなったようで、はずかしくて先生の話もあまりきけなった。
その次の日もさらに次の日もぼくは昼休みになっておにごっこをしに体育かんにいくたびに、どうしても気になっておしっこをするふりをしてしゃがむところを見に行った。ぼくのうんこは流されないまま、トイレットペーパーのしんといっしょにそのときのままにくさいにおいがしていた。先生たちはビニールのテープをしゃがむところにはったまま、誰もつかわないだろうと思って来ないらしかった。
ただぼくがうんこした日とちがっておまつりが終わったみたいにだれも見ている子はいなくなっていた。代わりにハエのおまつりになっていた。ぼくの見ている間にも何びきものハエたちがやってきてはうんこの上に止まっていった。ハエもいてきたないからはやくうんこを流してほしいと思ったけど、まるで、ぼくがみんなの学校でうんこをしたばつでろう下に立たされているみたいに、ながされずにそのままだった。
そして何日もたつうちに下りのどろどろうんこは水ぶんがぬけてきて、便きのそこにべっとりとついて水を流しただけで流れそうもないようになってしまった。そして穴のようなものが開いてきたかと思うと、そこからとまったハエが卵を産み付けていったのか白いウジ虫がたくさんはっていた。おしりをふいたトイレットペーパーのしんもそのままで、何びきかのウジ虫がはっていた。
それまでウジ虫は学校の便じょでは見たことはなかったけど、ぼくの家のくみ取り便じょのそこのほうにいるのは知っていた。のぞくと暗くてよく見えなかったけど白いのがもぞもぞと動いているのが見えた。
でも、田んぼ道にころがっているカエルの死がいにウジ虫がいるのははっきり見たことがあるし、2年生のころ、亡くなったおじいちゃんから戦そうに行ったとき死んだ人にウジ虫がむらがっているのを何ども見たことがあるという話を聞いたので。生きものは死ぬとウジ虫がむらがることは知っていたけど、そのときの体育かんの便じょのしゃがむところの便きの中で今生きているぼくのおなかの中にあったうんこにウジ虫がむらがっていた。それにうんこのにおいも出したときよりもっとくさったみたいなにおいになっていて、まだ四年生なのにぼくじしんが死んだような気になってしまった。
それから教室にもどると、みんな生きて授業を受けているのに、ぼくは一人だけが体育かんの便じょでこっそり死んでくさっているような重い気もちで授ぎょうを受けた。ぼくはそれをぼくだけのひみつにするためにもう育かんの便じょにいかないことにした。
そしてぼくの体育かんの便じょの中のうんこが流されたかどうかわからないまま一学きが終わり、夏休みになった。
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