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エピローグ:神様に誓う日
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恐ろしい程、真剣で真っ直ぐな眼差しを向けられ、白亜は動けなくなった。和也の言葉の真意を読み取ろうと、必死で思考を巡らせていた。
「あー……こんなんマトモに考えんの初めてで、上手くまとまんねー!何つーか、オレの寿命までっつー期間限定で、白亜さんはこの家で、オレと一緒に暮らしてくれますか?っつー事」
約10秒の間の後に、白亜は徐々に頬を桜色に染めて、恥ずかしそうに俯いた。
「そ……そ、それではまるで、口説かれているようで……」
「ようで、じゃねーよ!口説いてんの!白亜さん、返事は……考えててもいいが……」
まだまだ先の、春の訪れのときめきの、数百年分が一気に押し寄せてきたような感覚に、白亜の胸はじんわり熱く、激しく締め付けられた。
恋焦がれ、とは本で読んだ事はあったものの、白亜自身の身に降り注ぐ事になるとは思っていなかった。これが、恋情に結びつけられた「好き」なのだと実感が強くなる。自然と、目頭までもが熱くなっていく。
和也は、持っていた黒く高級感のある箱を開けて、中身を白亜に見せた。中にあったものは、革製の真っ赤な首輪だった。
「返事しねーんなら、先にコレ付けるぞ。指輪の代わりのモンだ」
クイっと白亜の顎を和也の手が掴み、軽く上を向かせられた。和也の手で白亜の白い首元に、がっしりとした存在感のある赤い首輪が、付けられた。
「よく似合ってんぜ。んで、白亜さん。お返事は?」
「それはそのっ、えーとぉ……かっ、神に誓って言える事……なのか?」
「ああ、誓えるさ。目の前の道祖神様に。綺麗で可愛くて淫乱ドMで、自分の事にはとことん鈍感な神様。白亜さんに、誓う」
じんわりと、白亜の目元から涙が溢れたた。あたたかな喜びに満ちた涙を浮かべて、白亜は綺麗に笑っていた。
「まだ白亜さんにしていなかった事がある。軽くでいい、目ェ閉じろ」
操られるように、身を委ねるように、白亜はそっと瞳を閉じた。
柔らかく、頬を包み込む和也の手の感触。唇を、柔らかく湿った暖かいもので塞がれた。いくら白亜が鈍くても、それは和也の唇だとすぐに分かった。和也の唇は、白亜の唇をそのまま貪るように、チュッチュッと音を立て、角度を変え、舌先で唇を舐める。その行為は、暫く続けられた。
腰が砕けてしまいそうになる行為に、白亜はうっすら目を開けた。
「はっ♡はうぅ……っ♡んんぅっ、今のは、一体……」
「誓いのキスってヤツ?加減とか色々知らねーけど。で、白亜さん。そろそろお返事はまとまったか?」
緩やかな仕草で、白亜は和也に擦り寄って、そっと和也の肩に手を添えて胸元に顔を埋めた後、上を向いた。和也も、どこかぎこちなく照れた様子だった。
「はい……お慕いしております、ぬしさま。一生を、白亜に下さい」
幸せの涙に濡れてキラキラ輝く神秘的な赤い目が、和也を真っ直ぐに見つめていた。
【おしまい】
「あー……こんなんマトモに考えんの初めてで、上手くまとまんねー!何つーか、オレの寿命までっつー期間限定で、白亜さんはこの家で、オレと一緒に暮らしてくれますか?っつー事」
約10秒の間の後に、白亜は徐々に頬を桜色に染めて、恥ずかしそうに俯いた。
「そ……そ、それではまるで、口説かれているようで……」
「ようで、じゃねーよ!口説いてんの!白亜さん、返事は……考えててもいいが……」
まだまだ先の、春の訪れのときめきの、数百年分が一気に押し寄せてきたような感覚に、白亜の胸はじんわり熱く、激しく締め付けられた。
恋焦がれ、とは本で読んだ事はあったものの、白亜自身の身に降り注ぐ事になるとは思っていなかった。これが、恋情に結びつけられた「好き」なのだと実感が強くなる。自然と、目頭までもが熱くなっていく。
和也は、持っていた黒く高級感のある箱を開けて、中身を白亜に見せた。中にあったものは、革製の真っ赤な首輪だった。
「返事しねーんなら、先にコレ付けるぞ。指輪の代わりのモンだ」
クイっと白亜の顎を和也の手が掴み、軽く上を向かせられた。和也の手で白亜の白い首元に、がっしりとした存在感のある赤い首輪が、付けられた。
「よく似合ってんぜ。んで、白亜さん。お返事は?」
「それはそのっ、えーとぉ……かっ、神に誓って言える事……なのか?」
「ああ、誓えるさ。目の前の道祖神様に。綺麗で可愛くて淫乱ドMで、自分の事にはとことん鈍感な神様。白亜さんに、誓う」
じんわりと、白亜の目元から涙が溢れたた。あたたかな喜びに満ちた涙を浮かべて、白亜は綺麗に笑っていた。
「まだ白亜さんにしていなかった事がある。軽くでいい、目ェ閉じろ」
操られるように、身を委ねるように、白亜はそっと瞳を閉じた。
柔らかく、頬を包み込む和也の手の感触。唇を、柔らかく湿った暖かいもので塞がれた。いくら白亜が鈍くても、それは和也の唇だとすぐに分かった。和也の唇は、白亜の唇をそのまま貪るように、チュッチュッと音を立て、角度を変え、舌先で唇を舐める。その行為は、暫く続けられた。
腰が砕けてしまいそうになる行為に、白亜はうっすら目を開けた。
「はっ♡はうぅ……っ♡んんぅっ、今のは、一体……」
「誓いのキスってヤツ?加減とか色々知らねーけど。で、白亜さん。そろそろお返事はまとまったか?」
緩やかな仕草で、白亜は和也に擦り寄って、そっと和也の肩に手を添えて胸元に顔を埋めた後、上を向いた。和也も、どこかぎこちなく照れた様子だった。
「はい……お慕いしております、ぬしさま。一生を、白亜に下さい」
幸せの涙に濡れてキラキラ輝く神秘的な赤い目が、和也を真っ直ぐに見つめていた。
【おしまい】
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