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③
しおりを挟む「大嫌い」
そう言われて数日が経った。本当に神社から出た事が無いらしい世間知らずな、浮世離れした雰囲気。ふわふわの毛並みに滑らかな肌の感触。震えていた、唇。そんなムギのイメージを思い出す度に、大地の中では高揚する気持ちと後悔の念が渦巻き、濁ってドロドロになっていく感覚に支配され、他の全てが上の空になっていた。
「頭で考えるだけじゃ、駄目だな。きちんと謝って、伝えないと」
その為に口が付いている、声帯がある。言葉だって学校で習うぐらいだ。久々に、大地は学校帰りに「まねきねこさん」を訪れて参拝した。
その日、境内にムギの姿は見当たらなくて。怯えて隠れていたとしたら、申し訳ないけれど、大地はもう一度だけで構わないからムギと言葉を交わしたくて境内のあちこちを見て回った。
ふと、見慣れた茶色いふわふわの耳が視界に入る。あの時のお社の裏側に、ムギはしょぼくれた様子で座っていた。
「どうして、また来たの?あんな事言ったのに」
ムギは大地の方を見る事無く、消え入りそうな、小さな声で呟く。
「ごめんね、いきなり変な事して。ムギは今もオレの事、嫌い?」
最後の問いかけにしよう、この縁は切れて終わってしまうかも知れない。大地の声が微かに震え、それを隠すように手のひらをぎゅっと握りしめる。
フルフルと、ムギが首を横に振った。
「ごめんなさい、ごめんなさい……どうすればいいのか本当に分からなかった……」
小さな声ながらも、確かにムギの口から紡がれる言葉に耳を傾ける。途切れた後の、短い沈黙の後、ムギは顔を上げた。
「本当は……大好き」
目元に涙をたくさんためて、それでもふわりと笑ってくれた。大地の中にあった、濁ってドロドロになっていく感覚が浄化されていく気がした。
壊さないように、そっと大地は唇で、ムギの唇に触れた。
大好きなひとを傷つけた。思ってもいない事を言って突っぱねて。その時のムギは、自分自身が求愛されるとは全く予想もしておらず、当然感覚的なものも知らなくて。大地の来ない数日の間はずっと、神社の境内を探して回ったり、大地が来る事を期待しながら待っていた。
「ごめんなさい……」
「謝られるよりも、ムギに大好きって言われる方がオレは嬉しい」
大地の手が、ムギの頭を、耳を、優しく撫でる。喉がゴロゴロ言ってしまいそうな程、心地よい。
「そうなの?人間って不思議だって、ずっと思ってたけど、大地はもっと不思議だ」
撫でてくる大地の手のひらに、頭をスリスリと擦り付け、ムギは目を細めた。
「ええと……大地は、あの時……交尾したかったんだよね!」
「んあああ?ちょっと、ムギサン……!」
「大丈夫、もう怖くないから。大地となら、いいよ」
「おおぁっ!?ちょっと急なんじゃないかな……嬉しいけど」
ズルンと、ムギの両手が大地の履いていたズボンとパンツを一気に下ろす。露わになった大地の下半身に、ムギは顔を近づけた。
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