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第一章:アラミタマはうらーか男子!?
⑤
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配信終了後、白亜はまだクロアの快感の余韻に浸りながら、ノソノソと後片付けをしていた。着物を汚さぬように脱ぎ、敷いていたバスタオルを丸め、身体に付着した体液を拭う。
「あのなぁ……そろそろ帰っていいか?」
側から見ていた和也は呆れた声色で白亜に尋ねた。合計一時間半、じっくり時間をかけた男の自慰行為を見た後だ。不覚にも勃起してしまった事は、何が何でもバレたくはなかった。
未だ畳の上を這い、片付けの途中にあった白亜が和也を見上げて、ニタリと笑う。和也の隠しておきたかった事は、呆気なくバレた。
「貴様、我の配信を生で見て魔羅を勃起させているな?……責めてはおらん。後でアーカイブを見て、自慰をする事だな」
「クソがっ!男相手に勃起なんざ事故だ、事故!」
「今はそういう事にしておいてやろう」
別室に持って行って片付けるものと、この部屋に置いておくだろう物を分別した白亜は、変わらずニタニタといやらしい笑いを浮かべたままだ。少し前まで、和也の知っている白亜の表情は、ゴミを見るように睨めつけてくる、ムカつく表情だけだった。
クロアという側面を見つけて以来、白亜は意外と表情豊かな人……いや、人では無い存在ではあるが、そういうものだと気付いた。
和也の中でもまた、少しずつ何かが変わろうとしている兆しがあった。
慣れた手つきでスマホを弄りながら、白亜は和也の横にぴとっと身を寄せて張り付いた。スマホの画面の、たった今投稿しただろうSNSの画面を和也に見せてくる。
画面には、先程配信したばかりの動画から切り抜いたような写真と「今日の配信、来てくれてありがとう。次回からはアシスタントも来る。そちらへの質問、リクエストも宜しく頼む」の、文字。
写真は……白亜の場合、ご都合主義的な神通力の無駄遣いでアーカイブのデータからいい感じの部分を、今の投稿のもので言うと絶頂し恍惚の表情を浮かべている部分を文字通りバストアップに切り抜いて、貼り付けたようだった。神通力の無駄遣いや、写真の部分はまだ分かる。が。
和也が考えるよりも先に、ポン、と、白亜が軽く肩を叩いてきた。嫌な予感しかしない。
「次回の配信から、貴様にアシスタントを任せようと思う」
嫌な予感ほど、当たりやすい。和也はダラダラと冷や汗を流す。変態配信のアシスタントなんて、ぶっちゃけやりたくない。
「なぁに、タダでとは言わん。歩合制で工賃ぐらいは出してやる。あと、欲しいものリストの送付先を貴様の部屋にして構わないならば、月に千円を追加でやろう」
悪意が無いって怖えよ。人外だけあって、最低賃金とか白亜は知らねーんだろうな。歩合制で工賃なんつー、明らか小遣い程度の無いよかマシ程度の話じゃねぇか。ツッコミたい事は、山ほどあった。
「とりあえず……白亜さん。貴様って呼ぶのは止めろ。名前で呼んでくれ、和也だ」
「和也、たぶん荘の更新に金が必要なのだろう?小遣い稼ぎ位は出来る仕事を与えると、我は言うておるのだ。続けられるならば、工賃を途中で値上げしてやろう。悪い話ではあるまいに」
無収入か、ショボそうな工賃か。新たに和也に突きつけられた、二択問題。
「欲しいものリストの送付先には使っていいが、動画のアシスタントは次までにどの範囲のものか打ち合わせ出来るようにしてくれ。出来ねーモンの時は出来ねーっつーから」
「ふむ、それで良い。次の配信内容を決めた時に概要を伝えに行く。き……否、和也は暇であろう?なるべく日中、直接部屋に行くとしよう」
内容は裏アカのアダルトな、変態男の変態配信ではあるものの、白亜は真剣に考え、心から楽しんでいる事が伝わってくる。真剣な眼差しの奥に、キラキラした純真が見え隠れしていた。そんな白亜に、和也は眩しさを感じ、断ろうという意思は短時間の会話でいつの間にか、ほぼ消え失せていた。
「因みに、万が一オレが全てを断った場合は、白亜さんはどうするつもりだったんだ?」
工賃とやらが安かろうが、今更断る気は和也には無い。気になったので口に出して聞いてみた。質問の意味はそれだけだ。
白亜は顎に手を当てて天井を見上げた後、視線を和也に向けた。
「断られた場合は、あの玄関での動画に和也の個人情報全部載せテロップを付けて、ネットにバラ撒いただろうな。撒かずに済んで本当に良かった」
白亜はいたずらっ子の笑みを和也に向けた。
悪意無き純真は心底恐ろしいのだ、と、和也の脳裏に焼き付けられた。和也自身気付かない部分は、知らず知らずのうちに成長し始めていた。
「あのなぁ……そろそろ帰っていいか?」
側から見ていた和也は呆れた声色で白亜に尋ねた。合計一時間半、じっくり時間をかけた男の自慰行為を見た後だ。不覚にも勃起してしまった事は、何が何でもバレたくはなかった。
未だ畳の上を這い、片付けの途中にあった白亜が和也を見上げて、ニタリと笑う。和也の隠しておきたかった事は、呆気なくバレた。
「貴様、我の配信を生で見て魔羅を勃起させているな?……責めてはおらん。後でアーカイブを見て、自慰をする事だな」
「クソがっ!男相手に勃起なんざ事故だ、事故!」
「今はそういう事にしておいてやろう」
別室に持って行って片付けるものと、この部屋に置いておくだろう物を分別した白亜は、変わらずニタニタといやらしい笑いを浮かべたままだ。少し前まで、和也の知っている白亜の表情は、ゴミを見るように睨めつけてくる、ムカつく表情だけだった。
クロアという側面を見つけて以来、白亜は意外と表情豊かな人……いや、人では無い存在ではあるが、そういうものだと気付いた。
和也の中でもまた、少しずつ何かが変わろうとしている兆しがあった。
慣れた手つきでスマホを弄りながら、白亜は和也の横にぴとっと身を寄せて張り付いた。スマホの画面の、たった今投稿しただろうSNSの画面を和也に見せてくる。
画面には、先程配信したばかりの動画から切り抜いたような写真と「今日の配信、来てくれてありがとう。次回からはアシスタントも来る。そちらへの質問、リクエストも宜しく頼む」の、文字。
写真は……白亜の場合、ご都合主義的な神通力の無駄遣いでアーカイブのデータからいい感じの部分を、今の投稿のもので言うと絶頂し恍惚の表情を浮かべている部分を文字通りバストアップに切り抜いて、貼り付けたようだった。神通力の無駄遣いや、写真の部分はまだ分かる。が。
和也が考えるよりも先に、ポン、と、白亜が軽く肩を叩いてきた。嫌な予感しかしない。
「次回の配信から、貴様にアシスタントを任せようと思う」
嫌な予感ほど、当たりやすい。和也はダラダラと冷や汗を流す。変態配信のアシスタントなんて、ぶっちゃけやりたくない。
「なぁに、タダでとは言わん。歩合制で工賃ぐらいは出してやる。あと、欲しいものリストの送付先を貴様の部屋にして構わないならば、月に千円を追加でやろう」
悪意が無いって怖えよ。人外だけあって、最低賃金とか白亜は知らねーんだろうな。歩合制で工賃なんつー、明らか小遣い程度の無いよかマシ程度の話じゃねぇか。ツッコミたい事は、山ほどあった。
「とりあえず……白亜さん。貴様って呼ぶのは止めろ。名前で呼んでくれ、和也だ」
「和也、たぶん荘の更新に金が必要なのだろう?小遣い稼ぎ位は出来る仕事を与えると、我は言うておるのだ。続けられるならば、工賃を途中で値上げしてやろう。悪い話ではあるまいに」
無収入か、ショボそうな工賃か。新たに和也に突きつけられた、二択問題。
「欲しいものリストの送付先には使っていいが、動画のアシスタントは次までにどの範囲のものか打ち合わせ出来るようにしてくれ。出来ねーモンの時は出来ねーっつーから」
「ふむ、それで良い。次の配信内容を決めた時に概要を伝えに行く。き……否、和也は暇であろう?なるべく日中、直接部屋に行くとしよう」
内容は裏アカのアダルトな、変態男の変態配信ではあるものの、白亜は真剣に考え、心から楽しんでいる事が伝わってくる。真剣な眼差しの奥に、キラキラした純真が見え隠れしていた。そんな白亜に、和也は眩しさを感じ、断ろうという意思は短時間の会話でいつの間にか、ほぼ消え失せていた。
「因みに、万が一オレが全てを断った場合は、白亜さんはどうするつもりだったんだ?」
工賃とやらが安かろうが、今更断る気は和也には無い。気になったので口に出して聞いてみた。質問の意味はそれだけだ。
白亜は顎に手を当てて天井を見上げた後、視線を和也に向けた。
「断られた場合は、あの玄関での動画に和也の個人情報全部載せテロップを付けて、ネットにバラ撒いただろうな。撒かずに済んで本当に良かった」
白亜はいたずらっ子の笑みを和也に向けた。
悪意無き純真は心底恐ろしいのだ、と、和也の脳裏に焼き付けられた。和也自身気付かない部分は、知らず知らずのうちに成長し始めていた。
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