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先生の性癖

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「もう、逃げ場は何処にも無い」
耳元で囁かれ、奥の和室に敷かれた布団の上で、トシヲは組み敷かれていた。手首はネクタイで一つにまとめられ縛られ、更に余った部分は柱に括りつけられている。
物理的にも、逃げ場など無い状態。
「怖いか?」
智はジャージを脱ぎ捨て全裸でトシヲの隣に寝そべり、丁寧にトシヲのシャツのボタンを外していく。まだ触れられてすらいない状態で、トシヲの気分は不思議と高揚していく。
フルリ、と、トシヲは首を横に振った。
「怖くない……と言ったら嘘になるかも、ですが、僕は……」
「知らない事は、怖いとも怖く無いとも判別出来ない。と?」
「それも、一理あります。知らないからと言って、やみくもに怯えるのは愚かとも取れます……けど」
ぷつり、ぷつり……
トシヲのシャツのボタンを全て外し終えた智は、胸元をはだけさせ、次にトシヲのスラックスのベルトをカチャカチャと音を立てて外し、下着ごと一気に脱がせた。
プルンッ!
始めからトシヲは期待していた、その証に起立した陰茎が飛び出して揺れた。
「期待、していたのは本当だったようだ。まだロクに触れていないうちから上を向いて、いやらしい汁を溢れさせているな」
「だって……それは……」
反論しかけたトシヲの唇に、智の人差し指がちょこんと触れた。
「集中して、感覚を研ぎ澄ませ、全てを受け入れろ。痛かったら痛いと、気持ちよかったら気持ちいいと、口に出してみろ」
智の目つきは鋭く、真っ直ぐだった。トシヲはただ頷く事で精一杯になる位に。
するり、するり、と、僅かにシーツの擦れる音を立てて、智は身体を移動させ、トシヲの脚を大きく開き、痴態を観察するように暫く眺めていた。
見つめられるだけで、トシヲの陰茎も、蕾も、ヒクヒクと反応してしまう。
「まだ足首にしか触れていないが……トシヲのアヌスはヒクヒク蠢いているな。そこは排泄器官の筈だが……」
「は……んんぅ……トモちゃん先生、そんなにじっくり見られたら……恥ずかしい、です」
「そうか。恥も何もあったもんじゃないと思っていたが、一応恥じらいはあるようだな。一般的な部分では無いだけで」
淡々とした声色、トシヲの大好きな声が、トシヲ自身も今まで気づいていなかった羞恥心を掻き立てる。
チュッ、チュッ、チュッ……
控えめなリップ音を立てて、智の唇がトシヲのふくらはぎに、膝に、触れていく。
「ぁ……っ、んんっ!はぁっ、あああぁ」
チュッ、チュッ、レロォォォ……
「ひゃっ?んっ!あっ♡あああんっ」
膝から膝の裏側の皮膚の薄い箇所へ、智は口付け、そっと舌を這わせた。おそらく気持ちが良いのだろう、トシヲの声が部屋の中に響き始めた。智は興味深そうに時折トシヲの反応を眺め、トシヲの内腿に舌を這わせていく。
「ああっ♡あっ!んあああぁっ♡身体……熱くなって……っ、あああっ♡」
「ここも、皮膚の薄い部分だ。きちんと感じるようだが……」
チュッ、チュッ、チュウウウッ!
「ひゃうっ!あああっ、トモちゃん先生……っ♡それっ、ああああっ♡気持ち、いいですぅっ」
内腿の、服を着てしまえば誰にも見られる事も無い、トシヲの皮膚の薄い部分に、智は強く吸いついた。手首を拘束されたまま、トシヲは身を捩らせて快感を訴えた。吸われた場所には、赤い痕が残った。
「皮膚が薄い箇所は、痕が残りやすい。強く吸われるのが気持ちいいなら、もっと証を残してやろう」
チュウウウウッ!チュッ!チュウウウウ!
「はーっ♡ああああんっ♡あっ♡あぁっ、気持ちい……気持ちい……のっ♡好きです……んんぅ♡」
トシヲの太ももの内側の、下から中心に向けて場所を少しずつ変え、智はキスを落とし、強く吸い付き、無数の赤い痕を残していった。
ツゥ、と、柔らかな手つきがトシヲの二の腕の内側をなぞる。
チュッ、チュウウウウ!
「はふっ♡あっ、ああああっ!あふっ♡」
「ほら……ここも皮膚が薄くて簡単に痕が付く」
トシヲの二の腕の、皮膚の薄い部分にも、智は幾度もキスを落とし、首筋へと舌を這わせた。首筋には、チュッと、拍子抜けする程軽い口付けを。
「はーっ♡はぁぁ……そこは……しないんですか?」
智の指先が、スッとトシヲの首筋を撫で回す。トシヲはくすぐったそうに目をほそめた。
「ここに証が欲しいなら、明日の卒業式が無事に終わった後に残そう。俺は誰かに見せびらかす趣味は無いんでね」
「トモちゃん先生……約束、二つ目です……っ!んっ!んんぅ♡はっ……あああっ♡」
トシヲの言葉が終わる寸前に、智は指先を脇腹に這わせ、胸元を焦らすように指先で撫でながら、舌を長く出して脇腹を下から上にベロリと舐め上げる。
ビクン!ビクン!ビクン!
トシヲが上半身を仰け反らせ、小刻みに震えた。
「そこ……っは♡あああっ♡気持ち、よくなって……きちゃっ♡あっ、あっ、あああっ♡」
「脇腹も感度良好、と。今日は古谷の陰茎には指一本触れない。が、イきそうになったら好きなだけ、イけ」
「ああぁっ、んんぅ~~~♡酷いですぅ♡トモちゃ……せんせぇ♡」
脇腹をねっとりと下から上へ舐め上げて、首筋をチロチロと舐め、智はトシヲの耳元で囁く。囁く声に反応し、トシヲの起立した陰茎はピクピクと脈打っていた。口では酷いと言っていても、すぐに敏感に反応する身体がどうなるかは実践してみるまで分からない。
チュッ、チュッ、チュッ……
唇は、音を立ててトシヲの胸元へ。更に期待に満ちてコリコリに勃起した乳首へと近づけていく。
「はーーーっ♡はーっ♡もどかし……ぃんっ♡」
悩ましげな吐息混じりのトシヲは、身を捩らせ、強請るように自然と胸元を突き出していた。智は、愉悦に満ち仄暗い歪な笑みを浮かべて緩やかな愛撫を一転させる。
トシヲの口腔内に、智の指が三本、ねじ込まれた。
「んぐっ!んーーーっ!んんぅっ!」
苦しげな呻き声。智は仄暗い笑みを浮かべたままだ。
「苦しいか?しっかり舐めておけ」
トシヲの口腔内に捩じ込んだ指先をうごかし、智は舌先を軽く摘んだり、上顎を撫でたりして蹂躙していく。
「んぐっ!んぐぅ……っ、はふっ……んんんんんぅっ!」
(苦しいのに……っ、下腹が熱くてキュウっとしてくるのは、何?トモちゃん先生の指……僕の大好きな、トモちゃん先生の指で、口の中まで触られてるから?)
涙目になりながらも、トシヲは最初に言われた通りに智の行為を受け入れていた。
「んむっ!んぐぐぅ……むはぁ……♡」
トシヲの口腔内から智の指が引き抜かれた頃には、トシヲの口元から顎の辺りまで唾液でぐしょぐしょになっていた。智はトシヲの腰を高く持ち上げ、唾液に濡れた指をヒクヒク蠢くトシヲの蕾に突き立てた。
「ひあああああぁっ♡ああ、あああぁっ♡トモちゃ、せんせえの……指っ♡あんっ♡そんなの……っ、すぐにぃ♡気持ちよくなっちゃ……あああぁっ」
慣れ切っているトシヲの蕾に、三本の指は難なく挿入された。智は普段ならやらないような、強引で乱暴な手つきで前立腺を狙い、ゴリゴリと責め立てていく。
「ゃああああっ♡あんっ♡指だけでイきそうなのぉっ♡そこっ、ゴリゴリ、しゅごいいぃっ♡♡♡」
トシヲは腰から碌に動かせない腕までも震わせ、全身はビクビクと跳ね上がる。突然の、強い刺激に足の指先にも力が籠り、キュッと丸く縮こまらせていた。
グチュっ!グチュっ!グチュ!
「はーっ♡ああっ♡気持ちい……っイキたい……っ、けど♡まだぁっ、ああぁっ♡イキたくな……っ!ひゃううううっ♡」
智はトシヲの声に、反応に、耳を傾け、追い討ちをかけるようトシヲの乳首を唇でチュウッと強く吸い上げ、歯を立てて甘噛みより少し強い程度の力で噛みついた。
「ひぎぃっ♡イきますぅっ♡イッちゃいますううぅっ♡ああああああーーーっ♡♡♡」
どぷっ!どぷっ!びゅるるるるっ!
今夜は指一本触れられていなかった、トシヲの陰茎が脈打ち、若く青臭い白い欲望が噴出した。
「尻と乳首だけでイけたか。可愛い生徒が淫乱成長していく様は、素晴らしい」
「はぁっ、はあぅっ♡トモちゃん先生……好きぃ♡好き……なのぉ」
「そろそろ、ご褒美をやろう」
智はトシヲの熱い粘膜を責め立てていた指を引き抜き、既に上を向きそそり立っていた剛直をトシヲの奥めがけて挿入した。
「は……へ?んああああっ♡あっ♡熱いぃっ♡熱いの……っ、奥までっ♡♡♡」
ズブッ!ズブブブブッ!ヌプッ!ヌプッ!
トシヲに結合部を見せつけるよう、智はトシヲの腰を高く持ち上げ、容赦なく奥までがっつりと突き上げ、激しく腰を動かす。
「ひあああああぁっ!あーーーっ♡だいすきっ♡ああああっ♡トモちゃ、せんせぇにぃっ、ひうぅっ♡おくっ、抉られるのぉっ♡きもちい……っ♡すきぃぃっ♡♡♡」
「トシヲのナカ……熱くてトロトロで気持ちいいぞ。繋がっている部分、しっかり見ておけ」
ズンッ!ズンッ!ズンッ!
「ああぁ、あんっ!イッたばっかりは……っ♡すぐにきもちよく……あああああっ♡♡♡んああぁっ」
ズコッ!ズコッ!ズコッ!ズコッ!
トロトロに解れ、順調に熟してきたトシヲの蕾に、智の剛直が激しい抽送を繰り返していく。
「んひぃっ!ああぁっ♡あっ、あんんっ♡トモちゃ……せんせぇ♡♡♡ああああぁっ♡」
するりと、智の手がトシヲの胸元に置かれた。コリっと勃起したトシヲの両乳首を摘み、智は強めに抓るようにグニグニと扱いていく。
「ひぎぃっ!あああっ♡痛いっ♡痛いのにい……っ♡あああああっ♡きもちい……のぉっ♡♡♡」
「痛いのに気持ちいい?ならこのままもう一度イけ!」
ズコッ!ズコッ!ズコッ!ズコッ!
ギュッ!ギュウウウウ……
粘膜の擦れる激しい音と、トシヲの嬌声が静かな部屋に響いている。
「あああっ!ひぎっ♡ぎああああぁっ♡いひゃいっ♡ちくびいひゃいのぉっ♡ああああんっ!イくうっ♡おしりと……んっ、ちくびでイっちゃいます……っあああああっ♡♡♡」
縛られたまま、全身をガクガクさせ、必死にもがいて見える様子で背中を仰け反らせてトシヲは二度目の欲望を吐き出した。数秒程過ぎた頃、トシヲの奥深くにドププププっと、智のドロドロの欲望が注がれる。
「はぁ……♡ひっ!ああああっ♡熱いのっ♡ドクドク注がれてるっ♡あああんっ、トモちゃん先生のっ、熱いのぉ♡♡♡」
手首の拘束を解かれた後もトシヲは、まだ腹の奥深くに残る余韻に、恍惚とした笑みを浮かべて腹をさすり、荒い呼吸を繰り返していた。
「実践終了だ、古谷トシヲ。何か分かった事は?」
「はーっ♡あぁ♡トモちゃん先生にされるなら……多少痛くても、気持ちよくなれるみたいです」
「他には?」
「多分、トモちゃん先生は、変態さんなんです」
ウエットティッシュの筒を小脇に抱え、トシヲの身体に付いた体液と、智自身に付いた体液を拭いながら、智はトシヲの言葉に耳を傾けていた。
「……そこは、否定しない。トシヲが全人類のママになりたがるように、俺は可愛い教え子達の先生であり続けたい」
「いけない事では無いかと……」
「性欲を伴わないのであれば、生徒に手を出さないのであれば、と言う事が前提だ。あまり懐かれてしまうと……場合によっては犯罪だろ」
はぁ……と、智は項垂れ、想いの全てを暴露していく。
「トシヲ、これからは……お前が俺の抑止力になってくれ」
ふわり、と、トシヲの腕が智の身体を抱きしめた。
「なれますよ。さっき縛られた時だって、多少の怖さはありましたけど、僕はトモちゃん先生の全てを受け入れたかったんです」
「ありがとう」

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